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13.椎名への疑惑

Penulis: 神木セイユ
last update Terakhir Diperbarui: 2025-06-19 17:00:00

 丁度その頃。

 部屋にこもりきりだったルキの様子を見に、スミスが来ていた。

「ルキ様、ホテルに宿泊されてはいかがです ? 」

 浴衣を着て部屋に転がったままのルキに、スミスが言った。

「ホテルねぇ」

「ここはガラス窓も大きいですし……警護はどうしても穴が出来ます」

「はは。俺を殺しに来るスナイパーがいたとしても、ガラスが広い狭いなんて関係ないよ」

「そうかもしれませんが……警戒は必要です」

「ホテルはもう飽きたなぁ。ここは決して豪華な旅館じゃないけど……好きだよ。隙間風がある所なんか、懐かしい気分になるんだよね」

「懐かしい……ですか……」

 スミスは意味が理解できず聞き返した。ルキの素性や出自を知るものはMだけと言っても過言では無い。

「……いや。なんでもないさ。建物は古くても食事がいいんだ」

「そうですか。何よりです。

 あの……この地域には明確に期限を設けて滞在されてるのですか ? 部下にも移動の準備を指示しなければいけませんので……そろそろスケジュールを組みたいのですが」

「しばらくこの町にいるよ。会いたい人も居るしね。

    それにしても、ケイも美果ちゃんもファンが増えたなぁ。

 あ、そういえばMに呼ばれてるんだよね。あ〜あ。スミス、代わりに行ってきてよ」

「俺にルキ様の代わりは務まりませんよ」

「ん〜。面倒臭いなぁ。どうせ拠点を変えろって説教だよなぁ〜。日本でイベント開催するの、客には大好評なんだけど」    

「そうですね。『煩わしい都会より、ゆっくり観光できた』との声をいただいております」

「ほんとにね。静かでいい町だよ」

 prrrrrr.prrrrrr

 ルキのスマホが鳴る。

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  • PSYCHO-w   13.椎名への疑惑

     丁度その頃。 部屋にこもりきりだったルキの様子を見に、スミスが来ていた。「ルキ様、ホテルに宿泊されてはいかがです ? 」 浴衣を着て部屋に転がったままのルキに、スミスが言った。「ホテルねぇ」「ここはガラス窓も大きいですし……警護はどうしても穴が出来ます」「はは。俺を殺しに来るスナイパーがいたとしても、ガラスが広い狭いなんて関係ないよ」「そうかもしれませんが……警戒は必要です」「ホテルはもう飽きたなぁ。ここは決して豪華な旅館じゃないけど……好きだよ。隙間風がある所なんか、懐かしい気分になるんだよね」「懐かしい……ですか……」 スミスは意味が理解できず聞き返した。ルキの素性や出自を知るものはMだけと言っても過言では無い。「……いや。なんでもないさ。建物は古くても食事がいいんだ」「そうですか。何よりです。 あの……この地域には明確に期限を設けて滞在されてるのですか ? 部下にも移動の準備を指示しなければいけませんので……そろそろスケジュールを組みたいのですが」「しばらくこの町にいるよ。会いたい人も居るしね。 それにしても、ケイも美果ちゃんもファンが増えたなぁ。 あ、そういえばMに呼ばれてるんだよね。あ〜あ。スミス、代わりに行ってきてよ」「俺にルキ様の代わりは務まりませんよ」「ん〜。面倒臭いなぁ。どうせ拠点を変えろって説教だよなぁ〜。日本でイベント開催するの、客には大好評なんだけど」 「そうですね。『煩わしい都会より、ゆっくり観光できた』との声をいただいております」「ほんとにね。静かでいい町だよ」 prrrrrr.prrrrrr ルキのスマホが鳴る。

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