五年の愛は風に流された
「やるの?」
親友に送るはずだったネイルの情報を、間違えて親友の兄に送ってしまった。10分後、その兄から返信が来た。
「下にマイバッハの車が止まってる。すぐ降りてこい」
まさか、年齢だけじゃなく、それ以外もこんなに大きいとは思わなかった。
あの夜は甘い蜜のような時間が流れ、理性が吹き飛びそうになるほどだった。
目が覚めたあと、彼は責任を取ると言ってくれた。
彼は本当に私を溺愛してくれた。月と星は無理でも、それ以外ならどんな願いも叶えてくれる人だった。でもたった一つだけ、人前では絶対に彼女として認めてくれない。
5年後、彼は一人の女を連れて帰ってきた。
その女の腰に腕を回し、私に向かって「俺の彼女だ」と言った。
私は彼に聞いた。「それなら、あなたを5年間待ち続けた私は何だったの?」
男は気怠そうに笑いながら、私の全身を凍りつかせるような言葉を吐いた。
「待ってたって?俺、君に待ってろって言ったか?
夏目寧子(なつめ ねいこ)、これからはそんなふうに一途に誰かを好きになるのはやめなよ。正直、怖くなる」
なるほど、私がすべてを捧げた想いは、彼にとっては避けたい厄介なものだった。
彼に連絡しないようにして、諦めることを学んで、最終的には離れようとしている。
けれど一週間後、私が結婚式で別の人と誓いの言葉を交わしているとき……
かつて情熱的だった彼は、列席者の中で目を赤くしていた。