南条に初めて呼び出された日から、校舎裏に来ることが当たり前みたいになっていた。 白い粉雪が、音もなく降り注ぐ。 冷たさよりも、その静けさが肌に沁みていた。 まるで、俺たちだけを残して世界が消えてしまったような、そんな感覚だった。 今日も校舎裏で、南条とふたりきり。 南条が絵を描くための時間だが、正直その理由なんて、もうどうでもよかった。 ただこの場所で、彼の目に映ることができる事実。それだけが、嬉しかった。 南条は何も言わずに、スケッチブックを抱えたまま、真剣な顔をしている。 鉛筆が紙を滑る音だけが、異様に耳に残る。 雪の気配と、南条の気配。 たったそれだけが、この場所を満たしていた。 肩に積もった雪を振り落とすのも忘れて、俺はじっと座り込んでいた。 目を逸らしたら、何かが崩れてしまいそうで。 彼の集中している顔を、そっと見つめていた。「……」 ふと、鉛筆が止まった。 そして南条の眼差しが、ゆっくりとこちらに向けられる。 瞳の奥に映っていたのは、俺だった。「……寒そう」「え?」 ぽつりと、そんな言葉が落ちる。 南条は自分が巻いていた黒色のマフラーに、そっと手をかけた。「え、いや」 慌てて手を振ったけれど、南条は何も言わずに、すっと歩み寄ってくる。 息が止まる。 ほんの数歩なのに、心臓が大きく音を立ててうるさかった。「南条っ」 彼の指が、マフラーの端を撫でる。 そしてそっとほどいて、俺の首元に巻いてくれた。「……」 雪で冷えた指先が、喉元をかすめる。 南条の指は、すこしだけ震えていた。なのにその仕草は、あまりにも優しい。「……ありがとう」 俺は、感謝を言葉にするのが精一杯だった。 マフラーのぬくもりと、彼の手の余韻に包まれたまま、俺は動けずに
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