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第97話 幸せな毎日

Penulis: 暁万里
last update Tanggal publikasi: 2026-07-30 13:28:05

 あれから数週間。

 澪の日常は、少しずつ変わり始めていた。

「澪ちゃん、お客様から花束のご注文。お願いできる?」

「はい!」

 アンジェリケでは、いつも通り花屋の仕事をこなす。

 季節の花を選び、色の組み合わせを考えながら一本ずつ束ねていく。

「ありがとう。やっぱり白石さんにお願いしてよかったわ」

 花束を受け取った常連客が、嬉しそうに微笑む。

「娘の誕生日なの。きっと喜ぶわ」

「ありがとうございます」

 澪も自然と笑みを返した。

 花を贈る人。

 花を受け取る人。

 その間を繋ぐ仕事が、昔から好きだった。

 花を通して、誰かに笑顔を届けられる場所が、少しずつ増えていた。

(それに……不思議。華道教室に通っていたころのことはずっと忘れていたのに……)

 花を好きな気持ちだけは、ずっと残っていた。

 胸元に下げた、白い花のお守りも。どうして持っているのか分からなかったのに、手離してはいけないものだとずっと思っていた。

(このお守りが……綾人くんと私を、もう一度引き合わせてくれたのかな)

 澪は小さく口元を緩め、お守りを指で触った。

     ◇

「来週は、市立小学校での華道体験教室で
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    「……澪?」 聞き慣れた声だった。 その瞬間、澪の体は強張る。 振り返った先には、息を切らせた拓真が立っていた。 雨に濡れた髪。 乱れた呼吸。 まるで必死に追いかけてきたみたいだった。「澪……!」 澪の姿を見て、安堵したように表情を緩めた拓真が、一歩近づいてくる。 けれど澪は思わず一歩足を後ろに引いた。 その仕草に、拓真の顔が傷付いたように歪む。「待ってくれ。話を聞いてほしい」「……」「誤解なんだ」 その言葉に、澪は思わず顔を上げた。 誤解。 その言葉が胸に刺さる。 だって澪は見たのだ。確実に。この目で。 ホテルの前で。 拓真が美羽に口づける姿を。「誤

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