画面が切り替わるたびに、細かな仕草がキャラクター像を語っていく様子に惹かれた。『
diabolik lovers More,Blood』では特に過去のトラウマを示唆するフラッシュバックや淡い回想を挿入して、shuの冷淡さの裏にある脆さを際立たせている。俺はこの変化を見て、単なる“怠惰な吸血鬼”という記号以上に、複雑な感情の層があると感じた。
語りのテンポや編集も重要な役割を果たす。短いカットで日常の無関心さを見せる一方で、長回しの遠景や静止ショットで彼の孤独を強調する。声の抑揚も抑えめにすることで、たとえ攻撃的な行為をしても“本当に楽しんでいるわけではない”と示される。これにより視聴者は嫌悪と同情を同時に覚えるよう誘導される。
さらに、音楽と効果音の使い方が彼の内面を補強している。低音域の伴奏や静かなアンビエンスがシュッとした冷たさを付与し、逆に急に高まる音で彼の衝動性が断続的に顔を出す。こうした演出により、シリーズ後半ではshuの行動理由がより示唆的になり、単純な“無表情キャラ”ではないことが伝わってくる。