私は、鏡の前で水色のドレスに袖を通した。恭吾に似合わないと言われたドレスも、今の私ならば着こなせる。 ピンポーン 世那が迎えにきたようだ。私は玄関の扉を開けた。 「はい」 「麗奈さん、迎えに……」 「世那、どうしたの?」 私を見つめたまま、固まっている世那に問いかけた。 「麗奈さんが綺麗だから」 そして、世那は玄関の扉を静かに閉めた。 「後ろ向いて?」 私は世那に言われるがまま、後ろを向いた。すると、世那は私の首にネックレスをかけた。私は見るからに、高価そうなネックレスに触れた。 「やっぱり、思った通りだ。そのネックレスもよく似合ってる」 「でも、こんなに高価なものは受け取れないわ。私には似合わないもの」 「麗奈さん、恋人からのプレゼントを受け取ってくれないの?」 「それは……」 「何度でも言うよ。麗奈さんは綺麗だ。兄貴に言われたことを気にしてるのも分かる。でもね、今、麗奈さんの隣に居るのは俺なんだ。だから、俺の言葉だけを信じて」 「……分かった」 私は世那の言葉で気付かされた。恭吾に未練なんて微塵もない。だけど、私は未だに恭吾の言葉に縛られている。身体的支配より、精神的支配の方が根強いのかもしれない。 「世那、ありがとう」 「どういたしまして」 「行きましょうか」 「麗奈さんの仰せのままに」 水無瀬雫。あの日々の屈辱を今、晴らしてやる。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 私と世那は、時間より早く〝新生〟に到着した。まだ水無瀬は来ていないようだ。私たちは、個室に通され、水無瀬を待つことにした。すると、ヒールの音を響かせながら、水無瀬がやって来た。 「久しぶり、世那。麗奈……あんたがどうしてここに?」 私に気づいた時の水無瀬の表情は、まさに傑作だった。そんな水無瀬に追い打ちをかけるように言った。 「どうして居るかは、世那に聞いたら?」 「おかえり、水無瀬。今日は、俺の恋人を紹介したくてここに来たんだ。俺は麗奈さんと付き合ってる」 「そんなの嘘よ……世那は私のことが好きなんでしょ?それも私の気を引く為の演技よね?」 「わるいけど、水無瀬の事を好きになったことは一度もない。これからも有り得ない」 世那は言い放った。すると、水無瀬は開き直ったかのように、世那に言った。 「世那。麗奈に誘惑されたの
Zuletzt aktualisiert : 2026-10-14 Mehr lesen