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22.第3ゲーム開幕

Penulis: 神木セイユ
last update Terakhir Diperbarui: 2025-07-02 17:00:00

「来たぞ !! 」

 エレベーターのドアが開いた瞬間、大きなどよめきと喝采が沸いた。

 蛍と美果は自分たちに向けられた視線と歓声に度肝を抜かれていた。

 今までのイベントと確実に違う場の空気。

 観覧者の姿が見える。相変わらずマスク着用だが、明るい会場の照明では肌の質まで分かるほど近い距離感。

「おい ! 俺はお前に賭けたぞ蛍 ! 」

「ミカ !! ミカもいるわよ !? 」

 会場にひしめき合う円卓の合間を縫って、ウェイター役の黒服が料理を運ぶ。コック帽を被っている男は隅に鉄板を置き、上質そうな肉を客前で斬ってみせる。煙に反応しない会場。エレベーターの重量もそうだが、建築のあれこれは違法状態なのだろう。

 観覧者達の顔触れをしっかり見るのは蛍も美果も初めてだった。

 マスクの隙間から見える目元や唇。どの人間も普通に見えた。

 ドレスも上質な生地だが派手でもなく品があり、マスクを外しても厳つい反社会的な顔付きはしていないだろう。

 蛍と美果の入った檻は、ステージ中央に並べられた。

 その隣にもう一つ。同じ檻があった。

 蛍は前を向いたまま、その中で拘束着を着せられた椎名に呟いた。

「……何それ。ハンニバルのコスプレ ? 」

「…………黙れ」

 奥にいた坂下刑事は檻の隅で立ち尽くし、理解不能な表情で観覧者を見つめていた。

「く……こんなっ ! こんな馬鹿な事あるわけが無い ! 」

 自己暗示をかけ続ける坂下刑事を、椎名と蛍は冷たく無視を決め込む。

「ふーん。椎名、あいつと組むの ? 不安だね」

「俺にそんな揺さぶりは効かないぞ」

「そうかな ? ルキのやつ、坂下を生かして帰らせる気は無いんじゃない ? だとしたら、一緒に組むあんたは負け確じゃん。

 一体、何やったんだ ? 」

「……ルキ様の……ただの思

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  • PSYCHO-w   34.最後のペナルティ

     ゴッ !! Mが掴んでいた坂下の首を、床に投げ捨てた。「Foooooooooooo ! 」 Mのパフォーマンスは会場のあちこちで盛り上がりを見せていた。「蛍 ! 今回もおめぇに賭けたぞ ! 勝ったな !! 」「あ。さっきの……ありがとう、おじさん」「おう !! 俺ァまた、お前に賭けるぜ ! 」 単細胞なのか、芯がぶれないのか、この中年男性はマスクからはみ出た目尻をくしゃくしゃにして笑っていた。「またな ! 」 そして最後。  降参した椿希。  Mは鮮血で真っ赤に染まったシャツのまま、椿希を見下ろしていた。  椿希には少しの恐怖の色が見える。しかし泣きわめくことも無く、覚悟を決めて椅子に座る。先程までの軽薄な軽口を叩く子供とは面持ちが違っていることにMが気付く。「面白い。しかし、普段の軽薄な様子は何も、お前に恩恵を齎さないと思うぞ」「う〜ん。わざとではないんですよぉ。子供の頃から口が減らないものでぇ」「なぜここへ ? 」「ルキさんに招待受けて」「入るには金がいったはずだ。どこから出した ? 」「継いだ山王寺グループの中から……」「ルキ、山王寺グループとはなんだ ? 」「マフィアです。半グレからヤクザ崩れの者で構成された組織で、高学歴者が多いのが特徴です。詐欺やマルチ商法が得意で、人前に直接姿を現すタイプの犯罪が生業のようです」「……減らず口は職業病か」 Mがしょうもなさそうに椿希を見る。「まぁ腕は諦めろ、出せ」 そこへ椿希が右腕を差し出す。「ふ……ふはは。お前、正気か ? それともサービスか ? 」「マジでぇ ? すっげー ! 」 Mを騙すことは出来ないのだ。「何 ? 」 美果がぽかんとしている側で、ルキが椿希が使っていたナイフを指差す。「椿希くん。左利きだよ」「えぇ ? あ、本

  • PSYCHO-w   33.終局

     蛍に立ちはだかった問題。「くっ……」 2.6kgという量。 このウサギの血を抜いたとしても、蛍が普段 食べる食事の量では無いのだ。骨の重さも抜いたところで2kg以下にはならないのだ。 これは椿希と同レベルに辛いゲームになってしまった。更に、思った以上に美果の髪の量も効いていた。 ウサギの内臓は皆が思うより個性的である。 観覧者達も仮面の中の素顔に、思わず眉間に皺を寄せている。 それでも蛍は内容物があるであろう部分は切開せず、そのまま口へ運び、丸呑みしていく。 それにMは気付いたいた。 慣れ。 蛍は食肉加工品以外の肉を食べなれている、慣れを感じる。 長い腸の部分は途中で切ると、剥いだ毛皮を内側にし、包み込んで流していく。スルリと流れるものの、一口が多い。喉に負担がかかってくると、胴体の肉へ味変する。鶏のように弾力のある肉。 その繰り返しだ。 一方、椿希のフォークは完全に止まってしまった。少しの生肉を口にしただけで、普段口にする鳥や豚とは明らかに違う臭み。 内臓と血液だけで時間がかかるほどキツくなる匂い。「 !! ハフフッーーー !! フヘー ! 」 猿轡をされた坂下が「食え ! 」と、椿希に抗議する。「うるさいなぁ……。こんなん……ウプ……あ〜。 そもそも俺ぇ〜。考えたら、伯父さんの腕喰うのも無理だったわ、あははは !! 」「フゴーーーっ !! 」 そんな椿希と坂下の小競り合いの隣、黙々と食べ続ける蛍を観察し続けるM。 その脳内に浮かぶ、一つの疑問と予想。 調査書にはルキと不仲でルキの護衛をしっかり行うという黒服同士の注意書きがあったが、逆なのではないかと。蛍はルキに本当に恨みがあるのだろうか ? 蛍の性質性癖、異常性。望んでゲームに参加し、ルキを誘惑してまで檻に入れ巻き込んだ。 蛍は『ルキに死んで欲しい』の

  • PSYCHO-w   32.フードファイト

     蛍の中にある、ほんの少しだけの高揚感。 コレはウサギを殺すことか ? それともルキの腕が失われる事か ? ふと、椿希の方をまた伺う。 耳や生肉は何とか切り分けているようだが、食べにくそうに、何度も水を飲んで苦戦している。 その姿を見て、蛍は本当に自覚してしまった。自分は常人とは違うと。 幼少期……最初のターゲットは人ではなく小動物だった。そしてその血肉を身体に取り込んで来たこと。人間に対象が変化し、最初に手を伸ばしたのは斎場の死人相手だった。やがて──生きた人間に。 自分は本当に異常者なのだと悟ってしまった。「……やるよ、ルキ。なんだっけ ? デート一回 ? デートごときで利き腕のペナルティーか。ご苦労さま。 でも、マジで勝っちゃうから意味ないよ」「ふふ。そう ? 期待してるよ」 蛍はウサギの足を掴み逆さにすると、ペティナイフを首に突き刺す。その首をテーブルから垂らし、吹き出す血をものともせず、手早く胴体の皮を剥いで行く。「おぉー ! 」「あのガキ慣れてやがんな」 観覧者達は蛍の手捌きに唸った。 丸裸になったウサギの死骸。 その腹を捌き、内臓を傷付けず取り出し、そこから食す。 鮮度が命の獣肉は時間が経つほど臭みが増す。胴体は血抜きしつつ、鮮度のいい内臓からかたをつける気だ。 隣の椿希が大きく「オエッ」っと嘔吐いたのが聞こえる。 差し掛かったのは同じくウサギの内臓だ。 胃や腸にはまだまだ内容物が蓄積していた。 しかし蛍のナイフとフォークは止まらない。「マジかよ、けい〜。なんで食えるの〜 ? 」 隣の檻から椿希が蛍の勢いを見て口をへの字に曲げていた。「ウサギの食べ物を考えれば人体に害はないよ」「そういう問題じゃな〜い〜 ! 」「ウサギって自分のウンコも食うじゃん。だから大丈夫じゃない ? 」「え、それってプラス思考になるの ? ウッ、

  • PSYCHO-w   31.うさぎ

     椿希は勢いよくウサギの背を掴むと、ひっくり返し一撃。心臓があるだろう場所を刺した。 ウサギは鳴かないなんて嘘だ。プキキ ! ともがいて反抗する。 自分と同じ哺乳類とはいえ、素人が正確な心臓の位置を突くのは不可能だ。パタパタともがく手を握り、胸部を滅多刺しににする。「はぁーっ、はぁーっ…… ! 」 テーブルの上に横たわったウサギ。前屈みになり、椿希の表情は先程の軽口を叩いていた人間とは思えないほど大人しく、静かに錯乱していた。 悲しみ。同情。罪悪感。表現は沢山あるだろうが、そのどれもが当てはまる。 まだ、ただの小悪党だ。不要な人間は処分出来ても、女子供は殺せない。椿希はそんな性分だった。 一方、蛍は。 そんな椿希の様子を感じながら、固定されているルキの右腕をチラりと見る。「…… ? ケイ ? 何も心配いらないよ ? 」「別に」「残念だったね。俺を殺すルールは無くなったし、俺の肉も食べれなくなったけどさ。利き腕が無いなんて刃物使いには痛い話だ。十分、今後を考えればハンデだよ。 なにを迷ってるの ? 」 蛍は。食べなければいいのだ。 ペナルティーはルキが受けるのだから。片腕を失うのはルキだけだ。 本来、Mの提示したルールでルキにダメージを与えるなら、これが正攻法。 しかし、蛍は敏感にMという白い男の不気味さを本能で感じていた。「Mが気になる ? 」 ルキが声のトーンを落とす。「ああ。ルール外の事をしたら……躊躇いなく俺もどうにかなるだろ…… ? 」「流石、鋭いね。 でも、ケイ。なにか勘違いしてるといけないから初めに言っておくよ。 俺は幼少期に拾われてからずっと、Mに感謝する毎日を送って来た。彼は幼児を奴隷にして虐げるような男ではないんだ」「ふーん。じゃあ、なんであんたはこの世界に居続けるんだ ? 百戦錬磨のデスゲーム王 ? 結局、あいつ

  • PSYCHO-w   30.二回戦開始 !

     ルキは一度歯を食いしばってから、笑顔で振り返った。「M。日本へいらしてたのですか ? 」「お前が戻らんからな。……ソレが噂の子供か」「……はい。涼川 蛍です。なかなか見所があります」 そう言うしかない。 再三、Mは顔を出せと言っていたが、全く帰って来る気配のないルキに業を煮やしていた。Mがこんな地方都市まで押しかけてきた理由だ。Mはルキがお気に入りに絡んでる間は、自分の元へ帰らない事を知っている。そして最初にルキがこの田舎町を訪れた理由をMは知っていた。「そうか。見所か。 いいぞ。ゲームはわたしが引き継ぐ。お前が中に入るのだろ ? 命までは取らんルールだそうじゃないか」 ルキは逃げ場を失った。「……はい。勝ちますので、問題ありません」 Mは今度は椿希に目をやると、頷いて見せる。「お前もいいぞ。人員の入れ替えを許可する」「おぉ〜 ! あざっす ! 」 椿希はすぐに檻に入ると、迷いなく檻の中にいた坂下刑事を殴り飛ばした。「ガハッ !! 椿希〜 ! 何すんだよ !! 」「全くもう〜。度胸なしのクソじゃんかぁ〜 ! もう〜 ! もう〜 ! まぁいいや。次は伯父さんがペナルティー組だよ♡」「やめろ ! 俺はもうやらん !! 帰る !! 帰れるって言っただろうがーーーっ !! 」 逃げ惑う坂下を、檻に入ってきた黒服が取り押さえ椅子に拘束する。 蛍は隣の檻の騒ぎを聴きながら、檻に入ろうとしないルキを挑発する。「さぁ。あんたも観念しなよ」「ふふ。それで優位に立ったつもりかい ? 俺は言った通り、百戦錬磨だよ ? 」「負けても勝ってもいいんだ。とりあえず俺、あんたを食えるんだから」「いいさ。付き合うよ。 代償はデート一回だよ。さっきの続き、してもいいんだろ ? 」

  • PSYCHO-w   29. M

     一歩も引かない状況。  蛍を言いくるめようと、ルキは慎重に言葉を探す。  そのルキの頬を蛍が突然、鉄格子越しに両手で包んだ。「ケイ ? なにをs……ん」 チュプ……ジュ……。 そのまま数秒──舌を絡ませ、吸い付き、口内をくすぐられる。  唐突なパフォーマンスに、初めは観覧者の中からも困惑の声が上がった。  しかし頬を撫で、背伸びながらルキに顔を寄せる蛍の姿は、なんとも妖艶にどこか恐ろしく見えた。幼い顔付きと不釣り合いな鋭い瞳。ルキを挑発するような素振りだが、完全に殺気立っている獣だ。  更にそれに動じないルキの振る舞いにも驚かされた。ブロンドの前髪がサラりと乱れ、蛍を見詰めるシルバーグレイの瞳に拒絶は無い。  二人の姿はまさに耽美で、思わず全員が見惚れる瞬間だった。「はぁ……ケイっ」 慌てて蛍から距離をとる。このままでは蛍に心を乱されてしまいそうだった。ルキは観覧者達の前で醜態を晒したと、唇を拭い蛍を睨む。「突然何をするかと思ったら……どうしたんだい ? 」 尚も微笑を浮かべ続けるルキの瞳と、蛍の見下した視線が絡む。「ほら。ゲーム……シたくなったろ ? 」「ふっ…… ! ……あははは ! 」 しなやかに腕を組みながら、ルキは蛍の不器用な誘いに大笑いする。しかし本当は全身、総毛立っていた。  不器用ながらも強引に勝負の場へ引き摺り出すつもりだ。何より観覧者達が既にその気なのだ。手ぶらで帰らせることは出来なくなった。 しかし、そうなれば蛍は美果に対してのようには、自分へ手加減はしないだろう。本気で殺しに来るはずだ。観覧者の期待の眼差し。もう引くに引けない所まで来てしまった。 その時、前席から突然手が上がる。「はいは〜い ! それならぁ、坂下刑事のペアを俺にさせて下さ〜い ! 」 坂下 椿希だ。「伯父さん役に立たないし〜。俺がプレイヤー側に立候補したいんすけどぉ、駄目すかぁ ? 」 これにはルキの顔色も豹変する

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