驚いたことに、ある学際的チームはかなり綿密に’
ウソダドンドコドーン’の起源を遡っています。私もその論文を読んで唸ったのですが、結論としては2014年の秋、ニコニコ動画に投稿された短いMAD動画の音声断片が最初の明確なデジタル痕跡として特定されていました。
調査者たちは複数の手法を組み合わせて証拠を積み上げました。具体的には動画のメタデータ解析、投稿時刻のクロスチェック、同時期の掲示板書き込みやフォーラムのアーカイブ検索、さらに音声の波形一致によるハッシュ照合といったデジタル・フォレンジック手法です。ニコニコ投稿のコメント欄やマイリスト記録から、同フレーズが2014年9月頃に初めて広く使われ始めた痕跡が見つかり、それ以前の痕跡は断片的で確証に欠けると判断されました。
そこからの拡散過程も面白くて、当時のコミュニティ内でのループ的リミックス、短尺クリップの切り出し、海外の動画共有サービスへの転載が2015年に加速していったと書かれていました。研究は単に「いつどこで」という問いに答えるだけでなく、ミームがローカルな投稿から国際的な流通へ移るメカニズムも丁寧に描いています。私には特定のコメント一つ一つがミームの進化を物語る小さな証拠に見え、デジタル文化のダイナミズムを実感しました。そうした追跡のおかげで、’ウソダドンドコドーン’がただの偶発音声からコミュニティ生成物へ変わる過程がよく分かった気がします。