コスプレで一番難しいのは、外見以上の“存在感”をどう伝えるかだ。
外見の再現は出発点に過ぎない。僕は見られる側の立場で試行錯誤してきたけれど、ナニカというキャラクターは「無垢さ」と「恐怖」が並存するので、肌の質感や服の素材感に
気を使うと印象が大きく変わる。例えば薄いニットや柔らかいコットンで子どもらしさを出しつつ、縫い目や裾に少し荒い加工を入れて異物感を忍ばせるといい。表情の作り方では、笑顔をわざとぎこちなくすると不安定さが浮かび上がる。
演技面では声色よりも間(ま)が武器になると考えている。問いかけに対して即答しない、あるいは小さな繰り返し動作を入れて観客の集中を誘導する。大型のイベントでの撮影時は、遠目でも伝わるジェスチャーを2〜3種類用意しておくのが便利だ。小声での囁きや、急に表情を閉じる瞬間を作れば、写真や動画に深みが出る。
参考になる表現としては、別作品の『寄生獣』の「人間らしさと別種の知性が同居するキャラクター表現」を観察すると学ぶところが多い。対比の作り方、静と動の扱い方が参考になるはずだ。