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第782話
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交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています 第792話
「そうは言っても私ももう年だもの。毎日毎日を有難く過ごしている身なのよ。私がお星さまになる前に、あの子たちが結婚して子供を産んで、ひ孫の姿を見てみたいわ」彼女は星城市内に赴き、残りの結城家の若者世代に良い女性を探しに行こうと決めた。そして、彼らには自分が気に入った女性を口説かせるという任務を与えよう。もしその任務を遂行できなければ、八月末にあるおばあさんの誕生日パーティーには参加する資格を与えてやらない。「おばあちゃん、おばあちゃんは絶対に長生きするから」「私だってそう願っているわよ。女の子のひ孫に会いたいもの」女の子のひ孫が欲しいという話題になると、おばあさんは唯花のお腹を凝視した。そして唯花は申し訳なさそうに言った。「おばあちゃん、見る必要もないわ。私今日生理が来たばかりだから」おばあさん「……」理仁があんなに頑張ったというのに、まだお腹の中に娘はできていない。辰巳たち数人が市内に逃れた後、理仁と唯花もそんなに長くは留まらず、一月六日には市内へ戻ってきた。そして、あと数日の休みを利用して、理仁は毎日彼女を連れていろんな所へ遊びに行った。彼ももう誰かに出くわすのではないかとこそこそ動くことはなかった。それで、多くの人が様々な観光地でこの結城社長を目撃することになった。だから結城社長のあの謎に包まれていた愛妻も目撃したのだった。彼女はかなりの美人で、彼らはなんだか見覚えがあるような気がしたが、その名前まではわからなかった。彼らは結城夫妻に近寄って挨拶するような勇気もなく、みんなこっそりと写真を撮っていた。理仁は唯花に対してとても優しく気遣っていて、その溺愛ぶりといったら異常だった。その様子が他人の携帯には煌びやかな景色として映っていた。それで理仁自ら世間に知らせるまでもなく、勝手に広まっていった。そして、結城社長は妻を溺愛していると有名になったのだ。楽しかった正月は過ぎ、人々はそれぞれ仕事や学校に戻っていった。そして、あっという間にバレンタインの時期になった。唯花は一向にバレンタインデーなど特に気にする様子はなく、高校も始まって店が忙しくなり、明凛と一緒に朝早くから店で掃除したり、商品を並べたりしていた。二人はとても忙しそうにしていた。しかしこれと同時刻、理仁はスカイロイヤルホテルのペントハウス
交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています 第791話
唯花は手羽先を手に持ち食べながら言った。「あなたに話してないことがあっただけで、家族だと思ってくれてないとか怒りだして、喧嘩を始めたでしょ。それなのにあなたは何よ？九条さんとお酒を飲みに出かけたこと、私には黙ってたじゃないの。おかげで私は悪夢を見ることになったわ」理仁は少し黙ってから言った。「あれは俺が間違ってたよ。今度悟と出かける時は、必ず君も連れて行くからさ。酒を勧められたら君が代わりに断ってくれよ、君が言えばあいつらも強要はできなくなるだろ」「そんなことしたら、みんなにあなたは尻に敷かれてるって思われるわよ」「そう思いたいなら、思ってればいいさ。あいつらはまだ独身だから、奥さんの尻に敷かれたいと思ってもできやしないんだ」その言葉を聞いて唯花は大笑いした。彼が怪我したり病気になるようなことをしなければ、彼女もそんなに彼に口うるさくするつもりなどない。食べて飲んで満足した後、唯花はもう一度持って行く物がきちんと揃っているか確認して、問題ないことがわかってから、夫婦は出かけていった。先に三匹いるペットと車の鍵を唯月に渡しに行った。唯月は夫婦が来てから、ようやくこの二人に正月祝いを手渡すことができた。理仁は妻を乗せて結城家の実家で正月を迎えるために車を走らせた。彼の実家は結城家の先祖代々が残したお屋敷で、昔の雰囲気に溢れていることは事前に聞いていて知っていたのだが、実際にそこに到着すると唯花は驚いてしまった。これは大昔の金持ち家ではないか。高層マンションではなく、全て古き良き雰囲気の漂う昔の建築物で、敷地内を囲む塀も非常に高かった。どこもかしこも監視カメラだらけで、安全面においては何も文句がないほどだ。敷地内にある東屋や書院、くねくねと曲がった回廊、日本庭園など、その屋敷へ一歩足を踏み入れた瞬間、まるで大昔にタイムスリップしてしまったかのようだった。「理仁さん、あなたがこの年代に生まれていたら、正真正銘の御曹司じゃないの」理仁は唯花をつれて結城家の古い屋敷内を案内し、その環境に慣れさせていった。彼女の言葉を聞いて笑って言った。「俺はその年代には絶対生まれたくないね、君に出会えないから」彼は現代でも正真正銘の御曹司であるわけだし。理仁の芝居に合わせるために、結城家の人間はみんな一足先にこの古い屋敷のほう
交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています 第790話
「顔を洗ってきて。朝ごはんはもうできてるよ。顔を洗ってからご飯を食べてすぐ出発できるわ。結構遠いって言ってたじゃない？早めに出発したほうがいいわよ」「キスしてくれないか」「どうして私がキスしなきゃいけないの？あなたからしてくれてもいいでしょう？」理仁は笑った。彼女の体を自分に向かせ、その花のように赤い唇にキスをしようとした。しかし、彼女はその手で彼の口を塞いだ。「歯を磨いてからキスして」唯花はそう言うと彼を押しのけ、振り向いてスーツケースを閉めた。理仁「……」妻に嫌われたらしい。「顔を洗う時、ちゃんと髭も剃ってね。チクチクするから」唯花はスーツケースを引いて部屋を出た。そして、花に水をやり、三匹のペットの世話も済ませた。三匹のペットたちは後で姉のところに預けて、暫く面倒を見てもらう予定だ。「唯花さん、お待たせ」理仁は顔を洗ってから髭もきれいに剃り、部屋から出てきて、愛する妻の名前を呼びながら近づいてきた。「今回はキスしてもいいよね」唯花はキッチンからできた朝食を持ってきた。理仁が近づくと、唯花は持ってきた食器を彼に渡した。すぐにそれを取り、彼は素早く彼女の顔にキスをして、ようやく満足したように一緒にテーブルに向かった。「今日はなんで唐揚げなんか作ったの？」唯花は座りながら笑った。「昨日夢を見たの。誰かにご馳走になる夢ね。出された料理がすごくおいしくて、一晩中ずっと食べていたわ。最後に唐揚げが二つ残ったから、あなたに持って帰ろうとしたけど、どうしてもそれが取れなくて。起きてから夢だってわかったけど、やっぱりあなたにも食べさせたいから、朝から唐揚げを作ったのよ」理仁「……」夢の中でも食べているとは、本当に食いしん坊な人だ。「手羽先好きだから、一緒に作っちゃったの。理仁さん、使い捨て手袋を取ってくれる？食べる時、手を汚したくないから」理仁は笑った。「もちろん、喜んで」彼は彼女に使い捨て手袋を持ってきた。「昨日結局どこへ行ってたの？夜二つの夢を見たの、最初の夢は悪夢で、起きてからあなたがいなかったから、出かけたってわかったのよ」理仁は「どんな悪夢を見たの？別に大したことじゃないよ。悟に誘われて飲みに行ったんだ。お酒ばかり飲んでると言われたくないから、黙っていたんだ」
交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています 第789話
唯花が朝食を作り終わっても、理仁はまだ起きてこなかった。彼女は部屋に入り、ベッドで寝ている男をじっと見つめて、彼の鼻の下に指を伸ばし呼吸を確認してから、額に触れて温度を確認した。ちゃんと生きていて、熱もなかった。「もしかして今朝帰ってきたの？こんなに寝坊して」唯花はぶつぶつ言いながらも、理仁を無理やり起こすことはなくそのまま寝かせておいた。そして代わりに二人の服をまとめ始めた。彼が目を覚まし、一緒に朝食を食べてから、すぐ出発できるように先に荷造りをしておくのだ。「プルプルプル……」その時、唯月から電話がかかってきた。「お姉ちゃん」「もう出発した？」「まだよ。彼はまだ寝ているの。起きて朝ごはんを食べてから出発するわ。お姉ちゃん、どうしたの？」唯月は言った。「じゃ、少し家で待ってて、今からそっちに行くわ。二人に正月祝いを用意したから、今持っていくよ」「お姉ちゃん、いいの。外は雨だし、風も強いし、すごく寒いよ。お姉ちゃんには車もないし、清水さんもそっちにいないでしょう。陽ちゃんを連れて出かけたら風邪をひいちゃう。元旦に電話して新年の挨拶をしてくれるだけで十分だから」唯月は少し考えてから言った。「わかったわ」 「お姉ちゃん、本当に一緒に行かないの？」「私はいいわ。私は陽と二人で過ごす。もう家族全員の食事を準備したり、世話をしたりしなくてもいいから。弁当屋を開く前に、陽を連れて星城でゆっくり遊びたいの」俊介と結婚してから、彼女はもう長い間外出して遊んでいなかった。毎日夫と息子の世話ばかりしていて、祝日には夫の実家に帰り、家族全員の三食を準備しなければならなかったのだ。時に以前の正月は、俊介の実家で少し、親戚や友人が新年の挨拶に来ると、家の中には人がいっぱいいるのに、彼女がたった一人でキッチンでせっせと食事の準備をしていた。時には陽が泣き出したら、陽をおぶってあやしながら食事を作っていた。料理が作り終わっても、彼女を待たずにみんなは食べ始めた。彼女はその時陽に食事をさせなければならないので、全部終わった時、テーブルにほんの野菜しか残らないことも多かった。あの三年間の結婚生活を思い出すと、唯月は自分がどうやって耐えてきたのか全くわからなかった。離婚してはじめて、唯月は自分がどれだけ愚かだったかに気がついた
交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています 第788話
「年が明けたら、H市の子会社に行かせて、数年間仕事の経験を積ませよう。内海さんのことを完全に諦めて、男としての自覚がちゃんとできたら、また本社に戻すことにしよう。それから二年ほど耐えて、ちゃんと責任が持てるようになったら、金城グループを継がせるんだ。もし立ち直れず、自分の責任も持てないなら、金城家の将来のために、後継者を変えるしかないな」健司はもちろん自分の息子に金城グループを継いでほしいが、それは息子がその責任をきちんと持てる場合の話だ。もし息子が愛を自分の将来より優先させるなら、彼は多くの甥の中から新たな後継者を選ばざるを得ない。すると、伊織の顔色が変わった。彼女は唇をすぼめてから、口を開いた。「じゃあ、年が明けて、四日からあの子をH市に行かせましょう。それから、小遣いも一切あげないことにするわ。琉生はもう仕事をし始めたから、ちゃんと働いてもらって給料で生活させるわ。じゃないと、甘えが残るでしょ。唯花ちゃんが結城家の若奥様だってことも三日に教えたら、きっとちゃんと諦めてH市に行くでしょうし」健司は妻の提案に納得し、頷いた。「H市の子会社で平社員として一からやらせよう。そこの社長さんにちょっと世話を頼むんだ。危険な目に遭わせることも、楽もさせないようにする。カードも全部止めよう。給料を受け取るために、H市で新しい口座を作らせるんだ」夫婦二人は琉生に唯花を諦めさせるため、金城グループの重任が担える後継者を育てるため、心を鬼にすることにした。一方、琉生は親に遠く離れたH市へ送られることなど知らなかった。唯花も同じだった。彼女は隣に湯たんぽのように温かいものに抱きつき、心地よくぐっすりと眠っていた。美味しいものを食べる夢を見ているのか、時々口をパクパクしていた。翌日目覚めると、すぐ隣に理仁がいるのに気づいた。唯花は片手で頬杖をつき、理仁の寝顔を眺めた。しかし、思い返したのは、夢の中のご馳走だった。夢の中で、誰かにご馳走になり、テーブルに美味しい料理がいっぱい並べられていた。彼女は遠慮なく美味しくいただいた。最後にどうしても食べきれなかった唐揚げが二つ残り、理仁に持って帰ろうとした。しかし、手にそれを取ろうとしてもどうしても取れず、やがて彼女は目が覚めた。手を伸ばし、理仁の顔を一撫でして、唯花は独り言をつぶやいた。「あな
交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています 第787話
「あなた、もう遅いから明日にしましょう。娘が起きてしまうわ」伊織は夫を阻止し、これ以上ドアを蹴らせないようにした。「琉生は落ち込んでいるから、部屋でお酒でも飲んで酔いつぶれているかもしれない。ドアを叩く音も聞こえないんでしょう」琉生は最近よく部屋で飲んでいた。部屋に小さなバーカウンターがあるから、父親のコレクションの高級酒は全部持ち込まれていた。お酒で神経を麻痺させようとしたから、昼間の仕事に集中できず、だんだんミスが多くなっていた。健司は怒りを抑えきれなかったが、妻になだめられて自室に戻ることにした。部屋に入ると、伊織は夫に聞いた。「あなた、結城社長は唯花ちゃんが彼の奥様だと教えてくれたけど、このことを秘密にすべきかしら。どうやらまだ公にしていないようね」彼女の姪は唯花と親友なのに、理仁の正体を知らないのだ。健司はソファに腰をかけ、暫く黙ってから口を開いた。「結城社長は内海さんと結婚したことをずっと秘密にしていたっておっしゃったし、まだ完全に公表してないから、私たちも知らないふりをした方がいいかな。じゃないと、また面倒事が起こるかもしれないぞ。それに、やはりちゃんとした原因があるんだ。じゃなければ、結城グループが突然提携関係を打ち切るはずがない。この提携関係は、私が長年努力した結果なんだ。契約を結んだ後も、決して不良品が出ないように注意を払っていた。偶にパーティーで結城社長に会ったことがあっても、わざとらしくおだてるようなお世辞など言わなかったし、かといって失礼な真似も絶対しないようにしていた。あの方は確かに冷徹な方だが、ちゃんと理屈の通じる方なんだ。無暗に私らに難儀をつけるようなことなどするはずがない。今になってようやくわかった。原因は琉生だったのか。あの子は結構前から内海さんに惚れていたんだろう？彼女がまだスピード結婚していなかった時に告白しないで、結婚してから告白しても、何の意味もないだろう？」「はぁ」伊織は深くため息をついた。「そうよ、何の意味もないわ。私も彼が唯花ちゃんと付き合うことは反対なのよ。彼女は明凛とずっと仲が良くて、私も彼女が成長するのを見守ってきたわ。嫌いではないけど、嫁にするのはさすがにちょっと違うわ。私の理想的な息子のお嫁さんは名家のご令嬢なのよ。唯花ちゃんは美人だけど、特に優れ
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