三月の半ば、冷蔵庫から当番表が消えました。気づいたのは朝です。マグネットだけが四つ、何も挟まずに貼りついていました。八月の終わりから、あの紙はずっとそこにありました。幸也くんの字で、月曜から金曜までが書いてあって、角がだんだん丸くなっていた紙です。ないだけで、冷蔵庫の扉がこんなに広いのだと知りました。「お母さん、あれ」「ああ、昨日の夜ね。結城さんとこの子が取りに来たのよ」母は、洗い物をしながら言いました。「新太くんだったかしら。長いことお世話になりましたって、わざわざ頭下げて」あの人は、そういうことをします。やめるときほど、きちんとやる人です。母は何も気づいていませんでした。当番が終わったのだと思っています。◇学校に着くと、四人は普通でした。幸也くんは朝から喋っていたし、新太くんは鞄に手を伸ばしかけて、途中でやめました。久遠くんは半歩前にいませんでした。和樹くんは、私の顔を見て、少しだけ笑いました。一つずつは、たいしたことではありません。四つ重なると、全部が違って見えました。昼休みに、幸也くんが言いました。「澪ちゃん、しばらく送るのやめるわ」「……どうしてですか」「んー、まあ、いろいろ」いつもの調子でした。いつもの調子で、いちばん大事なところを飛ばす言い方です。「いろいろって、何ですか」「俺たちの問題」それだけでした。◇その日から、四人と過ごす時間がなくなりました。教室では話します。挨拶もするし、授業の話もします。廊下ですれ違えば手を上げてくれます。でも、放課後になると四人はいなくなります。四人だけで、どこかへ行くのです。一度、校門の外で四人を見かけま
Zuletzt aktualisiert : 2026-10-18 Mehr lesen