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はじめてのマッチング相手はLv.1 (後編)

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last update آخر تحديث: 2025-04-27 11:46:09

 いや、ちょっと待って、三年で三千人とマッチングって……

「そ、そうなんだ」

 わたしは胸を撫で下ろした。

「よかった…… さすがに日に八人とデートは多すぎるよね……」

 なんか、もうすでに、どっと疲れが来て、苦笑するしかなかった。

 ウィスカーも、白ウサギそのものな口元を上げて笑む。

「ただし。こちらも魔王さまからのお仕事ということで、どんどんマッチングを組まさせていただきますから、そのおつもりで」

 なんか、スマホで読んでた異世界スローライフとなんか違うな……

 もっとラクそうと言うか、苦が少ないと言うかご都合主義というか……

 まぁ。どこにいっても、お仕事はそれなりに大変だってことだろう。

「しょうちしました……。どうか、お手柔らかに……」

 こちらとしてもハルトとの強制復縁は避けたい。だからお見合いっていうか、この異世界マッチングを、数でこなしていくしかない。

 だったら、どうせなら幸せに添い遂げられそうな、それこそ魔王が言ったように〝幸福感に包まれながら最期を迎えられるような〟良いパートナーがほしい。

 よし、前向きに考えよう。マッチング希望者が三千人あれば、なかには一発くらい大当たりもあるだろうさと。

「よーし」わたしは顔をこすりあげて言った。

「じゃ、まず今日は面談から、ってわけですね。よろしくお願いします、ウィスカーさん」

 ウィスカーはうなずいた。

「承知しました。では早速。相川さま側のマッチング相手に対するご希望は?」

 わたしは腕を組んだ。王宮に置いてきたミイラのことを考えながら。

「……うーん。保護者きどりとか、束縛してこないひとかな」

「はい。自由にさせてほしい、と。あと他には……?」

「遠距離はむりかな。なるだけ徒歩圏内で」

 あと将来像の押し付けとか、仕事への口出しとか、そのくせ野球の日には連絡が取れなくなるとか……

 って、ぜんぶハルトの逆だな。うっかり笑っちゃった。

 でもこうなったら、ほんとうに心から好きになれる人がいいもんな。本音でいこう。

そのほうがきっと、日々の中で〝正のエネルギー〟を集められそうだし。

 すると、つられたようにウサギも、わたしの見ている空を見上げて言った。

「──では、」

 そしてファイルをめくりながら、やはり最初ですし、魔王さまのご推薦のこの方がよろしいでしょう、と満足げに頷いた。

「早速になりますが、本日の昼前に、ちょうどよいお相手がございます」

「仕事はやっ。どんな人?」

「人では……ありませんが、相川さまの理想を兼ね備えていて、しかもレベル1のお方ですね」

 れ、レベルとかあるんだ……。

「それって、恋愛経験の数ってこと?」

「いえ。向こうから見た相川さまの受け入れ難易度、ですね」

 ……ふうん。ということは。

「わたしからすると、そのレベル1の先方さんとは、すぐでも結婚できちゃう、ってコト?」

「はい。そうです。今夜にでも結ばれます」

 それは、いくらなんでも早すぎ、いや、先方誰でも良すぎじゃないか……

「ま、まあいいや、相手しだいだよね。どんな人?」

「……あ、繰り返しになりますけど、人では、ないですね」

 ──たしかに。そういえば魔王も人類はこの魔界で滅びた、って言ったし。

「つまり、マッチング相手って言うのは、ぜんぶ人外ってコトなのね……」

 ウィスカーは、ウサギの顔で、ごく自然に頷いた。

「そうです。この魔界には、様々な魔物が住んでおりますからね。モンゴリアンデスワームからスカイフィッシュのような完全人外から……」

 聞いたこともない種族名にわたしは、冷や汗の流れるのを感じた。

「せ、せめて、人間に近しいカタチでお願いします!」

 するとウィスカーは、

「ええ。となるとオークやエルフのような亜人。ということになりますかねー」

 とファイルをめくっていく。そしてたどり着いたページで、ふと目を上げて、

「しかし、異世界でのマッチングが初めてとなりますと、あまり難易度を高くしてもよろしくないでしょうし。この方など、いかかでしょうか」

 と、わたしに提案をしてきた。

「成婚レベル、1。お優しい性格で、姿は相川様のお好みのまま」

 ゆえに人間に変身してもらえれば、人間のまま結婚して生活することも可能だと彼は言った。

 ──しかたない。モンゴリアンデスワームよりはましそうだ。

「わかりました……。たしかにレベル1はありがたいです。ちなみに、どんな方なんですか?」

「スライム、ですね」

 自分から聞いておいて、なんだけど、わたしは固まった。

 ……

 「す、……」

 スライム……

 す、スライムとデートをしろと!?

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