耳の動きが音楽に影響する場面を想像すると、音符ひとつひとつがキャラクターの細かな仕草を表現するための道具になると考える。私はよく、
ケモミミの“耳振り”や“耳伏せ”を短いフレーズのアクセントに置き換える。例えば短いスタッカートで耳のぴくっとした瞬間を示し、滑らかなレガートで耳を撫で下ろすような安心感を表すといった具合だ。音色は重要で、木管系の柔らかい倍音や、高域にきらめくハープ的なアルペジオで毛並みの繊細さを演出することが多い。
ダイナミクスやテンポの小さな揺らぎも活用する。耳が驚いてぴょんと動く場面では突然のフォルテやリタルダンドで心拍の高まりを作り、逆に耳を伏せている時はピアニッシモと低域のサステインで重心を下げる。ここでの主題(ライトモチーフ)は、キャラクターが場面ごとに繰り返し変奏されることで個性を形作る。楽器編成を少し変えるだけで、同じ旋律でも“狡猾さ”や“無邪気さ”が瞬時に伝わるのが面白いところだ。
最終的には、音とジェスチャーのタイミングを細かく揃えてやることでキャラクターの存在感を生む。私はいつも、耳の動きを視覚だけで終わらせず、聴覚的に増幅してやることで聴衆にそのキャラの内面を伝えられると感じている。