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70.ラタ男爵とエルとレイ

last update Date de publication: 2025-08-08 11:00:00

 二頭の黒馬は大陸を大きく北上していく。

 世界は四つの大陸と八つの小大陸が海に浮かび、全ての最南地に魔王がいるという小大陸がある。

 二人の王族を乗せた黒馬はスカイの町を抜け、すぐ領主である男爵の屋敷に差し掛かった。

 馬が嘶き、足を止める。

「ここだ」

 レイとエル、二人で屋敷を見上げる。

 町場から離れた場所だ。人気がない。普通は使用人を雇い住まわせるが、それにしては屋敷は城下町の良い宿程度のサイズ感だ。通いの使用人を雇えば、屋敷は町のすぐ側に建てるのだが、どうにも辺境である。

「変わってんな。それとも人嫌いか ? 」

「調べた隊の報告だと、年老いた男爵ひとり暮らしらしい。気のいい男だと報告受けてる」

 レイは馬から降りると、ドアを叩く。

「泊めてくれると有難いな」

「どうかな」

 リコとセロが行くはずだった男爵の屋敷である。

 ヘザー隊長の調べでは、この男爵の屋敷へ向かう途中で消息を絶っているのだ。アリア
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