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26.この味、覚えてる!②

ผู้เขียน: 鷹槻れん
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2025-08-03 18:00:48

「これをつまんでくださいまし。坊っちゃまも大好きなお菓子でございます」

 そうして八千代さんが風呂敷から取り出した小箱を小さく揺すると、中からカサカサと微かな音が聞こえた。

「それ……」

 何が入っているんですか?と聞こうとしたら、シーッと唇に指を当てられて「食べる時のお楽しみでございます。早く元気になられてくださいね?」と布団にゆっくり寝かされる。

 私は横たわりながら、机に置かれた小箱が気になって仕方がないの。

***

 布団の中、まんじりともせず机上の小箱を眺めていたら、

「花々里《かがり》、ちゃんと休んでるかい?」

 頼綱《よりつな》が枕元までやってきて私の傍らにひざまずくと、そっと頬に触れてくれる。

「もう少ししたら俺は仕事に行くけど。なるべく早めに帰るようにするからゴソゴソしないで大人しく待っているんだよ?」

 寝巻きに着替えて布団に寝そべっていた私は、頼綱の登場に我慢できなくなってゆるゆると身体を起こした。

「こら、寝てないと――」

 ダメじゃないか、と続いたのであろう頼綱のセリフを途中でさえぎるようにして、

「あ、あの……頼綱。お仕事に行く前にあれを取ってくれない……?」

 と、例の小箱を指さす。

「八千代さんがね、頼綱も好きなお菓子だって……」

 私の言葉に、立ち上がって箱を手にこちらを振り返った頼綱に、「中身が気になって眠れないの」って眉根を寄せて畳み掛けたら、瞳を見開かれた。

「まったくキミって子は……」

 溜め息まじりでつぶやかれた言葉は、でもその態度とは裏腹に、とても優しい声音で。

「食べたら眠れるかい?」

 と箱のフタを取る。

 布団に座った状態では、立っている頼綱の手元は見えなくて、私はコクコクとうなずいた。

 そうしてみて、頭が痛まないことにホッとして……薬が効いてきたんだって思う。

「昨夜甘い

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     幸い、アレコレ思い悩んでいた割に、お昼に八千代さんお手製のお弁当に舌鼓《したつづみ》を打って、お腹が一杯になったら、私は割とすんなり眠りに落ちることができていた。 まさに食っちゃ寝を素でいってしまったのだけれど、カーテンの隙間から西日が差し込んできて顔を照らす気配で目が覚めたら、恐ろしいことに17時を過ぎていた。 食べたのは正午過ぎだったから、実に4時間以上寝ていたみたい! 食べてすぐに寝たら牛になるよ?って言うのはよく聞く言葉だけど、いまの私は豚さんになるのが怖くて堪りません! あ、でもでも私ね、キャラメルは手をつけずにおけたの、自分で自分を褒めてあげたいっ! 頼綱《よりつな》にも食べさせてあげたいって気持ちが、お腹の虫を調伏《ちょうぶく》したのよ!? すごくない? 布団の中、机に置いたままのキャラメルの箱を眺めて「よし!」とガッツポーズのつもりで拳を握ったら、お腹の虫が不満そうに「ぐぅー!」と鳴った。 ダメダメ! 今は〝まだ〟食べさせてあげないんだからね? あと数時間もしたら頼綱が帰ってくると思ったら、ソワソワとワクワクが止まらなくて口の中に生唾が浮いてきた。 あ。違う、生唾は間違い! 頼綱は食べ物じゃないっ! ――キャラメルから一旦、思考を切り離さなきゃ! 結局そこからは私、布団の中で右に左にゴロゴロゴロゴロ転がりながら、甘い甘い味に思いを馳せながら過ごしたの。 八千代さんの手作りキャラメルってば、ホント手強いんだもん!***「花々里《かがり》、帰ったよ。ちゃんと良い子にしていたかね?」 頼綱《よりつな》は仕事から帰って手洗い・うがいをするや否や、着替えなどそっちのけですぐに私の部屋へ様子を見にきてくれた。「お帰りなさい、頼綱っ!」 にっこり笑って言ったら、「体調は?」 心配そうに聞かれて、私は問題な

  • そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜   26.この味、覚えてる!⑤

     そこでギュッと手を握られて、「今日は早く寝床に戻られて、夕飯の時は元気に沢山召し上がられてくださいね?」と布団に戻るよう念押しされてしまう。「ひいては、それが坊っちゃまにとって一番のご馳走になるのですから」 と重ねるようにもう1度付け加えられて、私は真っ赤になってうつむいた。 ここにいたら、照れ臭さで〝知恵熱〟が出てしまいそう。 そう思った私は、「……はい」と蚊の鳴くような小声で言いながら、台所の入り口まですごすごと引き下がった。 そこまできて、「あ、そういえば」と思い出して立ち止まる。「あ、あのっ」 言いさして再度八千代さんの方を振り返ってから、「八千代さんのお手製キャラメル、すっごくすっごく美味しかったです! ――その、また今度作り方を教えてください」 そう言ってペコリと頭を下げると、今度こそ自室に向かって踏み出した。*** 薬のおかげかな。 あんなに痛かったのに、今や頭痛はすっかり鳴りを潜めている。 なのに、学校にも行かず家でゴロゴロしているだけとか……正直退屈すぎて辛いんだけど。 もう2時間もしないうちにランチタイムがきて、さして動いてもいないのにお弁当を食べなきゃいけない。 私の優秀なお腹の虫たちは、きっと動かずにいてもお腹減ったぞーって騒いでくれるはずで。 ましてや八千代さんに作っていただいたお弁当が美味しくないわけがないから、私、絶対ぺろっと平らげちゃうの。 下手したらキャラメルも全部。 ある意味それがすっごく怖い。 こんな食っちゃ寝してたら、絶対太っちゃう! 夜だって、頼綱《よりつな》が少し遅いみたいだから、夕飯もいつもより後ろ倒しになって、結果ゴロゴロしていたって、ちゃんとお腹は空いてくれていると思うの。 それがまた怖いっ。 いくら頼

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     キャラメルを食べたままで眠ってしまったら、虫歯になりそうって思って、一旦布団から抜け出して歯磨きを済ませて廊下に出たら頼綱《よりつな》にギュッと抱きしめられた。「行ってくるね、花々里《かがり》。今日は急いで帰ってくるから……夜までには元気になっていておくれね?」 私を抱きしめたまま、耳元で甘えたようにそんなことを言うと、頼綱は名残惜しそうに、一度だけギュッと腕に力を入れてから、私を抱きしめる腕をほどくと仕事に出かけていった。 頼綱、今日は遅番で10時半からの勤務だから、終わるのは19時半になるらしい。 移動時間などを考えると帰宅するのは20時過ぎになってしまうんだろうなって思ったら、ちょっぴり寂しくなった。 台所にいらした八千代さんに、「今夜は頼綱が好きなものをたくさん作って待っていたいです」って言ったら、「今日は1日おやすみになって頂かないと、私《わたくし》が頼綱坊っちゃまに叱られてしまいます」とダメ出しをされてしまった。 それから、「心配なさらなくても、私《わたくし》が花々里さんの代わりにしっかり夕飯を作りますから」と続けるの。「今夜は卯の花の煎り煮、大根とニンジンの味噌汁、芋茎《ずいき》ときゅうりの胡麻酢和え、トビウオの塩焼にしようと思っています」 冷蔵庫を開けて、青々としたツヤッツヤのトビウオを見せられた私は、生唾を飲み込んだ。 新聞紙に包まれてテーブルに置かれた瑞々《みずみず》しい芋茎《ずいき》と大根は、今朝、農協主催の朝市でゲットしていらしたらしい。 さすが八千代さん。 美味しそうな和食の献立!って思っていたら、何故か「花々里《かがり》さん、いま私《わたくし》が申し上げたものの中に嫌いなものがございましたか?」と問いかけていらした。 ――なんで私? そう思ったけれど、きっと今朝おっしゃったように私が頼綱《よりつな》のプロポーズを受け入れたことで、「若奥様」認定をなさって色々気遣ってくださっているんだろうな、って思い至る。 余り気を揉ませるのも申し訳ないので、あまり深くは考えないで「全部美味しそうです

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