Alle Kapitel von 婚約者の裏切りを知った夜、私は彼の実弟に奪われた: Kapitel 11 – Kapitel 20

52 Kapitel

私の欲望

「麗奈さん、綺麗だよ」 私は世那に跨り、長い髪を乱しながら自ら腰を振った。本当の私は性欲が強い。恭吾との行為で満足したことは一度もなかった。いつも、私はいったふりをして、恭吾が果てるのを待っていた。 それが今ではどうだろう。世那は私を満たしてくれる。自分本位の行為はしない。悔しいけれど、世那は上手い。それ故、世那は私の奥底に隠していた欲望を暴いていく。 私は世那の首筋に手を這わせた。そして、世那の鍛えられた胸筋に口付けすると、彼の身体が一瞬、ビクついた。世那が私に感じている。その事が、私をより興奮させた。私は世那の腹に両手をついて、更に激しく腰を振った。全身に痺れるような感覚が走った。すると、世那が私を下から思いきり突き上げた。 「世那……だめ……///はぁ……」 「麗奈さん、俺の事挑発しすぎ」 「……してない//」 「ははっ。だったら、麗奈さんに思い出させてあげないと」 「え……?」 すると、世那は私の唇に何度もキスをした。そして、首筋に手を這わせ、胸の突起に優しく口付けした。まさに、先程、私が世那にやったことを再現しているかのようだった。ただ一つ違うことは、私が果てるまで、やめないということ。 「はぁ……/世那、もう……あぁっ//」 「麗奈さん、綺麗だよ」 「んん……/////」 私は世那にしがみつきながら、絶頂を迎えた。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ベッドの中で世那は、私の肩を抱き、優しく髪を撫でた。世那は、事後のケアまで完璧だ。モテないはずがない。 「麗奈さん、シャワー浴びる?」 「今はいいわ。誰かさんのせいで動けないから」 「ごめん。麗奈さんが可愛かったから……」 「嘘よ。ただ、もう少し世那とこうしていたいだけ」 最近、あの時に世那を選んでいたら、私の未来は違ったのか?と考えることがある。当時の私の目は節穴で、恭吾の事を自慢の恋人だと思い込んでいた。だから私は、当時、高校生だった世那の想いを振ったのだ。あの頃の私は世間知らずのただのお嬢様だった。 「麗奈さん?」 「なんでもないわ」 「それならいいけど……」 世那はそれ以上、踏み込んでは来なかった。私たちは身体を重ねるけれど、恋人ではない。しかも、私が世那に抱かれる理由も愛ではない。これは、恭吾への復讐だ。 「麗奈さん、疲れたでしょ。今夜は休
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-09-25
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裏切り者には復讐を

私は鏡の前でドレスに着替えながら、世那に問いかけた。 「世那。今日、仕事は?」 「この土日は休み」 「珍しいわね。最近、ずっと仕事してたのに」 「やっと、案件が落ち着いたんだ。まぁ、でも、月曜日からまた忙しくなるけどね」 「そうなのね」 「忙しくても、麗奈さんとの時間は作るから安心して」 そう言いながら、世那はドレスの背中のチャックをゆっくりと上げた。世那の手が微かに私の背中に触れた。それだけなのに、私の身体は熱くなった。 「ね、知ってた?」 「なに?」 「麗奈さんは、ここにホクロがあるんだよ」 すると、世那は私の背中と腰の境目を人差し指で押した。 「ひゃっ//」 「麗奈さん、何処から声出してるの?」 「だって、世那が触るから……//」 「ほんとに麗奈さんは可愛いね」 「私は可愛くない/」 このままでは、また世那に流されてしまう。今こそ、年上の威厳を見せる時だ。 「世那、着替えたから帰るわよ」 「うん」 「聞いてる?」 「聞いてるよ」 私はハンドバッグから財布を取り出し、三万円を世那に手渡した。 「足りる?もっといる?」 「ここは俺が払うよ」 「でも……」 「麗奈さん。どうして、そんなに他人行儀なの?」 「そんなつもりは……ただ、私は世那より年上だからしっかりしないとって思って」 「ははっ、俺の前でも気を張ってどうするのさ。兄貴の前でも息が詰まりそうなくせに」 世那の言っていることは、図星だった。私はいつも本当の自分を隠して生きていた。すると、俯く私を世那が優しく抱き締めた。 「麗奈さん、今週末は俺のマンションで過ごさない?」 「え!?」 「そんなに驚くこと?」 「それはさすがに……」 「まぁ、言われてみれば、未来の義姉を部屋に誘ってるわけだからね」 「どうしたら世那みたいに、肝が座った人間になれるんだろう」 「それはね、俺には失うものがないから。麗奈さんが俺の傍に居てくれれば、俺は生きていけるから」 世那はこんなにも私を必要としてくれる。今思えば、恭吾が私を必要としていたのは、私を出世の道具にする為だった。その為に、恭吾は私に甘い言葉を与えた。なぜ恭吾の本性に気づかなかったのだろう。私は愚かな自分を恥じた。 「それ
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-09-26
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婚約者を揺さぶるキスマーク

「お邪魔します」 「どうぞ」 私は脱いだ靴を揃え、世那のマンションに足を踏み入れた。長い廊下を歩くと、街を一望できる程の大きな窓が目に入った。 「リビングから眺める夜景は最高なんだ」 「そうでしょうね」 「ずっと、麗奈さんと見たかった」 世那は私を後ろから抱き締めた。世那から微かに煙草の臭いがした。すっかり世那も、素敵な大人の男性に成長したことを私は実感した。それと同時に、私は自分の見る目の無さに自嘲した。 「麗奈さん?」 「世那、格好よくなったね」 「麗奈さんのためだよ」 「私の?」 私は振り向き、世那と向かい合った。世那の視線が優しくて、私は直視出来なかった。私はずるい。世那の気持ちを知りながら、彼を利用している。それでも私を守ってくれる世那に私は甘えてしまう。 「兄貴より格好よくなれば、麗奈さんを奪えると思ったから」 「え……んん...///」 突然、世那が私の唇にキスをした。息ができないくらいに私を求める世那のキスが好きだ。私を必要としてくれる世那を私も必要としていた。 「はぁ……世那、くるしっ/」 「俺以外のことを考えてたから」 「そんなことは……んんっ……///」 「俺には分かるんだよ。ずっと、麗奈さんを見てたから」 すると、世那は私を抱きかかえ、ソファーに押し倒した。そして、私の首筋に思いきり吸い付いた。 「だめ……//痕、ついちゃう/」 「わざとだよ」 「どうして?これじゃあ、恭吾に……」 私は抵抗したけれど、世那は辞めようとしなかった。世那の舌が私の肌に触れる度、快感で頭がぼぉーとする。口では抵抗するのに、身体はもっと欲しいと強請ってしまう。世那が私を侵食する。それすらも心地いいと思うほど、世那との行為は格別だった。 「世那……//いっぱいついたでしょ?//」 「そうだね。兄貴が見たらどんな顔するかな?」 世那は唇をペロッと舐めた。その表情は色っぽくて、私は目が離せなかった。 「恭吾にバレちゃう……」 「麗奈さん。そろそろ兄貴を揺さぶってみようか?」 「え……?」 「麗奈さんだって、やられっぱなしは嫌でしょ?」 すると、世那は私の中に容赦なく入ってきた。私の身体は世那をすんなり受け入れた。 「そうだけど……あぁっ//」 「まさか、麗奈さんの相手が俺だとは思わないだろうけど」 世那
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-09-27
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カベルネ

「麗奈さん、ワイン飲む?」 「昼間から飲むなんて贅沢ね」 「休みの日くらい好きなことしようよ」 世那はキッチンから、赤ワインとワイングラスを2個持って、リビングに戻ってきた。私は赤ワインのラベルを二度見した。 「カベルネ」 「麗奈さん、好きでしょ?」 「ええ。覚えてたのね」 「もちろん。他にも知ってるよ。例えば、スリーサイズとか……」 「ねぇ//」 「でもまだ知りたいんだ。麗奈さんのこと。知らないことが無いくらい全部」 「調子に乗らない/」 「照れてるの?さっき俺たち……」 私は咄嗟に世那の口を手で塞いだ。全く、油断も隙もない。時折、世那が見せる無邪気な表情に騙されそうになるが、彼は羊の皮を被った狼なのだ。 「それなら、ワインを飲みながら、動画鑑賞会でもする?」 世那はワイングラスにワインを注ぎ、私に差し出した。私はワインを味わうようにゴクリと飲み込んだ。 「そうね。観ましょう」 恭吾の不貞の証拠を、この目に焼き付ける。そして、然るべき時に恭吾に突きつけ、彼を破滅させる。 「準備するね。麗奈さんは寛いでて」 「ありがとう」 世那はリビングから出ていった。恐らく、証拠を取りに行ったのだろう。リビングに一人残された私は、リビングの窓辺に立った。そして、ワインを飲みながら階下を見下ろした。 私は幸せになるはずだった。ただ、男に従うだけの人生なんてクソ喰らえだ。今こそ、私の恵まれた容姿と能力を発揮し、自らの手で幸せを手にする時なのだ。例え、その為に誰かを傷つけたとしても。 「麗奈さん、お待たせ」 「そんなに!?」 私は世那が持ってきた恭吾の不貞の証拠の多さに思わず声を出した。 「沢山あるって言ったでしょ?」 「言ってたけど……こんなに……」 「麗奈さんと、付き合い始めてから今までの8年分の記録だからね」 「本当に救えないクズね」 私は吐き捨てるように言った。 「これで兄貴への復讐に後ろめたさはなくなっただろ」 「元からそんなことは……」 「嘘。ずっと、俺に抱かれながら麗奈さんは悩んでた」 「それは……」 「俺が気づいてないとでも?」 世那は私に近づき、私の頬に触れた。 「麗奈さんは優しすぎる。俺のことは気にしなくていいんだよ。俺に罪悪
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-09-28
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婚約者の裏切りの証拠

私はソファーに座り、パソコンの画面を凝視した。世那がEnterキーを押すと、動画は再生された。 「麗奈さん、無理ならやめようか?」 「世那、私を甘く見ないで」 騙され続けた私は、今日で終わりだ。ここからは、私が恭吾に牙を剥く番だ。世那という最大の裏切りを切り札にして。 「麗奈さんがそう言うなら、俺はとことん付き合うよ」 「話が分かるじゃない」 「俺は、麗奈さんの共犯者だからね」 すると、世那は私の右手を握った。 「あ、そろそろ兄貴が部屋に戻ってくるよ」 「世那、詳しいのね」 「俺は全ての証拠を一度、確認してるからね」 「そうなの?」 「うん。全てが有益なものとは限らないだろ。麗奈さんに余計な時間を使わせたくないから」 「本当に気が利く男ね」 「でしょ?気に入った?」 私は微笑み、その場をやり過ごした。気を抜くと、私のパーソナルスペースを軽々と越えていく世那に危機感を覚えた。 「あ、恭吾よ。誰かと居る?世那は相手を知ってるのよね?」 「ああ」 「誰なの?この時の恭吾の浮気相手は」 「それは、麗奈さん自身で確かめた方がいいと思う」 世那の口ぶりから、私は嫌な予感がした。だが、これ以上、絶望することは無い。私は女が画面に映るのを待った。 「恭吾、私と居ていいの?今日は、麗奈の誕生日でしょ」 「問題ないよ。麗奈は俺を煩わせたりしない。俺が無理と言ったら、それ以上、何も言わないさ」 「ははっ、最低な男ね」 「でも、そんな最低な男が好きなのは誰だ?」 「もう。今来たばっかよ/」 私はその後の展開を予想し、動画を流し続けた。まさか、ここまで馬鹿だったとは。恋は盲目とはよく言うけれど、私は何を見ていたのだろうか。自分の馬鹿さ加減に笑いが止まらなかった。 「ははっ、まさか、紗江だったなんて」 葉月紗江とは、大学に入学してすぐに知り合った。同じ学部だったこともあり意気投合し、お互いに何でも話せる親友になった。 もちろん、恭吾と付き合うことになった時も、真っ先に葉月に伝えた。その結果が、葉月に恭吾を奪われていたなんて。何も知らない私が、さぞかしおかしかっただろう。私は両手で拳を握った。「麗奈さん、今日はここまでにしとく?」「ううん、全部みるわ。復讐する相手の顔を目に焼き付けないと。ところで、恭吾は何人の女と浮気してたの?」
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-09-29
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依存からの脱却

「麗奈さん、何作るの?」世那は、キッチンのカウンター越しに、楽しそうな表情を浮かべながら、私に問いかけた。「折角なら、ワインに合う料理がいいわよね」私は頭にレシピを思い浮かべてから、冷蔵庫を開けた。「ひき肉と、玉ねぎと、それから……あった!焼肉のタレ」「何ができるんだろう」「何でしょう?当ててみて。世那、パスタある?」「あるよ。ここに」「ありがとう」私は世那からパスタを受け取ると、早速、調理を始めた。「俺も手伝うよ」「世那は料理するの?」「うん。時間がある時はできるだけ自炊してる。こないだの休みは、ビーフシチューを作ったよ」「美味しそう」「麗奈さんにも作ってあげる」「楽しみにしてる」全く、恭吾とは大違いだ。恭吾は帰宅すると、ソファーに座って一切動かない。飲み物ですら私頼みだ。完璧な弟と、クズな兄。どうしてここまで違うのだろうか?さすが、普段から料理をしているだけある。世那は手際よく、玉ねぎをみじん切りにしていく。私はその間に、パスタを茹で、合わせ調味料を作った。 「ボロネーゼだよね?」「そうよ」「焼肉のタレを使うんだ」「焼肉のタレは万能なの。ケチャップとお醤油とおろしニンニクを混ぜ合わせれば出来上がり。味見する?」「うん」「どう?」「美味しい。こんなに簡単に出来るんだね」「あとは炒めたら完成よ」私は具材を炒め、先程の調味料で味付けし、茹で上がったパスタを投入した。全体に味が馴染むように混ぜ合わせ、ボロネーゼは完成した。私は世那が用意した皿に綺麗に盛り付け、仕上げに、パセリと粉チーズを振りかけた。「お待たせ」「おお!美味しそう。いただきます」世那はパスタを豪快に一口食べた。そして、味を噛み締めるようによく噛んだあと、飲み込んだ。「美味しい!いつも作るボロネーゼより濃厚だ」「そう?お口に合ったみたいで良かった」「赤ワインにもよく合うね」「そうね」私の作った料理を美味しそうに食べてくれる世那が愛おしかった。恭吾はどんな料理を作っても無関心だった。美味しいなんて言ってくれたこともなかった。思い返せば、人前でしか恭吾は私に優しくなかった。ふたりでいる時は、恭吾は私を虐げていた。なぜ、その事に今まで気づかなかったのだろう。〝恭吾は優しい。私だけを愛してくれている〟そう思いたかったのは、私自身なのかもしれ
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-09-30
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華麗なる逆転劇

食事を終えた私は、再び、パソコンの画面と向き合った。次は、3人目の恭吾の浮気相手の動画だ。「再生するね」「お願い」動画は冒頭から、恭吾とキスをする女の横顔が映し出された。私はこの女をよく知っている。そして、憎んでもいる。女の名前は、水無瀬雫。恭吾の幼なじみだ。「水無瀬ともできてたとはね。気持ち悪い男ね」「雫のことは俺もよく知ってる。陰湿な奴なのに、馬鹿な兄貴は、まんまと彼女に騙された。自業自得だけどね」私と水無瀬雫との因縁は、大学在学時に遡る。当時、恭吾に気に入られていた私に、水無瀬は、仲間とともに嫌がらせを繰り返した。その嫌がらせは日に日にエスカレートしていった。「今こそ、あの日々の屈辱を晴らす時ね。まずは、この3人を完膚なきまでに叩き潰しましょう」「仰せのままに」世那が言った。 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄「 最初のターゲットは、葉月紗江にしましょう。紗江は今週末、婚約披露パーティーを開くの。その場所で、紗江の本性を暴くわ」「なるほど。その場には兄貴も来るから二人の秘密を暴露するには、絶好の場所だな」「先日、私と恭吾も婚約パーティーを開いたところよ。過去のこととはいえ、浮気の証拠の映像が会場のスクリーンに流れるの。それを見た私は、恭吾に浮気したことを問いただし、ショックを受けて、泣き崩れる」私は計画を淡々と述べた。それを世那は相槌を打ちながら聞いていた。「この計画を成功させるには、麗奈さんの演技力が試されるね」「そこなのよ。私、涙流せるかしら」もう私に怖いものはない。必要であれば、人を欺くこともいとわない。「それから、世那に一つ頼みたいことがあるの」「何?俺に出来ることであれば何でもするよ」「婚約披露パーティーの日までに、マンションを一部屋用意して欲しいの。恭吾には居場所を知られたくなくて……」すると、世那は一瞬、何かを考える素振りをした。やはり、世那に頼りすぎたのだ。世那がどんなに優しくても、彼は忙しい人だ。私の願いばかり聞いていられる訳がない。「ごめん、世那、やっぱり自分で……」「目の前のマンションの最上階でいい?」世那が指さしたマンションは、数ヶ月前に完成したタワーマンションだった。今の私には、そこに住めるだけの財力がなかった。「素敵だけど、私には家賃が払えないわ」「家賃はいらない。その代わ
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-09-30
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麗奈の復讐計画 ―葉月紗江編―

葉月紗江の婚約披露パーティー当日。 私は、恭吾が用意した水色のドレスに身を包み、彼と腕を組んで会場に足を踏み入れた。すると、一足先に会場に来ていた世那が私たちの元へやってきた。 「兄貴、麗奈さん。相変わらずお似合いで」 「世那、ありがとう」 私は世那に微笑みかけた。 「恭吾、シャンパン持ってくるわね」 すると、恭吾はしばらく私を凝視した。今日のドレスは胸元が開いているタイプだ。恐らく、私の首元にある消えかけのキスマークに気づいたのだろう。しかし、恭吾の事だ。気づいたとしても、私に直接、問いただすとは考えにくい。 「ああ。頼む」 私の予想は的中して、恭吾は何も言わなかった。私は恭吾から離れると、シャンパンを取りにテーブルまで歩いた。世那も同じタイミングでこちらに来た。 「麗奈さん、映像の仕込みは完了してるから」 「ありがとう。このパーティーが終わったら、恭吾には会食の予定が入ってるの。その隙に、私は世那の用意してくれたマンションに引っ越そうと思ってる」 「それなら、パーティーが終わり次第、俺の会社関係者に荷物を運ばせるよ。兄貴が帰ってきたら、もぬけの殻だったってね」 「助かるわ。それじゃあ、また後で。打ち合わせ通りに」 「承知しました。お嬢様」 「その呼び方、珍しいわね」 「麗奈さんの本来あるべき姿だよ。あなたは、名家のご令嬢なんだから。こんな所で、クズ男の犠牲になんてなるべき人じゃない」 世那は私の肩を軽く叩くと、何事もなかったかのように持ち場に戻った。世那の言う通り、私はこんな所で、婚約者の不貞に耐え、屈辱を飲み込み、笑顔を振り撒くような女ではない。その為ならば、嘘の涙も流そうではないか。 「麗奈、そろそろ始まるよ。こっちへ」 「はい。今、行くわ」 私は恭吾にエスコートされ、席に座った。葉月の婚約者は、大手商社の跡取り息子だ。そんな彼が葉月の本性を知ったらどんな顔をするのか見物だ。 そして、婚約披露パーティーが始まった。新作のオーダーメイドドレスに着飾った葉月が、婚約者とともに、誇らしげに入場してきた。その顔が絶望で崩れる事を知っている私にとって、葉月の姿は滑稽でしかなかった。私は参加者に混ざり、顔に笑みを浮かべ、盛大な拍手を送った。 その後も、婚約披露パーティーは、滞りなくプログラムが進行された。それ故、誰も想像しないだ
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-10-01
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さよなら、誰よりも愛していた人

私は会場の混乱に乗じて、外へ出た。そして、予め待たせておいたタクシーに乗り、自宅へ向かった。 自宅へ到着すると、世那が手配した大型トラックが私の帰りを待っていた。彼らは私の後に続いて部屋に入ると、手際よく荷物を運び出した。そして、何往復か荷物を運び出すと、私の荷物は部屋からすっかりなくなった。 私は、自室からトランクを引いてきた。そして、この部屋で恭吾と過ごした6年間を思い返した。まさかあの日々が、偽りの愛だったなんて。一度、壊れた愛は二度と元には戻らないことを恭吾に思い知らせてやる。私は婚約指輪を外し、リビングのテーブルの上に置いた。 さよなら。誰よりも愛していた人。そして、今は、誰よりも憎んでいる人。あなたにもう未練はない。だから、私の手であなたを破滅させる。私を侮辱した代償をきっちり払ってもらおうではないか。 私は、リビングに飾ってある恭吾との写真にライターで火をつけた。写真の中で幸せそうに笑っている私が、あっという間に灰になった。この瞬間、恭吾への愛情も灰のように消えた。もう決して振り返らない。 私は部屋の電気を消した。 マンションを出ると、世那が車から降り、私を待っていた。 「来てくれたんだ」 「うん、一人だと寂しいかなって」 「何よそれ。私はそんなに弱くないわ」 「うん」 「だけど、ありがとう」 私はそれだけ言うと、助手席に乗り込んだ。まさか、自分から恭吾を手放す日が来るなんて思ってもみなかった。人生は何があるか分からない。けれど、どんなに最悪な日でも、必ず朝は来る。私は車の窓から外を眺めた。今の私の目に映る景色は真っ暗だけど、復讐を成し遂げたらこの景色は輝いてみえるのだろうか。 「麗奈さん、引越し祝い何が欲しい?」 世那が運転しながら問いかけた。私は少し考えてから、頭に浮かんだものを答えた。世那が了承するはずがないと見込んで。 「世那の会社の株式」 「いいよ」 「え!?」 「そんなに驚くこと?」 「驚くでしょ。自分の会社よ。もっと大切にして」 「欲しいって言ったのは、麗奈さんじゃん」 「そうだけど、まさか了承するなんて思ってなかったから……」 私は気まずさのあまり、俯いた。 「麗奈さん、驚かせてごめん。だけど、俺は麗奈さんが望むものは全部与えたい。麗奈さんがそれで
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-10-02
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私だけの城

「んん……////世那……だめ//」 「俺たち以外誰も居ないよ」 「でも……//」 トゥルルルルルル…… 「ごめん、電話出るね」 「うん」 世那のキスから解放された私は、内心ほっとした。人に見られるかもしれない場所での行為はいまだに慣れない。だけど、世那に触れられると止まらなくなる。この矛盾に私は悩まされていた。 「もしもし、分かった。ご苦労さま」 電話を切った世那が言った。 「麗奈さん、荷物の搬入が終わったって。今から部屋に行こうか」 「ええ、そうしましょう」 私だけの城へ向かう準備はできた。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 「素敵。こんなに広い部屋に住めるなんて、世那社長のお陰ね。ありがとう」 「どういたしまして。この部屋の合鍵は既に持ってるから」 「でも、本当にいいの?合鍵を渡したら、家賃要らないなんて」 「うん。合鍵があれば、いつでも麗奈さんに会いに行けるから。俺にとっては、そっちの方が価値があるんだ」 「そういうことなら……」 最近の私は、世那に頼ってばかりだ。私も何か世那の為になることをしたいのだが、世那の望む事が分からなかった。 「そうそう。引越し祝いを考えたんだ。車はどう?」 「車!?」 「うん。麗奈さん、ドライブ好きでしょ。でも、兄貴と同棲してからは、麗奈さんの車を兄貴が乗ってるだろ」 「そうね」 恭吾は通勤や休日の接待の際、私名義の車を使っている。その為、私は数年間、運転から遠ざかっていた。 「車があれば、麗奈さんの行動範囲も広がるし、趣味のドライブもできるし、何より便利だと思って」 「これから一人で生活するし、車は必需品ね」 「でしょ?だからプレゼントするよ」 「世那くん、私を甘やかしすぎよ」 私は世那の額を人差し指で押した。すると、世那は私を抱き寄せた。世那の体温と匂いが心地いい。私は世那の背中に腕を回した。 「ねぇ、受け取ってよ」 「どうしようかな?」 「俺、麗奈さんのお金になびかない所も好き」 「ありがとう」 そして、世那は私からそっと離れた。 「そろそろ帰るよ。新しい部屋を存分に堪能して」 「うん、色々とありがとう」 「とんでもない。俺たちは共犯者だからね。これからも良きパートナー
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-10-03
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