「昨日、英明さんに電話した。何にどこまで出してくれるのか、聞いたんだ」 湊が寝てからかけた電話で、直人は先にそう言った。 若菜は居間の椅子に座り直した。今日のことを書いたメモの横に、圭吾のファイルを置いている。 「何て?」 「金額は、そのとき決めると。大きな金が必要なことは、決める前に話せと言われた」 「話したら、あの人がいいと言うまで待つの?」 「そこを聞いたら、相談もせず金だけ出せと言うのかって」 若菜は目を閉じた。助けるという言葉だけを、何度も思い返していた。先へ進めば、何をするにも英明の返事を待つことになるのかもしれない。 「まだ返事はしていない。お前と話してからにすると言った」 「うん。……今日、圭吾のことで聞いたことがあるの」 若菜はメモへ目を落とし、本邸での話を伝えた。 圭吾が帰ろうとしたこと。英明が腕をつかみ、肩を押し戻したと言ったこと。頭を打った場所も、若菜が当時聞いていた話にはなかった。 直人は途中で一度、短く聞き返した。 「本人が、そう言ったんだな」 「うん。祥子さんと相馬さんもいた」 祥子が葬儀前から知っていたことまで話すと、若菜は携帯を膝へ下ろしかけた。まだ通話中だと思い出し、耳へ戻す。 「今、大丈夫か」 直人の声がした。 「聞いたときより、今のほうが……」 続きを言えなかった。人に話すと、英明の
Zuletzt aktualisiert : 2026-11-03 Mehr lesen