パーティーは午後六時からだった。三久は蒼汰を連れて帰り、昼食を済ませて少し休んでから支度に取りかかった。黒い服はお腹の膨らみをそれほど目立たせず、白い肌をいっそう際立たせている。化粧をしなくてもやつれた様子はなく、少し体重が増えたせいか、むしろ血色がよく見えた。バッグを提げて外へ出ると、洲人はすでにロールスロイスで玄関先に来て待っていた。車体に寄りかかり、うつむいてスマホをいじっている。ドアの開く音に気づいて一瞬目を上げたものの、すぐにまた画面へ視線を戻した。だが、そのまま数秒固まったかと思うと、はっと顔を上げてこちらを見た。夕暮れの陽が斜めに差し込み、三久の白い肌を淡い黄金色に染めている。艶やかな黒髪をひとつに束ね、毛先が肩口に垂れていた。その清楚な佇まいは、まるで高校生のようにも見えた。「行こっか」三久が近づいてドアハンドルを引いたが、開かない。顔を上げて洲人を見ると、その漆黒の瞳と真正面からぶつかった。眉をひそめる。「何ぼうっとしてるの」「……?」洲人は我に返り、スマホをポケットに突っ込むと、運転席側から回り込んでドアを開けようとする。ハンドルを引いても開かず、そこでようやく鍵がかかったままだったことを思い出す。ばつが悪そうに笑いながらキーを取り出して解錠し、もう一度ドアを引いた。視線は何度も三久のほうへ吸い寄せられては、すぐに逸らされることを繰り返している。三久は、今夜は夕食に行けないと、梨々香へ連絡するのを忘れていたことに気づいた。うつむいてメッセージを打つのに気を取られ、洲人の様子がどこかおかしいことには気づかない。打ち終えて顔を上げたときには、車はすでにマンションを出ていた。夕陽はまだ濃く、重なる山並みの向こうへ沈もうとしている。吹き込む夜風にはうっすらと涼しさが混じっていた。三久は花鳥柄のショールを肩に羽織る。「神崎家って、深川にも取引先があるの?」彼女は洲人に訊ねた。「あ?」洲人は慌てて彼女を一瞥し、すぐに視線を戻した。「大昔に親父がこっちに来たことがあってさ。どんな取引先なのかは俺もよく知らねえんだ。とにかく来たついでに一度顔合わせておけって話で」三久は小さく頷いた。「そうよね、ビジネスの世界って付き合いが大事だから」洲人もつられるよう
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