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向かうべき場所はもう手の中に
向かうべき場所はもう手の中に
ผู้แต่ง: タワークラッシュ

第1話

ผู้เขียน: タワークラッシュ
両家の親たちが準備してくれた祝賀会。

テーブルの上には、夏希の好物である激辛料理ばかりが並んでいる。

胃腸が弱い私は、こんな刺激の強いものは一切口にできない。

あらかじめ予約してあったお祝いのケーキ。

スペースが足りなかったのだろうか。

そこには、夏希と誠司の名前だけが窮屈そうに並んで書かれていた。

私は二人の間に座っている。

宴が始まってからずっと、彼らは私を挟んでふざけ合っていた。

誠司が手を伸ばして夏希の髪を引っ張る。ヘアゴムの飾りがチリンと甲高い音を立てた。

「おいこら。俺の方が偏差値高いんだから、俺が上座に座るべきだろ」

夏希が笑いながら私の後ろに隠れる。

「ねえ、彼氏どうにかしてよ!テストが終わった途端に調子乗ってるんだけど」

誠司も負けじと言い返す。

「こいつに俺が止められるわけないだろ。お前の顔を立ててやってるだけだっつーの」

「恩知らず!」

夏希が箸で誠司の手の甲をピシャリと叩いた。

「私がくっつけてあげなきゃ、こんな可愛い妹と付き合えなかったくせに!」

言い合いながら、二人はまたポカポカと叩き合ってじゃれ始める。

その真ん中に座っている私は、まるで完全な部外者だった。

喉まで出かかっていた喜ばしい報告は、とうとう行き場を失ってしまった。

誠司のことが好きだった。

それも、ずいぶん昔のことのように思える。

密かに綴っていた私の日記を、夏希が勝手に読み漁ったことがすべての始まりだった。

誰にも言わないでほしいと懇願したのに。適性試験が終わる頃には、なぜか周囲の誰もが知る公然の秘密になっていた。

「何を怖がってんの?お姉ちゃんが協力してあげるから!」

彼女は私の肩を抱き寄せてそう笑った。

夏希に急かされて、私は三日三晩徹夜でラブレターを書いた。

けれど、実際に誠司に渡されたのは、夏希が代筆した手紙だった。

それを読んだ誠司は腹を抱えて笑っていた。

「お前が書いたんだろこれ。アホか、自分の名前直すの忘れてんぞ」

夏希は誠司の耳を引っ張り上げてぐるりと捻った。

「で、付き合うの?断るならもう絶交だからね!」

誠司は両手を上げて降参した。

本当に夏希に口をきいてもらえなくなるのを恐れて。彼はただそのついでとして、私からの告白を受け入れた。

私はずっと、夏希が放つ強烈な光から伸びる影法師だった。

死に物狂いで勉強して、首席の成績を叩き出しても、結局、誰も私になんて見向きもしない。

私はただうつむき、白米だけを黙々と口に運んだ。

隣では、誠司がみかんの皮を剥いて夏希に渡している。

彼女はそれを一口かじると、ついでとばかりに私の口に押し込んできた。

「食べてみて。あんたの彼氏が剥いたやつ、すっごく甘いよ」

両親が注文した夏希の好きな料理は、夏希の皿にばかり山のように積まれていく。

彼女はそれを面倒くさそうに私の皿へと追いやった。

「多すぎ。ちょっと手伝ってよ」

みかんは甘いのに、口の中に広がるのは苦味ばかりだった。

私はまるでゴミ箱みたいだ。

姉が気にも留めないものを、全部綺麗に片付けるためだけの存在。

幼い頃からずっと続いてきたこの感覚に、もううんざりしていた。

箸を置き、少し潤んだ目を瞬かせてから、私は真っ直ぐに誠司を見た。

「ねえ、私と一緒に南奈波防衛大学校を受けるって言ったこと、覚えてる?」

思い出すのは三年前の夏。

空が燃えるような夕焼けに染まっていた日のこと。

あの日の私は、外国語の小テストでまた酷い点数を取り、グラウンドの観客席にしゃがみ込んでぼんやりしていた。

いつの間にかやってきた誠司は、段差を登って私の隣に腰を下ろし、水の入ったペットボトルを差し出してきた。

「また赤点か?」

私は膝に顔を埋めた。

「もう勉強したくない。私、馬鹿だから……どう頑張っても、二人には追いつけないよ」

彼は何も言い返さない。

しばらくして、彼はペットボトルを私の手に押し付けながら言った。

「じゃあ、目標を決めろよ。海、好きだったよな?南に行け」

私は顔を上げた。

「南奈波防衛大学校」

彼は言う。

「前に調べたんだけどさ。南の離島にあって、ドアを開けたらすぐにお前が好きな海が広がってる。ヤシの木だらけの場所だ」

「誠司も行くの?」

思わず口から出た言葉に、彼は少しだけ呆気にとられ、足元の段差を軽く蹴った。

「お前が受かったら、一緒に行ってやってもいいけど」

「ほんと?」

「嘘ついてどうすんだよ」

彼は短く笑い、手を伸ばして私の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。

「そしたら日曜には、海辺で貝殻拾いに付き合ってやる。胃が弱いお前でも食べられるような、出汁の効いた優しい料理もあるし、大好物の黒糖スイーツもあるぞ」

そう語る彼の肩に、夕陽が眩しく降り注いでいた。

【南奈波防衛大学校】の8文字を、私は日記帳のページが真っ黒になるほど書き連ねた。

けれど、その日記を夏希に見られたのが運の尽きだった。

元々南の都市を志望していた彼女は、突然一番遠い帝国軍事医科大学校へ行くと言い出した。

誠司もそれに釣られて、あっさりと志望校を変えた。

「あ……そうだったっけ?覚えてねえな」

誠司はヘラッと笑った。まるでそれがどうでもいい事であるかのように。

「急にどうしたんだよ」

彼は椅子の背もたれに寄りかかった。

「俺は今、夏希と一緒に軍医大に行きたいんだ。それに、お前は南奈波防大に落ちたんだろ」

私は息を呑んだ。

なんだ。全部覚えているじゃないか。

覚えた上で、私が不合格だったと決めつけているだけだ。

「ちょっとちょっと!晴陽に向かって何てこと言うのよ!」

夏希が腰に手を当てて誠司に噛み付いた。

「あんたの彼女でしょ!未来の奥さんじゃん!」

「じゃあお前が嫁にでもしろよ!」

「バッカじゃないの!」

二人はまたギャーギャーとふざけ合い始めた。

その瞬間、すべてがひどくつまらなく思えた。

円卓の向こうでは、母が二人を見て笑い、父と誠司の父親が三杯目のビールジョッキを合わせている。

私が席を立ち、個室を出て行っても、誰も気づく者はいなかった。

夜風が肌に冷たい。

スマートフォンを取り出し、担任の安藤先生に電話をかけた。

「もしもし、南雲さん?」

私は真っ直ぐに告げた。

「安藤先生。私の偏差値と特待生資格のこと、内緒にしていただけませんか」

電話の向こうで、先生は少し言葉を詰まらせた。

「構わないが……志望校選びの参考にするだろう?君はブロックの首席なんだから、ご家族と相談しなくていいのか?」

私は壁に背中を預けた。

暖かなオレンジ色の光が漏れるガラス窓の向こう。

誠司が夏希の腰を抱き寄せて、くるくると回ってふざけ合っているのが見える。

「相談はしません。私、南奈波防衛大学校に進学します」

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