あいにく春はもう終わっていた
「ミス・ワールド」の応募締め切りの最後の瞬間に、私はやっと決心して送信ボタンを押した。
10分前、私は日向南人(ひなた みなと)の肩にもたれかかって結婚写真を選んでいた。
私は胸を弾ませながら、これがどうかと彼に写真を差し出した。
しかし、彼は突然、私を強く押しのけると、背筋をぴんと伸ばし、スマホから目を離さなかった。
「心音……自殺する」
私が反応する間もなく、南人は慌てて病院へ向かった。
自分の伸ばした手を見て、私は突然、この数年一緒にいても全然意味がなかったと思った。
3年前、木村心音(きむら ここね)の兄は南人をかばって刺され、命を落とした。
それ以来、彼女は私たちが一緒になるのを阻止するため、ありとあらゆる口実を繰り出してきた。
これが、666番目の口実だ。