真っ先に思い浮かぶのは、'
ジャイアントキリング'の中でも観客が一斉に声を上げたあの逆転劇だ。前半から押され気味で、誰もが諦めかけていたところで流れが変わる。僕はそのときピッチ上の小さな変化──サイドの駆け引き、微妙なフォーメーションの修正、ベンチワーク──に目を奪われて、心の底から震えた。
後半の中盤に入ってから監督の思い切った交代が当たり、狭いスペースでの崩しが連続する。そこから生まれた鮮やかなワンツーで同点、そして終了間際の執念の一撃で勝ち越す。一つ一つのプレーが積み重なってドラマが出来上がる瞬間を味わえるのが、この試合の凄さだと思う。
観戦後はしばらく余韻で動けなかった。結果だけを見れば「勝った」だけかもしれないけど、そこに至るまでのプロセス、選手たちの集中の深さ、そしてスタジアム全体が一体になった高揚感が忘れられない。個人的には、サッカーの面白さが凝縮された一戦として心に残っている。