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煌めくルビーに魅せられて4

Penulis: 相沢蒼依
last update Tanggal publikasi: 2025-10-23 06:06:27

***

 適度に体が沈む大きいベッドの上で、全身に残った気だるさが原因で目が覚める。自分よりも逞しい腕枕と俺を抱きしめるように背後で眠る、あたたかな存在を感じて、ぶわっと頬に熱をもつ。

 観覧車のゴンドラ内では、キス以上されなかったものの、与えられた吸血鬼の唾液の影響で、いつ破裂してもおかしくないくらいに、体が火照ってしょうがなかった。

 そんな体の諸事情で困り果てる俺を、桜小路さんは軽々と横抱きにしながら、SAKURAパークをあとにする。いつの間にかメインストリートにハイヤーを呼びつけていて、一緒に彼の住むマンションに帰った。

『SAKURAパークでたくさん遊んだから、汗もかいているだろう? 先にシャワーを浴びるといい』

 そう言って、着替えとタオルを手渡されたので、すぐにお風呂をいただいた。火照った体と熱り勃ったアレを、早くなんとかしたかったのもある。

「はあぁ、吸血鬼の唾液をたくさん飲んじゃったもんな。1回で終わる気がしないよ……」

 ボソッと独り言を呟き、シャワーを浴びはじめてすぐに、浴室の扉が大きく開いた。

「わっ!」

『瑞稀が苦しそうにしているのは、俺の責任だ。今、楽にしてあげるよ』

 吸血鬼の姿じゃない桜小路さんが、逃げかける俺の体を抱きしめ、口じゃ言えない卑猥なコトを進んでシてくれたおかげで、かなり楽になった。それなのに――。

『瑞稀は、はじめてだからね。ベッドでは気持ちのいいコトだけしようか』

「いえいえ、もう充分に気持ちイイことをしていただいたので、おなかいっぱいです」

(とはいえ、ふたりして下半身にタオルを巻いただけの恰好というのは、このあとの展開にいきやすいような)

 桜小路さんは、絶頂した余韻を引きずる俺の肩を強引に抱き寄せ、移動しながらとても静かな口調で語りかける。

『順番が逆になってしまったのだが瑞稀、俺と付き合ってくれないか?』

 間接照明が優しく照らすベッドルームの中央に立ち、真摯に俺に向き合った桜小路さんは、吸血鬼の姿に早変わりした。

「吸血鬼の俺を怖がることなく、吸血衝動で苦しむ俺に血をわけてくれた優しい君を、好きになってしまった」

 両手を固く握りしめ、真っ赤な顔で告白した桜小路さんの姿から真剣みが伝わり、胸が痛いくらいに高鳴る。

「カッコイイ桜小路さんが、俺みたいな貧乏学生を好きなんて」

『信じられないだろうけど、本当なんだ。出逢いは偶然だったが、君と一緒にいるうちに、はじめて見せてくれた瑞稀の笑顔に、心が奪われてしまってね』

「あのとき――」

 観覧車のゴンドラでおこったことを、ぼんやりと思い出す。

『ああ。瑞稀の笑った顔をもっと見たい、君がほしいと思った瞬間に、吸血衝動に襲われたんだ。残念なくらいに、体は正直だな』

 照れくさそうにシルバーの髪を掻きあげ、ルビー色の瞳で愛おしげに俺を見つめる。

(――どうしよう。こうして見られているだけで、ドキドキがとまらない)

『頬が赤くなっているね、かわいい』

 わざわざ耳元に顔を寄せ、艶っぽい声で告げてから、首筋に唇を押しつける。

「んっ」

 また血を吸われるのかと思って強張ったら、キツく体を抱きしめられた。

『瑞稀、早く返事をくれないか。じゃないと浴室でシたみたいに、この場で君をぐずぐずにしてしまう。瑞稀が好きすぎて、容赦なく手を出しそうだ』

「ぐずぐずって、そんなの困ります! 俺、こんなふうに告白されたことも、エッチなアレだってはじめてで、どう対処したらいいのかわからなくて」

 強く抱きしめられているのに、吸血鬼の桜小路さんから伝わるぬくもりはなぜだか冷たくて、思わず両腕でぎゅっと抱きついてしまった。少しでもいいから、俺の体温であたためてあげたくなる。

『瑞稀?』

「吸血鬼になった運命を悲劇に捉えないで、楽しもうって考える桜小路さんに憧れてしまいました」

 桜小路さんを抱きしめることで、彼の胸に顔を埋めているから、照れている顔を隠せた。なので素直な気持ちを口にできる。

『君の憧れの気持ちを好意に変えるには、どうしたらいいだろうか?』

「どうしたらって、桜小路さんが存在するだけでいいというか。とても素敵だし、イヤでも惹かれてしまって」

『瑞稀、顔をあげて。俺の目を見ながら、君の気持ちを聞かせてほしい』

(それって、すごく恥ずかしい。だけどさっき桜小路さんがしてくれたみたいに、俺もちゃんとした姿勢で応えてあげなきゃ)

 桜小路さんの胸元から恐るおそる顔をあげて、頭上にある整った彼の顔を眺める。

 間接照明の淡い光が彼の顔に陰影を与えるおかげで、同じ日本人とは思えない彫りの深さを感じた。その下にあるルビー色の瞳が綺麗に揺らめき、さらに格好よく俺の目に映る。

「桜小路さんがこうして傍にいるだけで、ドキドキしています。もしかしたら、好きになっているのかもしれませんっ」

 思いきって告白した俺を、桜小路さんは意味ありげに双眼を細めて見下ろす。

『吸血鬼の俺と普段の俺、瑞稀はどっちが好みだろうか?』

「そんな難しいことを聞かれても、なんと答えていいのか困ってしまいます」

(比べられないくらいに、両方とも格好よくて好みですなんて、絶対に恥ずかしくて言えない!)

 両手で頬を押えて赤みを隠そうとしたら、両手首を引っ張られ、勢いよくベッドの上に放り投げられた。

「うわっ!」

『俺の質問に答えないイジワルな君には、お仕置が決定だな。まずは血を吸って、味を確かめてから――』

「ダメです! 美味しくない血を吸われたら、俺のがまた大きくなっちゃうじゃないですか」

 切実な問題だから必死に訴えたというのに、桜小路さんはそんなの関係ないと言いたげに、弾んだ声で返事をする。

『ふふっ、実は味が変化してるんだよ』

「へっ変化?」

『ゴンドラで瑞稀の血を吸ったときに、気づいたんだ。甘みが増して、美味しくなってる』

 目の前で舌舐めずりしたあとに顔を寄せて、俺の唇を下から上へと大きく舐めた。ただそれだけなのに、ゾクッと感じてしまい、変な声が出そうになる。

『瑞稀に俺の愛情をたくさん注いだら、美味しくなるのか。はたまた君が俺をもっともっと好きになったら、美味しくなるのか。いろいろ考えるだけでも、夢が広がって楽しいよ。どれだけ君の血が甘露になるのかと』

 桜小路さんは俺に股がって体を動けなくしてから、首筋を丁寧に舐めて、ガブッと噛みつく。

「くぅっ!」

 やっぱりというか血を吸われるたびに、俺の下半身がどんどん大きくなった。

「やっ、もぉダメ~……イっちゃう」

『では瑞稀の大きくなったブツを、直接吸ってイカせてあげ――』

「もっとダメです! ひとりでイキたくない」

 急いで大事な部分を両手で隠して、ここぞとばかりに声高く叫ぶ。

「だって俺ばかりイって、桜小路さんはずっと我慢してるじゃないか!」

『そこは雅光と一緒にイキたいと、うまく強請ってほしいな』

 突然告げられた桜小路さんのワガママに、目を白黒させるしかない。

『瑞稀言ってごらん。君が言えば願いが簡単に叶うよ』

「年上の桜小路さんの名前を言うのは、俺にはハードルが高すぎます」

 体を縮こませて、ごにょごにょ返事をしたら。

『だったら君が呼びやすい、あだ名をつけてくれ。エロ光や吸血太郎とかでもいいよ』

 桜小路さんがえらく真面目な表情で言い放ったせいで、突っ込むタイミングを見事に失った。茫然自失しながら、重たい口を開く。

「最初に偽名を使ったときといい今といい、ネーミングセンスがなさすぎです」

『これでも真剣に考えたのに……』

 しょんぼりする吸血鬼の姿は、ここぞとばかりに笑いを誘うものだった。迷うことなく、声をたてて笑いまくる。

『瑞稀、ちょっと笑いすぎだろ』

「だって、本当におもしろいんですって。真剣に考えたものとは、到底思えない」

『なるほど。君がそんなに笑うのなら、もっといいあだ名を考えてみようか』

「俺が考えますので、桜小路さんは黙ってください」

 なんとか笑いを堪えつつ、呼びやすそうなあだ名を考えた。目の前で今か今かと、期待を込めた眼差しを注ぐプレッシャーを無視して、覚悟を決めたというふうにハッキリ言う。

「これから桜小路さんのことを、マサさんって呼ぶことにします」

『マサさん……なんだか新鮮な響きだな』

 ルビー色の瞳を、何度も瞬かせたマサさん。もしかして吸血鬼なのを隠すために、こんなふうに呼び合う仲のいい友人がいなかった可能性があるなと思った。

 だからこそ、心を込めて告げてあげる。

「マサさん、ふつつかな俺ですが、これからよろしくお願いします!」

『ナニをよろしくしたらいいのだろうか?』

(わかってるクセに、イジワルなことをワザと言う、そんなマサさんが好き――)

「マサさんと一緒に、気持ちいいコトがしたいです」

 言いながら、マサさんの下半身に自分の下半身を押しつけて、擦りつけるように上下させた。するとマサさんの額を俺の額に押し当てて、低い声で告げる。

『わかった。いいあだ名をつけてくれた、君の願いを叶えてあげよう』

 こうして俺のお願いをきいてくれたマサさんと仲良く絶頂して、一緒に就寝したのだった。

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