両家の親たちが準備してくれた祝賀会。テーブルの上には、夏希の好物である激辛料理ばかりが並んでいる。胃腸が弱い私は、こんな刺激の強いものは一切口にできない。あらかじめ予約してあったお祝いのケーキ。スペースが足りなかったのだろうか。そこには、夏希と誠司の名前だけが窮屈そうに並んで書かれていた。私は二人の間に座っている。宴が始まってからずっと、彼らは私を挟んでふざけ合っていた。誠司が手を伸ばして夏希の髪を引っ張る。ヘアゴムの飾りがチリンと甲高い音を立てた。「おいこら。俺の方が偏差値高いんだから、俺が上座に座るべきだろ」夏希が笑いながら私の後ろに隠れる。「ねえ、彼氏どうにかしてよ!テストが終わった途端に調子乗ってるんだけど」誠司も負けじと言い返す。「こいつに俺が止められるわけないだろ。お前の顔を立ててやってるだけだっつーの」「恩知らず!」夏希が箸で誠司の手の甲をピシャリと叩いた。「私がくっつけてあげなきゃ、こんな可愛い妹と付き合えなかったくせに!」言い合いながら、二人はまたポカポカと叩き合ってじゃれ始める。その真ん中に座っている私は、まるで完全な部外者だった。喉まで出かかっていた喜ばしい報告は、とうとう行き場を失ってしまった。誠司のことが好きだった。それも、ずいぶん昔のことのように思える。密かに綴っていた私の日記を、夏希が勝手に読み漁ったことがすべての始まりだった。誰にも言わないでほしいと懇願したのに。適性試験が終わる頃には、なぜか周囲の誰もが知る公然の秘密になっていた。「何を怖がってんの?お姉ちゃんが協力してあげるから!」彼女は私の肩を抱き寄せてそう笑った。夏希に急かされて、私は三日三晩徹夜でラブレターを書いた。けれど、実際に誠司に渡されたのは、夏希が代筆した手紙だった。それを読んだ誠司は腹を抱えて笑っていた。「お前が書いたんだろこれ。アホか、自分の名前直すの忘れてんぞ」夏希は誠司の耳を引っ張り上げてぐるりと捻った。「で、付き合うの?断るならもう絶交だからね!」誠司は両手を上げて降参した。本当に夏希に口をきいてもらえなくなるのを恐れて。彼はただそのついでとして、私からの告白を受け入れた。私はずっと、夏希が放つ強烈な光から伸びる影法師だった
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