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第四章:秘密の始まり

Author: 佐薙真琴
last update Last Updated: 2025-12-08 19:56:55

 三日間、澪は答えを出せなかった。

 仕事中も、蓮のことばかり考えていた。彼の言葉、彼の表情、彼の手の温もり。全てが澪の心を占領していた。

 スマホには、蓮からのメッセージが毎日届いていた。

「おはようございます」 「今日も一日、頑張ってください」 「無理に返信しなくていいです。ただ、澪さんのことを考えています」

 その優しさが、澪をさらに混乱させた。

 そして、三日目の夜。

 澪は決心した。

 スマホを手に取り、蓮にメッセージを送った。

「明日、お時間ありますか? お話ししたいことがあります」

 すぐに返信が来た。

「あります。どこでも行きます」

 翌日の夕方、澪は新宿の静かなカフェで蓮を待っていた。個室のある店。人目を避けるため。

 ドアが開き、蓮が入ってきた。黒いキャップに マスク、サングラス。完全な変装。でも、澪にはすぐに分かった。

「お待たせしました」

 蓮がマスクを外し、微笑んだ。

「いえ、私も今来たところです」

 二人は向かい合って座った。沈黙。

 澪は深呼吸をした。

「蓮さん、私……」

「はい」

「あなたの気持ち、受け取ります」

 蓮の瞳が、大きく見開かれた。

「でも、条件があります」

「何でも聞きます」

「まず、私はまだあなたのことをよく知りません。本当の、素のあなたを」

 澪は蓮の目を見つめた。

「だから、時間をください。ゆっくりと、お互いを知る時間を」

「もちろんです」

「そして、この関係は秘密にしてください。あなたの仕事に影響が出るのは避けたいから」

「分かりました」

 蓮が嬉しそうに微笑んだ。

「じゃあ、これから僕たち……」

「まだ恋人じゃありません」

 澪が慌てて付け加えた。

「まずは、友達として。そこから始め

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