「澪」和樹くんが、私の名前を呼びました。四人が、こちらを見ていました。「なんか、知ってるだろ」私は、膝の上で拳を握っていました。半年間、ずっと考えてきたことです。いつか話さなければならない日が来ると分かっていました。来てほしくないとも思っていました。でも、もう無理でした。久遠くんはもう半分まで来ています。あの人が「縒」の字にたどり着いた以上、時間の問題でした。この人たちは、自分の中身が空だと知ってしまったのです。ここで私が黙ったら、四人は何も分からないまま、自分が何者かを疑い続けることになります。「……確かめてほしいことがあります」私は、顔を上げました。「去年の元旦のことを、一人ずつ聞いてください。私が四つとも答えられるかどうか」最初に口を開いたのは、幸也くんでした。「カラオケで、俺、何歌った?」「三曲です。一曲目はアニメの主題歌で、二曲目が古い歌謡曲で、三曲目は途中でマイクを置きました。音程が取れないからって」幸也くんの顔から、表情が消えました。「……合ってる」「じゃあ」新太くんが、前に出ました。「俺が人混みからお前を庇ったとき、お前は何て言った」「『ありがとうございます』と言いました。それから『新太くんの手、冷たいですね』と言いました」新太くんが、右手で額を押さえました。「……そうだ」消えそうな声でした。「映画」次は和樹くんでした。声が、少し震えていました。「何を観た」「洋画でした。二人とも途中で飽きて、あとで感想を言い合ったら、二人とも同じところで寝ていました」和樹くんは、無言で下を向きました。最後に、久遠くんが言いました。
Zuletzt aktualisiert : 2026-10-08 Mehr lesen