別の角度から言うと、映画は色や輝度の扱いでも細かい工夫をしている。運動によるドップラー効果や重力による赤方偏移/青方偏移を映像表現に落とし込み、近づく側が明るく、遠ざかる側が暗く見えるように演出している点は科学的根拠に基づく。とはいえ実際の降着円盤は磁場やプラズマの乱流で極めて複雑なので、見やすさのために視覚的に整理されている部分もある。映画と科学の架け橋を巡る議論は、かつての名作『2001年宇宙の旅』と比べても興味深いし、Kip Thorne自身の著作『The Science of 'Interstellar'』を読むと映画がどこまで物理に忠実で、どこを脚色したかがよく分かる。最後まで映像を見ると、単なる“かっこいいCG”を超えた物理表現の挑戦が伝わってくるよ。