保存の現場でよく聞かれる質問だよね。博物館の保存担当者は、
藁人形のような有機材料をどう守るかについて、基本的な予防保全の方法を喜んで教えてくれることが多いよ。ただし、接着や補修などの専門的で可逆性のある処置は、訓練を受けた保存修復の専門家に任せるべきだという線引きははっきりしている。つまり、日常的にできる安全な管理法や展示・保管の注意点は丁寧に説明してくれるけれど、道具や薬剤を使う細工は直接教えない場合が多いということだ。
私自身、小さな民俗資料の保存に関わった経験から言うと、まず覚えておきたいのは「予防」が何より効果的だということ。具体的には、温度と湿度を安定させること(目安として温度は15〜20℃、相対湿度はおおむね45〜55%程度で極端な変動を避ける)、直射日光や強い人工光を避けること(光はできるだけ弱く、展示は短期間にする)、害虫対策(定期的な点検、食品を近くに置かない、粘着トラップの設置)あたりが基本中の基本になる。藁は乾燥しすぎると脆くなるし、湿りすぎるとカビや虫害につながるので、湿度管理は特に重要だ。
取り扱い面では、直接手で触らないようにするのが安全。手袋(ニトリルや綿)を使い、支えが必要な場合は柔らかいパッドや中性の保存用紙で形をサポートする。清掃は軽いホコリ取りが中心で、ふわっとした柔らかい刷毛で払うか、低吸引の吸塵装置をスクリーン越しに使う程度にとどめる。テープや日常的な接着剤は絶対に使わないこと。もし割れや崩れが心配な損傷があるなら、その場で自己流の修理を試すのではなく、保存修復の専門家に相談するのが安全だ。
博物館側はしばしば来館者や地域の所蔵者向けにワークショップや簡易ガイドを用意しているし、電話やメールで相談に乗ってくれることも多い。資料の記録(写真と簡単な状態メモ)を残すこと、定期的に点検して変化を早めに見つけることも教えてくれるポイントだ。文化的背景や儀礼的意味合いが強い藁人形もあるので、単なる物質保存だけでなく、取り扱い時の配慮や展示のあり方についても相談に乗ってくれる。保存担当者は守るべき原則とリスクをわかりやすく伝えてくれるから、まずは相談する価値が十分にあるよ。