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第8章 踏み込んだ関係 ③不意打ち

 南条に初めて呼び出された日から、校舎裏に来ることが当たり前みたいになっていた。 白い粉雪が、音もなく降り注ぐ。 冷たさよりも、その静けさが肌に沁みていた。 まるで、俺たちだけを残して世界が消えてしまったような、そんな感覚だった。 今日も校舎裏で、南条とふたりきり。 南条が絵を描くための時間だが、正直その理由なんて、もうどうでもよかった。 ただこの場所で、彼の目に映ることができる事実。それだけが、嬉しかった。 南条は何も言わずに、スケッチブックを抱えたまま、真剣な顔をしている。 鉛筆が紙を滑る音だけが、異様に耳に残る。 雪の気配と、南条の気配。 たったそれだけが、この場所を満たしていた。 肩に積もった雪を振り落とすのも忘れて、俺はじっと座り込んでいた。 目を逸らしたら、何かが崩れてしまいそうで。 彼の集中している顔を、そっと見つめていた。「……」 ふと、鉛筆が止まった。 そして南条の眼差しが、ゆっくりとこちらに向けられる。 瞳の奥に映っていたのは、俺だった。「……寒そう」「え?」 ぽつりと、そんな言葉が落ちる。 南条は自分が巻いていた黒色のマフラーに、そっと手をかけた。「え、いや」 慌てて手を振ったけれど、南条は何も言わずに、すっと歩み寄ってくる。 息が止まる。 ほんの数歩なのに、心臓が大きく音を立ててうるさかった。「南条っ」 彼の指が、マフラーの端を撫でる。 そしてそっとほどいて、俺の首元に巻いてくれた。「……」 雪で冷えた指先が、喉元をかすめる。 南条の指は、すこしだけ震えていた。なのにその仕草は、あまりにも優しい。「……ありがとう」 俺は、感謝を言葉にするのが精一杯だった。 マフラーのぬくもりと、彼の手の余韻に包まれたまま、俺は動けずに
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第8章 踏み込んだ関係 ④心からの気持ち

 日が暮れて、空は薄い群青に染まりはじめていた。  強く降っていた雪は弱まり、地面には白く積もった名残が残っている。  吐く息はまだ白く、頬をかすめる風は冷たい。けれど、俺の胸の奥だけは、不思議と熱を帯びていた。 俺と南条は、いつも通り校舎裏から並んで帰っていた。  何かを話すでもなく、黙ったまま。  でも、それが心地よくて。沈黙すら、大切な時間のように感じていた。  南条の腕が、ふと俺の肩に触れる。  そのわずかな接触にさえ、心臓が跳ねる。  雪でかじかんだ指先とは裏腹に、胸の内はどこまでも熱かった。  この感覚を、ずっと味わっていたい。  そして、まるで何かに背中を押されるように、自然と口が開いた。 「……俺さ」  自分でも気づかないほど小さな声だったのに、南条はちゃんとこちらを見た。  夜風が吹き抜けて、制服の裾を揺らす。  なのに俺は、風なんかよりも、隣の彼のまなざしの方が気になって仕方がなかった。 「美術室で、ひとり絵を描いてたお前を見たとき……たぶん、あの時から……」  足元に視線を落としながら、ぽつぽつと言葉を並べていく。 「なんか……目が、離せなくてさ。意味もわからないのに、ただ、見てたかった」  南条は驚いたように目を瞬かせて、それからゆっくりと目を伏せた。  白い息を吐いて、小さく呟く。 「……僕は」  その声が、夜の静けさに吸い込まれていく。  でも、しっかりと耳に届いた。  まるで雪のように、そっと心に降り積もる声だった。 「白浜くんが……僕の絵を、初めて褒めてくれたとき」  言葉に迷いながらも、南条はゆっくりと言葉を紡いだ。 「〝すげぇな〟って言葉が……嬉しかったんだ。ほんとうに初めて言われて、嬉しくて、心がぐしゃぐしゃになってた……」  その時、ふと綾瀬の姿を思い出した。   綾瀬は、南条の絵が好きだと言っていた。ならば、初めてじゃないのでは……そう思い、すこし間を置いて、ぽつりと呟く。 「……でも、綾瀬が言ってたよ。お前の絵、好き
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第9章 交錯するもの ①将来の夢

 放課後の職員室は、どこか静けさが沁み込んでいた。  いつもの喧騒も、先生たちのバタバタした気配もない。  その中でひときわ目立つ、猫背気味の背中が目に付いた。大澤先生だ。  俺はその背中に向かって歩き、すこし躊躇してから声をかける。 「……大澤先生」  小さく肩が動いて、先生はくるりと顔だけ振り返る。  まるで待ってましたと言わんばかりの、にやけた顔をしていた。 「わぁ、〝南条依存症〟の白浜だ。放課後にここ来るの、めっちゃ久しぶりじゃん?」  何そのわざとらしい口調。  しかも開口一番、それかよ。 「それマジでやめろって」  思わず言葉が強くなる。  でも先生はお構いなしに笑った。そしてくいっと椅子を回して、身体ごとこっちを向いた。 「だって、最近のお前さ。放課後になると毎回、南条のとこに飛んでくでしょ? 校舎裏でイチャイチャしやがって。職員室から全部見えてるんだからなぁ~」 「……は? え、はぁ!? み、見えてる!? 見てた!?」 「うん」  何をどこまで見てたんだ!?  という疑問を飲み込み、大澤先生の手を引いて職員室から出た。  照れくささをごまかすかのように、正面を向いたまま、渡り廊下に向かう。  にやけたままの先生の目が、なんとなく優しくて。  こうしてふざけた調子で話してるのに、ずっと見てくれてたことがわかるのが、なんだかもどかしい。  それだけで、安心してしまう自分がいる。 「で、今日はなんかあったんだろ? どした?」 「……」  小さく息を飲む。  そしてちょっとだけ視線を伏せて、まっすぐ顔を上げた。 「進路のことで話があって」 「お、ついに重い腰が上がったか」  いつもと同じように軽口を叩くくせに、先生の目は真剣だった。 「決まったんだ。俺……心理カウンセラーになりたいって思って」  その言葉を出すのに、思った以上に勇気が必要だった。  けれど口にした瞬間、すとんと胸の奥が軽くなった気がする。  元々、人の話を聞くのは好きだっ
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第9章 交錯するもの ②好きな絵

 放課後の校舎裏には、雪がまだところどころに残っていた。  風は穏やかで、静かに肌を撫でていく。  俺はいつもの場所で、南条を待っていた。 南条とは、お互いに想いを告白し合った。  けどそれに留まっていて、付き合おうと言葉にしたわけではない。  友達なのか、それ以上なのか。  よくわからない関係のまま、俺は南条と過ごしていた。  とはいえ、もうすっかり日常になってしまったこの時間。ここ最近はなぜか、すこしだけ緊張していた。 やがて、靴音がひとつ、雪の上を踏む音がした。  振り返ると、歩いてくる南条が視界に入る。通学鞄を持っているだけで、スケッチブックは持っていなかった。 「……今日、スケッチブックは?」  気取らずに問いかけたつもりだったけれど、声がすこしだけ掠れた。  南条は立ち止まり、小さく頷く。そしてすこしだけ困ったように笑った。 「完成したから。次を描くまで、すこし休憩」 「……そっか」  それ以上、会話は続かなかった。  俺たちの間に沈黙が降りる。でも、それが気まずいわけじゃない。  ただ、口にする言葉を考えていただけだった。 「……白浜くんは、進路……決めたんだよね?」  南条が、ふいにそう言った。  そう、南条には〝進路が決まった〟とだけ、以前伝えている。ただ、詳細については話しそびれていた。 「うん。心理カウンセラーになりたい」  自分の口からその言葉を出すと、胸の奥に火が灯るような感覚がした。  南条はすこし目を見開いて、それからそっと笑う。 「……似合いそう」 「マジで? ありがとう」  またすこし、風が吹く。俺たちの間の空気が、また近づいた気がした。 「南条は? 美大……どうなった?」  問いかけると、南条の表情がほんのすこし曇る。 「うん。やっぱり……親が、あんまりよく思ってなくて」  声がか細く消えそうだった。  雪を踏む足元を見るようにして、南条はぽつりぽつり
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第9章 交錯するもの ③ぶつけられる感情

 昼休みの教室は、いつも通りのざわめきに包まれていた。  けれどその喧騒の中で、俺と南条は、ふたりだけの空気の中にいた。  机を寄せて座るわけでもない。何かをしているわけでもない。  ただ隣にいて、なんでもない話をしている。それだけなのに、俺は不思議と満たされていた。  有理とすれ違ってから、俺は自然と南条のそばにいるようになった。  南条はもともと、ひとりで過ごすことが多かった。それもあって、昼休みを共にすることになったのだが——今は、こうして一緒にいる時間が、何よりも落ち着く。「——白浜くん」  ふいに、背後から名を呼ばれた。  振り向くと、そこには綾瀬がいた。  目がすこし赤くて、手の指先がぎゅっと握られている。  何か言いかけて躊躇うように視線を泳がせてから、俺と南条の間に一歩だけ近づく。  そして、小さな声で、まるで空気に紛れるように呟いた。 「……はるくんを、取らないでよ」 「……え?」  その言葉は、ナイフのように鋭くて、それでいて儚かった。  目の前の綾瀬の頬が、すこしだけ紅潮している。 「ゆい?」 「……私、ずっと……はるくんのことが、好きなの」  まっすぐ南条を見つめる彼女の瞳は、真剣そのものだった。  でもその声色には、震えるような迷いがあって。これまでの全部を押し込めて、やっと言葉にしたんだとわかる。  南条は、黙ってその告白を受け止めていた。  しばらくの沈黙のあと、小さく息を吐き、綾瀬の目を見て言った。 「……ゆいは、僕にとって大切な友達だよ。でも、ごめん。僕は、そういうふうには思えないんだ」  声は優しかった。でもその優しさが、今はとても残酷だった。  綾瀬は微かに肩を揺らし、まっすぐ南条を見つめている。  その瞳には、涙が滲んでいた。 「……へへ、そっか」  そう小さく呟いたあと、綾瀬はそっと背を向けた。  俯いたまま、足早に教室を出ていく。その頬を一筋、涙が伝うのが見えた。 「えっ、ゆいぴ!? どうしたの!?」  数秒後、教室
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第9章 交錯するもの ④大好きな人

 今日の校舎裏には、雪の姿はなかった。  空は鈍く曇っていて、陽の光はほとんど感じられない。  けれど、昨日までのような冷たい風は吹いていなかった。  コンクリートに残る湿り気を避けるようにして、俺たちはすこし距離を置いて立っていた。  でもそれは、気まずさでもなんでもなくて——お互いに、距離感を計っているだけのようだった。 「……なぁ、ちょっと移動しね?」  ふいにそう言うと、南条はきょとんとした。 「え?」 「いや……なんか気になるっていうか……その、さ」  俺は指先で校舎の上を指した。  ちょうど見える位置にある、職員室の窓。その奥には、あの人がいる。 「この前、大澤先生に言われたんだ。俺たちのこと、職員室から見てたって」 「……見てたって、何を?」 「……いや、わかんない。ただ見てたってだけ。別にやましいことしてたわけじゃないけど……なんか、嫌だろ」  南条は苦笑いを浮かべて、そっと首を傾げた。 「じゃあ、どこ行くの?」 「——ついてきて」  俺は南条の手を取り、校舎の影にある、すこし奥まった場所へと足を運んだ。  人通りもなく、職員室からも見えない。ほんとうに、ふたりきりになれる場所だった。 「この辺なら大丈夫だろ」  立ち止まって、南条と向き合う。  南条は俺の手をまだ離さないまま、じっと見つめてくる。  その目があまりにも澄んでいて、俺は思わず息をのんだ。 「……ねぇ、俺と……付き合ってくれない?」  言った瞬間、息が白くふわりと空に溶けた。  けれど、心の奥は熱くて、手のひらにほんのり汗が滲んでいた。 「……」  南条が目を見開く。けれどすぐに、まっすぐこちらを見て、そっと訊ねてきた。 「……男同士だけど、いいの?」  その声が、かすかに震えていたのがわかった。  空気に吸い込まれそうな静寂の中、鼓動の音だけがやけに鮮明に響いている。 「最初、そっちからキスしといて……今さらだろ」  そう返した俺に、南条がふわっと笑ってくれた。
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第10章 気持ちの清算 ①彼の隣 side 綾瀬ゆい

 最近の昼休みは、教室の隅に座るふたりの姿を見るたび、胸がざわつく。  はるくんと白浜くん。  ふたりだけでいることが、当たり前みたいになってきた。  もともと、はるくんはいつもひとりだったのに。  無表情で、誰とも関わらなくて、でも私にだけは……話しかけたら笑顔を見せてくれていたのに—— 「ゆいぴ、今日も……って感じだね」  隣の席で、渡辺咲がそう囁いた。  咲は私の中学からの友達で、私がはるくんのことを好きなのも知っている。 「うん……」  ぼそりと返した声は、自分でも驚くほど弱かった。  強がる気力もない。目の前の光景があまりにも心に刺さる。  ふたりは席を並べて、楽しそうに話している。  白浜くんが何か面白いことを言ったらしく、はるくんがふっと笑った。  ……笑った。  その瞬間、胸の奥にずきんと何かが刺さる。  あのはるくんが、あんなふうに笑顔を浮かべるなんて。  私には一度も向けられたことのない、心からの笑顔だった。 「……最近、なんか変わったよね。南条くん」  咲の声に、私はただ小さく頷いた。 「無表情だったのにさ。最近、柔らかいっていうか……」 「……あの笑顔、私、知らない」  ぽつりと呟いたその言葉は、溜息のように空気に溶けた。 「ゆいぴ……」  咲が心配そうに覗き込んでくる。  それでも私は、無理やり笑ってみせた。引きつっていたかもしれないけど、それでも頑張って笑った。 「大丈夫。それでもまだ……好きだから」 「……うん」 「……今もはるくんのこと、ずっと好き」  もう何度目かわからない、その気持ちの再確認。  でも、そう言わないと、心がばらばらになってしまいそうだった。  ふたりを見ていると、焦ってしまう。  このまま、置いて行かれてしまうような気がする。  ——はるくんを、取らないで。  そう思ってしまう自分が、苦しかった。  彼にとって、私はただの友達。それ以上ではないって、わ
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第10章 気持ちの清算 ②一番の理解者 side 富岡有理

 教室の時計が、もうすぐ17時を指そうとしていた。  昼間はあんなに騒がしかった空間も、今はしんと静まり返っている。  誰もいない教室の隅っこで、俺はひとり、椅子に座っていた。  窓の外では、夕陽がゆっくりと沈みかけている。  夕陽の光がカーテン越しに差し込んで、床を淡く照らしている。  静かすぎて、時計の針の音ばかりがやけに耳についた。 樹のことを、初めて〝好きかもしれない〟と思ったのは、いつだったんだろう。  わからない。ただの友達だと思っていたはずなのに、いつのまにか、目で追うようになっていた。  バカみたいに明るくて、誰とでもすぐ打ち解けて。  けれど時々ふと見せる、寂しそうな横顔に、胸がざわついた。  きっと最初は、心配だっただけだ。  誰よりもサッカーが大好きだったのに、誰よりも練習を頑張っていたのに、誰よりも結果が出ない。そんな樹が苦しむ様子を、ずっと間近で見ていた。だからこそ、余計にあいつを支えたいと思えた。  でも気づいたら、『あいつが誰に向かって笑ってるか』が気になってしょうがなくなっていた。  俺にだけ向けられる笑顔があるなら、どれだけ嬉しいかって——そんなことばっか考えてた。  けれど樹の視線は、いつも誰かの方を向いていて。今ではまっすぐ南条だけに向いていて。口を開けば、もうあいつのことばかりで。  目の前にいる俺のことなんて、いっさい見えてなくて。  〝親友〟という型枠にはめられた俺には、どうしても入り込めなかった。  樹と南条の間には、入る余地などどこにもなかった。  ——俺は結局、南条に勝てなかったんだ。「お、富岡。まだおったんか。そろそろ施錠するぞー」  ふいに聞こえた声に、びくりと肩が跳ねた。  顔を上げると、扉のところに大澤先生が立っていた。 「あ……すみません、帰ります」  そう言って立ち上がろうとしたら、先生がふっと笑って、俺の席の前に近づいてきた。 「いや、急いで追い出そうとしてるわけじゃないよ。ちょっと顔見たから、意地悪言ってみただけ」  そう言って、隣の席に
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第10章 気持ちの清算 ③ふたりの時間

 強い風が吹いていた。 けれど校舎裏のこの場所だけは、ぽかぽかと暖かい。壁のおかげで風も通らなくて、陽もかすかに差し込んでいる。 ——いや、たぶんそれだけじゃない。 心の中があったかいんだ。隣に南条がいるから。 ふたり並んで壁にもたれて、何も言わずにぼんやり空を見ていた。 さっきまではスケッチブックを開いていた南条は、それを閉じて俺の方に身体を向ける。 南条が絵を描いていたのは『完成したから、すこし休憩』と言って以来、久しぶりだった。「……何を描いてたの?」「……空」 それは、迷いのない声だった。 初めて南条と出会った日を思い出す。あのときも、同じように空を描いていた。「空、か。やっぱ好きなんだね」 そう言うと、彼はすこしだけ頬を緩めた。 その横顔に見惚れて、胸がきゅっとなる。 ——こんなにも、南条のことが好きになるなんて。 あの頃の俺は、想像すらしていなかっただろう。「……ねぇ」 隣から、小さく声がした。「ん?」「今……手、繋いでもいい?」 声のトーンがいつもよりすこし低くて、恥ずかしがってるのがわかった。 すこしだけ身体をこっちに寄せてきてることにも気づいた。行動のすべてがバレバレだ。 だけど南条が初めて見せる小さな行動に、つい口角が緩む。「もう彼氏なんだから。いちいち許可いらないだろ」 自分でもびっくりするくらい、さらっと言えた。 でも、胸のドキドキは隠せない。 そっと探してくる指先が触れた瞬間、心臓が跳ね上がった。 手のひらが、あたたかい。 繋いでいるだけなのに、全身が包まれている気がする。 南条の温度がじんわり沁みてきて、胸の奥まで届いてくる。 ふと俺は身体を傾けて、彼の肩にそっと寄りかかった。 南条は小さく笑って、同じよう
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第10章 気持ちの清算 ④嵐の前の静けさ

 翌日の放課後。  いつも通り教室の扉に手をかけたとき、胸の奥がすこしだけざわついた。  なんとなく、外の空気が、普段と違う気がした。  ……いや、たぶんそれは俺の心がざわついていただけだ。  深く息を吸って、ゆっくりと扉を引く。  その瞬間—— 「白浜くん!」 「樹!」  重なるように響いた、ふたつの声。  まるで示し合わせたみたいに、ぴったり同時だった。  驚いて足が止まる。  思わず顔を上げると、左右の廊下からそれぞれ駆けてくる姿が見えた。  綾瀬と、有理。  どちらも俺を見ていた。  でも次の瞬間、ふたりの目が交差する。  ぴたりと止まったその足と同時に、空気が一気に凍りついた。  綾瀬は、かすかに目を見開く。  有理は、ふっと視線を落とす。  何も言わずとも、ふたりの間に漂うものが伝わってくる。  ……そうだ。  俺だけじゃない。  このふたりにも、ずっと抱いてる感情があるんだ。  綾瀬の胸の奥にあるもの、有理の心の揺れ。  そして今、この瞬間——それが、真正面からぶつかろうとしている気がした。 「……あ、ごめん。急に、声かけちゃって」  緊張をほぐすように、綾瀬が先に口を開いた。  けれど、その声にかぶせるように、有理も言う。 「……ちょっと、話せないかなって」  互いの言葉が交錯して、再び沈黙。  ふたりとも、言葉の続きを探しているみたいに、口を結んだまま俯いた。  その空気を、柔らかく切り裂いたのは—— 「白浜くん……」  静かな声だった。  階段の方から、南条が歩いてきていた。  手には、いつものスケッチブック。  ゆっくりと、確かめるような足取りで近づいてくる。  そして、何も言わずに俺の隣に立った。  その距離は、俺たちにとってはごく自然で、ごく当たり前で……でもそれは、綾瀬と有理にとっては、目を背けたくなるものだった。  何も言わないのに、ちゃんと伝わる。
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