永遠に、お前を失った
冬真と結婚して、もう十年になる。
その間、彼が浮気してきた相手――歴代の「彼女たち」とは、全部顔を合わせてきた。
彼が飽きて新しい子に乗り換えたくなったとき、私の存在はいつも便利な口実だった。
「結婚したら、君も彼女みたいになるよ。慣れすぎて、何のドキドキもなくなる」
まるで見せしめみたいに、私を指してそう言う。
結婚記念日の今日、私は彼が振ったばかりの大学生の子の涙を拭いてる。
その頃、冬真は新しい子を連れて映画館でデート中。
一箱まるごとティッシュを使い切ったとき、ふと、昔の自分がそこに重なった。
……だから、私は冬真に離婚を切り出した。
彼はめずらしく戸惑った顔をして、ぽつりとつぶやいた。
「もう少し待てばよかったんじゃない?俺が更生して、まともになるかもよ?」
私はただ静かに笑って、何も言わず、海の向こうへの片道切符を予約した。
あなたが振り向いてくれるのを待つより、
――先に、行くね。