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SS級の完璧なバッテリー
SS級の完璧なバッテリー
Author: silver구슬

#1. プロローグ:雨の中の暴君

Author: silver구슬
last update publish date: 2026-06-05 08:49:03

これは疑う余地もなく、夢だった。しかし、網膜に焼き付いた光景は、不気味なほどに鮮明で残酷な現実味を帯びていた。

ここは韓国、ソウル。3月の初めの激しい豪雨が、ブルペンの地面を乱暴に叩きつけている。傘を差すことすら諦めて立ち尽くす二人の男の間で、肺を焼き尽くすほどに熱く息苦しい息遣いが、震える空気の中で激しく絡み合っていた。

ユファンの逞しく巨大な体躯――神が丹精込めて仕立て上げたような190センチの圧倒的なプロポーション――は、濡れて流れ落ちる黒髪と相まって、野獣のような支配力を放っていた。雨水で滑らかに光る彼の筋肉は、獲物を追い詰めた猛獣のように、今にも弾けそうなほど張り詰めている。

そのすぐ隣に立つジャン・ハヌルの赤い髪もまた、同じように濡れそぞり、降り注ぐ雨は彼の細い肩のラインを伝って流れ落ちていた。水に濡れて透けるシャツの向こうで、ハヌルの微かに震える吐息が露わになり、ユファンの鋭い視線はその息遣いさえも縫い留めていた。

「ユファン……、今、何て言ったんだ?」

「何度も言わせるな。ズボンを脱いで後ろを向け。俺のものを受け止めろ」

3月の初めの空気は骨を刺すように冷たかったが、ユファンの唇を伝って漏れ出た言葉は、異常なほどに熱く燃え上がっていた。

二人が初めて出会ったのは、わずか昨日だった。

その短い刹那の時間の後に訪れたユファンの要求は、暴力そのものだった。その理不尽な破壊力に、ハヌルの喉は息が詰まるほど硬く強張ってしまった。

先ほどまで一緒にキャッチボールを交わしていた、純粋なチームメイトの顔はどこにもなかった。その代わりにハヌルを見下ろすユファンの瞳の奥には、捕食者の執拗な執着と、触れてはならない暗い欲望が渦巻いていた。

これが夢だろうか? そうだ、これは酷い幻覚に違いない。

雨水で意識は朦朧とし、ダグアウトの中は現実感のない熱気で満たされていた。ブルペンで共に白球を投じていた鮮明な記憶さえも、水面下へと沈み、遥か彼方へと流されていくようだった。

しかし、単なる夢と片付けるには、肌に触れる雨粒の冷たい痛みと、目の前の男が漂わせる生々しい体臭が、あまりにも鮮烈すぎた。

ズボンを脱いで、後ろを向いて、一体何を受け止めろと言うのか。

脳裏をよぎる露骨な情事の光景が、全身を焼き尽くすような屈辱感で染め上げた。しかし、ユファンの表情にはただの一片の躊躇いもなかった。むしろ、ハヌルの察しが全面的に正しいと言わんばかりに、傲慢かつ攻撃的にハヌルの領域を侵食してきた。

この野蛮で暴君のような迫力に圧し潰され、ハヌルは呻き声さえ上げられなかった。ただの平凡な大学の野球サークルの部員として、歩調を合わせていると思っていただけなのに、凍えるような雨の中でこんな赤裸々で荒々しい関係を強要されるとは夢にも思わなかった。

導火線に火がついたのは、まさに昨日だった。ソウル大学の野球サークル『マグマグ』の入部テストが終わった直後、緑豆(ノクトゥ)通りでユファンの主導のもと、飲み会が始まった。勝った者が負けた者を一日中『奴隷』として扱うことにした、あの他愛のない賭けが災いしたのだ。

ハヌルはいつも、自分自身を傲慢なギャンブラーだと自負してきた。成績、アルバイト、打席でのバッティング――そのどれにおいても、自分に敗北を許したことはなかった。ハヌルの唯一의 弱点は、神が与えた悲惨なほどの酒量の少なさだけだった。

結局、雰囲気に流されて杯を干した代償は、災厄だった。ユファンの衝動に丸ごと質に入れられた、たった一日の時間が、目の前の過酷な現実へと繋がるとは。

本当は、過去の三度の人生のすべてを通じて、ユファンを人知れず愛してきたハヌルは、彼に抱かれる想像を何万回も重ねてきた。

しかし、いざ直面した瞬間は、甘い愛撫ではなく、悪寒の走る屈辱だった。何よりも、ユファンがぶつけてきているものが『性欲』というよりは『怒り』に近いという事実が、ハヌルの心臓を、血が流れるほどに引き裂いた。

「ユファン、雨が見えないのか? 二人ともずぶ濡れだ。まずは中に入ろう」

ハヌルは辛うじて震える声を振り絞ったが、ユファンはただ嘲笑うかのような苦々しい笑みを浮かべ、唇を暗く歪めるだけだった。

「ずぶ濡れ? ハヌル……、お前、まるで人をたぶらかす化け物みたいな声をしてるぞ」

誰が誰に向かって言っているのか。圧倒的なフィジカルと強靭な肉体、俳優よりも端正な顔立ちを持つユファンこそ、周囲のすべての視線を吸い込む、歩くブラックホールだった。さらに彼が傍若無人な財閥の御曹司であるという肩書きさえも、致命的な魅력을 上乗せしているに過ぎない。

しかし、ユファンの本当の魔力は、その美しい器ではなく、彼の『ピッチング』にあった。鼓膜を引き裂くような球速と、打者のプライドを蹂躙する重く破壊的な球質。

彼が投じる球は、打席に立った誰もが自分をコントロールできなくなるほどの、絶対的な恐怖と魅惑的な畏怖を植え付けた。彼の球に掠りもしなかった打者たちは、無残な敗北感に打ちのめされ、自分を完全に失ったまま、息の詰まるような罪悪感の沼へと沈んでいった。

お前のせいで地獄を味わった打者たちは、死まで考えたというのに……。

そして今、まさにその悪魔が、ハヌルの理性を切り刻んでいた。これはすべての論理を拒絶する破滅だった。ハヌルが受け止めなければならないものが、ユファンの熱い想いや重い野球ボールではなく、ただのゴミのような精液に過ぎないなんて。

「ジャン・ハヌル、脱げ。今すぐだ」

「正気か?」

「時間がない。俺の patience(忍耐)も限界だ」

「昨日会ったばかりの相手と、本気でこんなことをしたいのか? 本気なのか?」

ぐいっと!

ユファンの巨大な手が前へと伸び、ハヌルの胸ぐらを掴み上げた。びしょ濡れの生地越しに、二人の体温が荒々しく攻撃的にぶつかり合い、溶けていく。まつ毛を伝い落ちる雨水のせいで目を開けていることすら困難だったが、ユファンの意志は盲目的で、巨大で、絶対的だった。

ハヌルの精神が完全に麻痺する直前、ハヌルの最も密やかな領域を侵そうとしていたユファンの手が、突如として凍りついた。

「……」

まるで激しい内なる葛藤に囚われたかのように、ユファンは石像のように凝固した。代わりに、息を殺したまま男の次の行動を待っていたハヌルに、耐え難い、燃え上がるような羞恥心が押し寄せた。

「ユファン、一線を越えるな」

喉の奥から辛うじて警告を絞り出した。結局、彼は最後まで告白できないのだろう。彼を狂おしいほどに、切実に愛しており、この屈辱さえも彼が与えてくれるものなら甘美に感じてしまうという、その真実だけは。

降り注ぐ豪雨は、激しかった対峙を一時的な小康状態へと導いた。重苦しい沈黙を破り、ユファンが低く危険に唸るように呟いた。

「なら、なんであんな目で俺を見たんだ? 昨日も、今日も……。初めて会った男を、あんな目で見る奴がどこにいる?」

その瞬間、ハヌルは自分の心臓が足元の地面へと真っ逆さまに落ちていくのを感じた。

必死に隠そうとしていた彼の愛の痕跡は、すでに跡形もなく見破られていた。

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