空っぽの愛
結婚式の前、私は写真館へウェディングフォトを取りに行った。でも、写真の中にいる新婦は、私ではなかった。
それは婚約者の幼馴染だった。
私は驚いて立ち尽くしていると、店員がもう一組の写真を差し出しながら謝った。
「申し訳ございません、こちらがあなたの結婚写真です」
私は呆然と、新郎が同じで、新婦が違った二つのウェディングフォトを見つめた。
そしてすぐにスマホを取り出して、陸川顕久(りくがわ あきひさ)と入江鈴(いりえ すず)のウェディングフォトを撮り、SNSに投稿した。
【お二人、末永くお幸せに】
その後、顕久から電話がかかってきた。
「蘇我心(そが こころ)、お前、何をしてるんだ?鈴はただ俺と一緒にウェディングフォトを撮りたかっただけで、そんなことで気にするなよ」
突然、私は疲れを感じて、冷静に言った。
「別れよう。この結婚、私はもう無理」
それから、顕久はもう一度、私にウェディングフォトを撮り直そうと言ってきたけど、私は彼を押しのけた。
「ごめんなさい、私は写真が嫌いだし、あなたも嫌い」