私を捨てた元夫と現夫。土下座しても復縁しない!
30歳になるまでに、私・野口篠(のぐち しの)は二度も家から追い出された。
一度目の相手は、海鳴市のトップ実業家である伊藤裕貴(いとう ゆうき)だった。政略結婚とはいえ子供を授かり、健診へ向かうはずだった日、私はあろうことか、彼がタワーマンションの最上階の窓際で、女子大生と体を重ねているところに出くわしてしまったのだ。
彼は「物分かりの悪い女だ」と私を責め立て、そのまま家から追い出した。
父は、「あれほどの金持ちともなれば、外で女遊びをするのは当たり前だ」と言ってのけた。
その言葉への反発もあり、二度目は私を10年間一途に想い続けてくれた幼馴染、野口健太(のぐち けんた)と結婚した。彼は私に対してとても優しく、何でも受け入れてくれる器の大きな人だった。
元夫が毎年未練がましく謝罪の品を送ってきても、彼は嫌な顔一つしなかった。
結婚して3年が経っても私がいまだに身ごもらないことさえ、決して責めようとはしなかった。
肌を重ね、快楽の波に呑まれるたびに、彼は私の耳を甘噛みしながら甘い声で囁いた。「子供なんて、欲しくないなら作らなくていい。俺は君さえいてくれればそれでいいんだ」
しかし記念日の当日。彼は突然見知らぬ女を家に連れ帰り、私の荷物を寝室から放り出すよう執事に命じたのだ。
私は渡すはずだった妊娠検査薬を強く握りしめ、震える声で問いかけた。「どういうつもり?」
彼はタバコを指に挟んだまま、まるで馬鹿げた冗談でも聞いたかのように鼻で笑った。
「篠、これ以上白々しい芝居を続ける気か?
伊藤に捨てられたあの時、何も学ばなかったのか?」