義妹のため、兄が私の志望校を勝手に変えた
義理の妹・内田澪(うちだ みお)の機嫌を取るため、兄の内田翼(うちだ つばさ)は私がずっと憧れていた東都美術大学の合格通知書を、地方の教育大学のものとすり替えた。
見慣れない校章の書類が、やけに目に刺さる。
そんな書類を目にした親戚たちは顔を見合わせ、すぐにひそひそと話し始めた。
「どういうこと?玲奈(れな)は、東都美術大学に受かったんじゃなかったの?」
「まあ……教育大学も悪くはないけど、東都美術大学とはレベルが違いすぎるわね」
私は服の裾を握りしめて立ち尽くす。頭が真っ白になって、何も考えられない。
そんな私に翼が近づいてきて、肩をぽんと叩きながら、困ったような声で言った。
「玲奈。澪はさ、大学の共通テストに失敗して何日も泣いてるんだ。それに、澪はアートが好きだけど、お前みたいな才能はないだろ?だから、兄としても辛いんだよ。今回は澪に譲ってくれ、な?あいつを元気づけるためだと思ってさ。
そんな心配するなって。これは形だけのことだから。入学までには、ちゃんと元に戻してやるからさ。
それに、この家の人間が、お前をあんな将来性のない大学に本気で行かせるわけないだろ?」