私の誕生日に、夫がドイツ語で浮気を認めた
結婚して六年目、夫は、もう三ヶ月もの間、私に触れていない。
理由を訊けば、「仕事が忙しいし、疲れてるんだぞ」と。
何年も愛し合ってきた私は、疑うこともなく、その言葉を信じた。
だけど、私の誕生日の夜、ふとした拍子に、夫の友人がドイツ語で話しているのを耳にしてしまった。
「外で囲ってる女とは、もう切れたのか?毎日通ってたけど、体は大丈夫か?
それにしても、お前の奥さん、何も言わないのか?」
夫は煙草の煙をゆっくり吐き出し、何でもないような顔で答えた。
「もう何ヶ月も触ってないな。雪乃はテクもいいし、まだ飽きてない。でも妊娠しちゃってさ。
うちの嫁は子ども嫌いだから、雪乃には金渡して、しばらくしたら海外で産んでもらうつもりなんだ」
私は拳をぎゅっと握りしめ、黙って涙をこぼした。
夫は少し慌てた様子で「どうしたんだ?」と聞いてくる。
私は首を横に振った。
「あなたの手作りのケーキ、とっても美味しい、感動しちゃったの」
ケーキの甘さが、心の苦さを余計に際立たせていた。私は、ドイツ語が分かることを、夫は知らない。