3 คำตอบ
西尾維新の文体って、とにかくリズム感が半端ないんですよね。会話のテンポが良くて、キャラクター同士の掛け合いがまるでジャズのセッションみたいに心地いい。『化物語』シリーズなんか特にそうで、阿良々木暦と忍野忍のやり取りは、言葉のボールを投げ合うような感覚があって引き込まれます。
それに、あの独特の『まくら』が長い描写も魅力の一つ。一見冗長に見えるけど、実はキャラクターの内面や世界観を深掘りするための仕掛けになってる。例えば戦場ヶ原ひたぎの毒舌は、延々と続く前置きがあってこそ爆発力がある。普通の小説だったら編集段階でカットされそうな部分こそが、西尾ワールドの醍醐味なんです。
最後に、文体そのものがメタフィクションとして機能してる点も見逃せない。物語の中で文体がテーマになったり、文字の配置で遊んだり。読者を常に『物語を読んでる』という意識にさせる仕掛けが随所に散りばめられています。
あの文字の洪水こそが西尾維新の真骨頂だと思う。ページを開いた瞬間、言葉の奔流に飲み込まれる体験は他に類を見ない。『傷物語』で吸血鬼の生態を説明するシーンなんて、専門書かと思うほど詳細なのに、なぜか最後まで読ませる魔力がある。
特徴的なのは、口語体と文語体の絶妙なブレンド。砕けた会話の合間に突然現れる荘重な表現が、作品の非日常感を際立たせる。例えば『刀語』の七花ととがめの会話は現代風なのに、戦いの描写は時代劇のような格調高い文体になる。このコントラストが物語の奥行きを生んでいる。
それから、繰り返しの技法も効果的。同じフレーズが少しずつ形を変えて何度も登場するうちに、単なる台詞がキャラクターのテーマ曲のように感じられてくる。特に『戯言シリーズ』のアイの台詞回しは、読むうちに頭にリズムが刻み込まれるようだ。
西尾作品の文体で面白いのは、視覚的な遊び心が満載なところ。ページ全体を文字で埋め尽くしたり、わざと句読点を省略したり。『忘却探偵シリーズ』の綾辻行人との合作では、文字の配置自体が謎解きのヒントになってた。こんな実験的な試みが一般文芸で通るのが凄い。
比喩の奇抜さも特徴的。『少女不十分』なんかでは、まるで言葉が暴走しているかのような比喩が連発する。普通なら意味をなさないはずの表現が、なぜかそのキャラクターの本質をズバリ言い当ててしまう。
最大の魅力は、この文体がキャラクター造形と直結してること。喋り方で人物の全てがわかるほど個性が際立ってる。例えば『美少年シリーズ』の各キャラは、台詞だけで誰が喋ってるかすぐわかる。文体そのものがキャラクターの一部になってるんだ。