姉に人生を奪われてから
私は姉と一緒に孤児院から養子に出された。
姉が選んだのは芸能界の名門、源藤(げんどう)家。金も権力も桁違いだった。
けれどその跡取りは気まぐれで性格が歪んでいて、姉を毎日のように痛めつけた。
一方、私が選んだのはごく普通の瀬名(せな)家。
財力では源藤家に遠く及ばなかったけれど、家族は私を本当に大切にしてくれた。
やがて瀬名家の若様は新進気鋭の実業家となり、私を妻に迎えてくれた。
私は幸せに満ちた人生を手に入れたのだ。
それが姉の嫉妬を狂わせた。
そして――彼女は私を絞め殺した。
再び目を覚ますと、姉は迷わず私の人生を奪い、瀬名家を選んでいた。
「妹よ、今度はあなたが苦しむ番だね」
思わず笑いそうになった。姉は勘違いしている。
瀬名家の若様がただの「好い男」だとでも思っているのか。