「女子優勝おめでとう」
「ありがとう」
「みっちゃんの応援のおかげだよ」
「それにしても最後の愛のパスすごすぎじゃない?」
「嶋野さんのパスもすごいけど、後ろにいた春乃さんもすごいよね」
「あれはみっちゃんと一緒にみた動画で覚えていたし、なんとなく後ろにさくらがいると思っていたから」
「へへへ。私はいつも愛ちゃんの後ろでカバーできるように準備しているんだよ」
「しかも春乃さんの最後の3PTもヤバかった。ゴールに入るまでの数秒会場が静まり返ったから」
「あれはまぐれかな。でもなんか入る気がしたから打ってよかったよね」
「いいものみせてもらったな」
「僕たちも頑張らないとね」
「そうだよ。一緒に練習したんだから頑張ってもわらないと」
「みっちゃんなら大丈夫だよ」
「ありがとう」
「既に緊張してきた」
午前の女子が終わり昼休みに俺たちは約束通りお昼ご飯を俺と敬都と愛と春乃さんの4人で食べている。
人にみられないようにと春乃さんが教えてくれた場所は校舎裏の広場で、元々は何かあったらしいのだが、今は使われていなかったのをたまたま春乃さんが見つけたらしい。 だから俺たちは周りの目を気にせずにゆっくりお昼ご飯を食べている「じゃーーん」
しかも春乃さんが出してくれたのは大きなお弁当箱だった
「なんか大きくない?」
「だってこれは松岡くんの分と中村くんの分もあるから」
「えっ俺たちもいいの?」
「いいよいいよ。これは私と愛ちゃんで作ったお弁当だから」
「愛も作ってくれたの?」
「うん。料理とか全然得意じゃないからさくらにすごく手伝ってもらったけど」
「俺としてはお弁当を作ってくれただけで十分幸せだよ」
「ならよかった。味はさくらが確認してくれたから大丈夫だと思う」
「そこは安心してください。愛ちゃんが作ったダークマターはいれていないから」
「さ・く・ら?」
「ごめんなさい」
愛が料理を得意じゃないのは本当なんだろう
でもちょっとだけダークマターをみてみたいという気持ちもあるが。「ねぇ瑞樹」
「なんだ」
敬都が小さな声で話しかけてきた
「俺たちってクラスでNo1.2の女の子に手作りお弁当なんて作ってもらって殺されりしないかな」
「確かに」
「最近普通になっているけど、今日のバスケットとかみていたら怖くなってきたよ」
「大丈夫。このことは俺たちのうちに秘めてお墓までもっていこう」
「そうしよう」
「どうしたの?」
「い、いやなんでもないよ。お弁当ありがとう」
「どういたしてまして。早速食べよう」
「みっちゃん取り分けてあげるね」
「ありがとう」
「じゃな中村くんの分は私がとりわけるね」
愛と春乃さんが作ってくれたお弁当は卵焼き、唐揚げ、ウインナー、豚カツ、きんぴらごぼう、ポテトサラダとおにぎりという定番をしっかり押さえているレパートリーだった。
愛は全部のおかずを取り分けてくれた「美味しい」
「ほんと?」
「うん。本当に美味しいよ」
「全部美味しいね」
敬都も続く
「よかったぁ」
愛は心の底から安心している様子だった
確かに苦手な料理を誰かにふるまうって緊張するよな 俺たちはお弁当を全員で完食した。「美味しかった」
「なんかお礼しないとね」
「みっちゃんにはいつもよくしてもらってるから大丈夫」
「じゃぁ私は一つだけ二人にお願いしようかな」
「なにかな?」
「せっかくだから私たちのこと名前で呼んでよ。私たちも二人のこと名前で呼ぶから」
「ええええええ」
「それは中々ハードル高くないですか?」
「大丈夫大丈夫。名字から名前になるだけだから」
「それはそうだけど」
「ほらほら」
「わかったわかった」
春乃さんの陽キャテンションに圧倒されて俺と敬都は二人のことを名前で呼ぶことになった。
俺の場合愛は元々名前予備だったから春乃さんのことをさくらと呼ばないといけない「最初はさくらさんでいいかな」
「う~~~ん。まぁいいでしょう」
隣で敬都がぶつぶつ何かいっているけど、ここはおいとこう
「じゃぁこれからもよろしくね瑞樹、敬都」
なんか改めて呼ばれだすと恥ずかしいけどさくらさんが呼びたいなら仕方ない
愛の目がちょっとだけ怖くなっているのは気のせいだろう「母さんこれ」「愛ちゃんがきてくれたから奮発しちゃった」「お母さんこれは奮発しすぎじゃ」真紀に呼ばれて下にいってみるとテーブルの上には俺たちの誕生日でも用意されないぐらいのご馳走の山があった。テレビでしかみたことがない高級なお肉や、お寿司とお刺身の盛り合わせ。他にもサラダやらなんやら。愛の存在は松岡家の食卓を一気に豪華にしてしまった。「愛ちゃん遠慮せずに食べてね」「はい!!」愛は最初ほどの緊張感はなく、徐々に松岡家の空気に慣れてきている。まぁ自分でいうのものおかしいが、家は比較的馴染みやすい家かもしれない。両親はあんな感じだし、妹は愛にべったりだし。他の家をみたことがないからわからないけど。「じゃぁお腹もすいたし、いただこうか」「俊哉君、今日はシャンパンでもあける?」「いいね。愛ちゃんもいるし飲もうかな」「え~。お父さんとお母さんがお酒飲むの久しぶりだね」「今日は特別な日だからね」「愛にこれ以上プレッシャーかけるのやめてあげて」愛は父さんと母さんからの歓迎のされ方に圧倒されて、どうしていいのかわからなくなっている「みっちゃん、私は大丈夫だから」「愛がいいならいいけど」「さぁ飲み物も行き渡ったところで、いただきます」「「「いただきます」」」「何このお肉。めちゃくちゃ美味しいんだけど」「そりゃそうよ。グラム1000円超えているんだから」お肉の相場がわからないからグラム1000円がどれぐらい高いのかわからないけど若干父さんも驚いているところから高いのは間違いない「ほんとだ。このお肉美味しい」愛もお肉にご満足のようだ「えっ?」俺もお肉を食べようとしたときに母さんが急に驚いた声をだした「急にどうしたの」「愛ちゃん泣いているの?」「えっ?」今度は愛が
愛の「彼女」発言から教室はすごいことになっている。そのあとに俺が倒れた後に愛が俺のことをお姫様抱っこしたこと、サッカー部の主将が保健室まで運んでくれたことや倒れた後のことを敬都に聞いた。起きたことを聞くと俺たちが付き合っていることを隠すことも難しいのはわかる。わかるけど、こんな注目を集めている状態で言わなくてもいいんではないかなと思っている。なぜなら先ほどから「あんな地味なやつが彼氏なら俺でもいけたんじゃね」「絶対俺の方がいけているのに...」「嶋野さんって男をみるセンスはあまりないんだね」などなどネガティブな発言が聞こえてくるのが俺の心に刺さりまくっているからだ。愛は何とも思っていないみたいだけど「・・・・」あれ、なんか目がすごく怖くなっているのは気のせいかな「あいつらの顔覚えておこう」なんか怖いこと考えているような気がするけど気のせいかなそんなこんなで俺は男子から、愛は女子からの質問攻めにあいながらもなんとかその場を乗り越えた。球技大会よりも疲れたかもしれない~放課後~「ごめんねみっちゃん」「いいよいいよ。別に絶対隠しておきたいわけじゃないし」「そうなの?」「陰キャ男子と才色兼備の完璧な女の子が付き合っているとなると嶋野愛のブランドが低下してしまって今までの愛の努力の邪魔になるかなって思っていただけ。あとは他の男子の視線が怖かったから」「そんなことみっちゃんは気にしなくていいよ。だって私はそんなイメージなんかよりもみっちゃんの方が大切だし、みっちゃんと付き合って才色兼備の完璧な女の子が崩れなるなら全然大丈夫」「愛...」「みっちゃんが嫌な思いしていないんだったらそれでいいよ」「むしろ助けてもらって嫌なわけないよ」「それならよかった」「さっきから気になっていたんだけど」「なにかな」「なんかそわそわしていない?」「そう?」「
保健室の扉が開いた先に立っていたのは「母さん...」俺の母親の松岡真奈だった「瑞樹大丈夫?先生から頭を打って倒れたって電話があったから」「うん。さっき起きたところだけど大丈夫そう」「そう。よかった。」「心配かけてごめん」「いいのよ。ってそちらは」「わ、わ、私は瑞樹くんの彼女の嶋野愛と申します」「瑞樹の彼女?」「は、は、はい。瑞樹くんと健全な交際をさせていただいております」こんな緊張している愛をみるのは初めてで、面白いし可愛いと思えてきた「あらそうなの。瑞樹にこんな可愛い彼女がいたなんて。母さん初耳なんですが」「いうタイミングがなくて」本当は家に何回も連れていて真紀もしっているぐらいだ。母さんは基本的に仕事で日中はいないからそのうち紹介すればいいかなぐらいで思っていて彼女ができたことをいっていなかった「まぁいいけど。愛ちゃんこれからよろしくね」「はい。お母さま」「真奈でいいわよ」「はい!真奈さん。よろしくお願いします」いきなり息子の彼女に名前呼びさせる母親ってどうなのかっていいたくなるが愛も母さんも楽しそうだからいいか「瑞樹に彼女ができていたことにも相当驚いたけど、学校の先生から電話があったときに球技大会のサッカーで頭を打ったときいたときも同じぐらい驚いたわよ。瑞樹がまだサッカーをしてくれているなんて」「どうゆうこと?」「私はあなたの母親よ。あなたがサッカーを辞めた理由もなんとなくは理解しているし、本当はまだあきらめがついていないことも理解しているつもりよ」母さんにはすべてお見通だった「それに瑞樹は覚えていないかもだけど、瑞樹は「お母さん、僕は将来プロサッカー選手になってみんなのヒーローになるんだ」っていっていたときの顔は今も忘れない。私はなれるなれないは関係なくあんな顔しているあなたのことが大好きで誇らしかったのよ」「でも、あなたが中学の最後に
「母さん、俺サッカーは中学で辞めるよ」「そう」母さんは一言だけ返事して、そのあとは何もきいてこなかった。その時の母さんの気持ちは呆れだったのか悲しいだったのかはわからない。ただ母さんのあの時の顔は悲しそうに見えた。「夢か...」また昔の夢をみてしまった。最近はよく自分がサッカーしてたあの時の夢をよくみるそれもそうだ、久しぶりにサッカーをして...あれ、サッカーをしていて俺どうなったんだっけ。「みっちゃん!!」「愛?」愛が突然俺の胸に飛び込んできた。俺はどうゆう状況なのか全くわからなかったが、愛は泣いていたからとりあえず抱きしめた「えっと。俺はどうなったの?ここ保健室だよね」「覚えていないの?」「そのようです...」「みっちゃんはあのクソ男に横から飛ばされて頭を打って気を失っていたんだよ」「確かに。横からかなりの衝撃を受けて飛んで行ったところまでは覚えているような覚えていないような」記憶が曖昧なのは脳震盪を起こしたからだろう。前もこんなことがあったからなんとなくわかる。しかも飛ばされた衝撃で倒れた側の身体は傷と砂だらけになっている。「それよりも俺が気を失った後どうなった?」「それよりもじゃないよ!!心配したんだから。」「ごめんなさい」「みっちゃんが倒れた後、サッカー部の主将が間に入って相手のクラスは失格になって私たちのクラスの勝ちになったよ」「失格って...そんなルールあるんだ」通常のサッカーだったら故意なファールはイエローカード、レッドカードが出たりするが、球技大会だからこその失格ということかなそれにしても、相手から飛ばされて脳震盪で退場ってどんだけださいんだよ俺。愛と「区切り」みたいなかっこつけたこといってこの体たらくはあまりにも残念すぎる「...」「どうしたのみっちゃん。どこか痛いの?」「いや、自分が情け
調子に乗っていたのは間違いない敬都が今までされていたことを考えると木村にこのぐらいをの「恥」をかかせてもバチは当たらないでも恥をかかされた男の思い切りを甘くみていたのかもしれない。佐々木にパスを出した後に横からものすごい衝撃を感じた。次の瞬間俺の視界は一瞬真っ暗になった。おそらく俺以外は今どのような状況になっているのかはわかっていただろうが俺は何が起こったのが理解するまで時間がかかった。今の衝撃は木村がボールがないタイミングでラグビーなみのタックルを横からあびせてきた衝撃だった。俺は衝撃で飛び、頭を打った感じだ。この感じは現役時代も一度経験したことがある。脳震盪を起こしてるんだろう。周りの声は聞こるけど意識が朦朧としているそのころコートの中では「おいてめぇあきらかにわざとやっただろ」「黙れ、こいつが調子に乗ったからだろ」「てめぇ」森田と木村が殴り合いになる前に3年生のサッカー部の主将があいだにはいった「おい木村」「なんすか」「お前今わざとやったな」「だったら」「退場だ」「何言っているんですか?これぐらいで!」木村は興奮した態度で3年生に食らいつく「これぐらいじゃねぇよボケ」サッカー部の主将は木村に対してどなった。体育会系の主将ともあり、怒鳴り声は怖い体育教師なみだ木村も主将の圧に圧倒されている「今の状況わかっていってんのかお前。お前がぶっ飛ばしてそこに寝ている子はおそらく脳震盪をおこしている。もし打ち方が悪ければ障害が残ることだってあるんだ。サッカーはスポーツだ。競技中におこってしまった怪我でも故意じゃなければ許されることもある。でもお前が今やったのは明らかにわざとだ。お前にスポーツする資格なんてねぇよ。お前らのチームは運営の権限で失格にする」「そこまでするのか」「当たり前だ。これはスポーツじゃない。あくまで
1回戦を順調に勝った俺たちは続けて2回戦が始まろうとしていた。2回戦の相手は先ほど戦った相手よりも強いらしく、森田いわく優勝候補らしい。しかも相手の中心選手は敬都と因縁がある木村である。取り巻きの二人も同じクラス。俺はあのときセットしているときだったから今の俺があの時の俺とは木村達はわかっていないだろうが敬都に関しては別だった。「よぉ中村」「は、はい」「今日はセットしていないのか」「うん」「この前嶋野愛の登場でうやむやになってしまったけど、あの時の借りは今日返させてもらうわ」「お手柔らかに」「調子に乗るなよ」木村たちの敬都に対する態度は相変わらず高圧的で、相手のクラスの生徒たちも木村たちにびびって従っているといったところだろう「敬都、大丈夫だ。今回はお前ひとりじゃないから」「ありがとう」試合が始まるとお互いのクラスの中心選手が攻める構図でうちのクラスは森田と佐々木、相手のクラスは木村と取り巻き二人が攻めてくるといったところだ。「敬都いったぞ」「うん」「雑魚は消えろ」敬都にパスを出すと、すかさず木村が敬都に向かって体を当ててきたこれには審判もファールをとった「おい!なんで今のがファールなんだよ」「後ろから当たったから」サッカー部の子も木村のことは怖いらしく木村の圧に負けている感じだ。そのあとも敬都に対するあたりはきつく、ハーフタイムには敬都は泥まみれになっていた「敬都大丈夫か」「うん」「無理しなくていいんだぞ」「大丈夫だよ。昔の僕ならここで折れていたけど、今の僕は昔の自分よりも強いから」「そうか」「おい中村、お前木村に何かしたのか」話しかけたきたのは森田と佐々木の中心的存在だった「それは」敬都はいっていいのかわからなくなっていた「敬都は木村達に一時期金