妊娠九ヶ月、夫は私を見捨て初恋を救った
妊娠九ヶ月目、かつて夫に職を奪われたことを恨みに思っていた元同僚にビルの屋上まで連れ去られ、私は何十箇所もナイフで刺された。
救助隊の隊長である夫は、私を助けるどころか、うつ病を患っていた初恋が借家に火を放とうとしているという理由で、全隊員をそちらの鎮圧に回した。
私は、助けを求める電話をかけなかった。
前世では、私は彼に電話をかけてしまった。その結果、彼は初恋を置いて私の元へ駆けつけた。
そのときは、私とお腹の子は命を取り留めた。しかしあの女は、火を放った借家の中で焼死した。
夫は表面上私を責めることはなかった。特別室での出産を予約してくれた。
だが、出産当日、彼は私を縛りつけ、生まれたばかりの赤ん坊と私に向かって、何十回もナイフを振り下ろしたのだった!
「――あの日、お前とあいつがグルになって俺を騙したんだろ!?その程度の傷、全然大したことなかったんだよ!お前、死ぬほどのケガじゃなかっただろ!
そんなに刺されたいなら、望み通りにしてやるよ!」
再び目を覚ましたとき、私はあの日、屋上で刺された瞬間に戻っていた。
今度こそ、彼の望み通り、彼の初恋を助けに行かせてあげようと、私は決めた。