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第28話 知らない顔

Author: 暁万里
last update publish date: 2026-06-18 07:00:41

 日が暮れ始めたころ。フラワーショップ『アンジェリケ』の向かい側。拓真は車の中から店の入口を見つめていた。

――自分は偶然近くまで来ただけ。

 そう頭の中で言い訳を組み立てていく。

 けれど、本当は違う。澪に会うために来ている。

 でも普通に店を尋ねてもいつも澪には会えない。

 それどころか、他の店員たちに冷たい目で追い払われてばかりだ。決して澪には会わせないと言われているような……。

「……何やってるんだ、俺」

 小さく呟く。返事をする者はいない。エンジンを切った車内は静かだった。

 頭の中はぐちゃぐちゃだ。

 自分から望んで美羽に手を出した。澪よりも美羽に惹かれたのも本当だった。

 それなのに――……どうしてこんなにも後悔ばかりが募るのだろう。

     ◇

 しばらくして、店内の照明が少しずつ落ち始める。

 閉店

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    「……澪?」 聞き慣れた声だった。 その瞬間、澪の体は強張る。 振り返った先には、息を切らせた拓真が立っていた。 雨に濡れた髪。 乱れた呼吸。 まるで必死に追いかけてきたみたいだった。「澪……!」 澪の姿を見て、安堵したように表情を緩めた拓真が、一歩近づいてくる。 けれど澪は思わず一歩足を後ろに引いた。 その仕草に、拓真の顔が傷付いたように歪む。「待ってくれ。話を聞いてほしい」「……」「誤解なんだ」 その言葉に、澪は思わず顔を上げた。 誤解。 その言葉が胸に刺さる。 だって澪は見たのだ。確実に。この目で。 ホテルの前で。 拓真が美羽に口づける姿を。「誤

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