君にだけは言えない言葉
レストラン〝Aria(アリア)〟に勤めるの暮科静(くれしなせい)は、自ら終わらせたはずの想いをいまだに引きずっていた。
そんな胸中に変化が表われたのは、新たに入社してきた河原英理(かわはらえいり)の教育係に抜擢されてから。
河原は極度の人見知りであり、極度のあがり症だった。
けれども、それを補って余りあるほど素直で優しく、直向きな性格でもあり――。
そんな彼に接するうち、やがて暮科の世界にも色が戻り、止まっていた時間が再び動き始める。
だけど河原は確実にストレート。
この想いは伝えられない。今の関係を壊したくない。
そんな折、目の前に姿を現したのは――。