描かれている戦術を実戦に当てはめると、'
ジャイアントキリング'の核は守備の組織化と速いカウンター、そして相手の弱点を突くための入念なスカウティングにあると感じる。現実のチームで最も近いのは2015-16シーズンのレスター・シティだ。彼らは攻守の切り替えを徹底し、相手にボールを保持させたうえで決定的な瞬間に素早く前線へ運ぶスタイルで衝撃を与えた。劇中の監督がゲームプランを緻密に組み立て、選手の役割を絞って特定の局面で人数をかけるやり方は、レスターのゾーンを限定する守備とロングカウンターに似ている。
僕は戦術書を読んだり試合映像を何度も見返すけれど、'ジャイアントキリング'におけるセットプレー重視や相手のビルドアップを乱すための高低差を使った攻め方も、レスターが使ったトランジション戦術に対応していると思う。例えば、相手が高いラインでボールを動かす場面を見逃さず、ウイングや裏への飛び出しで一気に局面を打開する動きは、現実のスカウティング報告書でも有効戦術として挙げられる。
最後に精神面の管理についてだけど、劇中の監督の決断力と選手の自信を引き出す術は、実在チームが鬩ぎ合うリーグで勝つために不可欠だと考えている。たとえフィクションであっても、理にかなった原理が反映されているから観ていて学びが多いし、同じ原理が現実でも機能する場面が頻繁にあると感じる。