次に言語面での工夫。言葉の繰り返し、語彙の選択ミス、文末の不安定さを使って会話だけで酔いを示す。場の反応を必ず入れてバランスを取ると、読者には過剰にも省略にも感じられない。舞台劇的な家族劇での酩酊を扱う'Long Day\'s Journey Into Night'のような作品は、酔いが関係性を暴く道具になる点が参考になる。
社会的な側面を描くときは、周囲の視線や空気感を利用する。派手なパーティーや人間関係の摩擦は酩酊を増幅させるから、場の描写を通じて酔いを相対化するのが有効だ。'The Great Gatsby'の宴会シーンを参照すると、酔いが社会的な仮面や階層の表現に繋がることがわかる。そこで大事なのは、酩酊を単なる笑い話にせず、行動の連鎖やその後の帰結を見失わないことだ。
内面描写では記憶の信頼性を操作する。酔いは時間の流れを歪めるから、短い断片的な回想や飛躍する連想を混ぜ込むと効果的だ。視点を揺らがせることで登場人物の判断や感情の変化がリアルに響く。たとえば'Under the Volcano'のような作品は、酩酊が人格や景色にどれほど浸透するかを丁寧に示している。そんな読み方を参考にすると、単なる酔いの描写が人間性の洞察に変わる。
文章の音声的側面を大事にする手もある。例えば同じフレーズを少しずつ崩して繰り返す、語尾に意図的な曖昧さを残す、呼吸の間を短く示す、といった工夫だ。これらは特に社交的な酩酊を描くときに有効で、パーティーや集団の場面では群像の中に一人の酔い手が浮かび上がる。ヘミングウェイの'The Sun Also Rises'は会話で酩酊と空虚さを同時に示す一例で、台詞重視の技法を学ぶのに役立つ。