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第4話「大事な命だから...」

Autor: 琉球狸
last update Fecha de publicación: 2026-03-27 08:07:31

その瞬間。

拓也の顔から、血の気が引いた。

ああ...

いい顔。

最高。

まだ、始まったばかりなのに...

「なっ...何を訳をわかんない事を...

俺、風呂入ってくる!...」

焦るように食卓を立つ拓也。

「うん!いってらっしゃい...

あれ?お風呂場に携帯持っていくの?」

「珍しいね...」

私は笑顔で焦る拓也に声をかける。

「あ...あぁ...やっぱり疲れてるのかな?

今日はすぐに寝るよ。」

携帯をテーブルに置いてお風呂に行った。

私は片付けを済まして、リビングのソファに

座りながら沙織にメッセージを送る。

「起きてる?」

「拓也から同居の話、了承得たから」

「引越しの準備始めててね。」

数分待つと沙織からの返信が入る。

「本当に拓也さんがOKしたの?」

「私、やっぱり堕ろすよ...」

私はすぐに返信を返す。

沙織は高校の頃から変わらないな。

嫌なことがあったらすぐに逃げ出す。

「堕ろす?...拓也の子を殺すって?」

「人殺しなんて...許さないからね。」

「そんなことしたら...

必ず探し出すからね。」

既読は付くが返信がない。

その間に、テーブルに置いてる拓也の通知音が

数回鳴り響く...

きっと沙織からなんだろう...けど

このタイミングを狙っていたの...

自ら証拠を作ってくれてありがとう...沙織。

ピロン。

軽い電子音が、やけに大きく響いた。

テーブルの上で、拓也の携帯が震えている。

一度。

二度。

三度。

――止まらない。

私はソファに腰を沈めたまま、その様子を眺めていた。

焦るように震える携帯。

まるで、持ち主の心臓みたい。

くすり、と喉の奥で笑いが漏れる。

「……大丈夫だよ」

誰に向けた言葉でもない。

けれど、ちゃんと届いている気がした。

――逃げられないってこと。

風呂場から、水音が聞こえる。

シャワーの音。

一定のリズム。

今、この瞬間...

拓也は、何も知らない。

私はゆっくりと立ち上がる。

足音を立てないように。

呼吸すら、静かに。

テーブルへと歩み寄る。

そこにあるのは、無防備に置かれた携帯。

――置かされた、証拠。

画面が、また光る。

通知。

ロック画面に浮かび上がる名前。

「沙織」

そして、その下に続くメッセージ。

「ねぇ、どうするの?」

「さっきの話、本気なの?」

「私、怖いよ……」

ああぁ。

本当に、分かりやすい。

私は指先で、そっと画面に触れる。

一瞬だけ、ためらうふりをして。

そのまま、滑らせた。

――ロックは、かかっていない。

「……ふふ」

思わず、声が漏れる。

どこまで甘いの。

どこまで、無防備なの。

画面が切り替わる。

トーク履歴。

そこには、びっしりと並んだやり取り。

スクロールする。

ゆっくり。

丁寧に。

「会いたい」

「今日も無理?」

「奥さん、大丈夫?」

――奥さん。

その単語に、ほんの少しだけ指が止まる。

「大丈夫だよ、美咲は何も気づいてない」

拓也の返信。

軽い。

あまりにも、軽い。

「ちゃんとするから」

「落ち着いたら、一緒に住もう」

ああ。

“ちゃんとする”って、何?

私は、ゆっくりと目を細める。

「子供のことも、俺が責任取る」

――責任。

その言葉に、思わず笑ってしまう。

責任、ね。

本当に?

誰に対して?

指が、自然と動く。

さらに遡る。

「ねぇ...生理こないんだけど...」

その一文。

そして、震えるように続く文章。

「どうしよう」

「ねぇ、本当に大丈夫だよね?」

その時の拓也の返信。

「大丈夫だって」

「俺がついてる」

私は、そっと息を吐いた。

「……本当に、最低」

呟いた言葉には、怒りも悲しみもない。

ただ、事実を確認しただけ。

ピロン。

また、通知。

画面の上部に、新しいメッセージが表示される。

「既読ついてるのに、なんで返事くれないの?」

「ねぇ、怖いってば……」

ああ。

追い詰められてる。

いいね。

すごく、いい。

私は、ゆっくりと画面を見下ろしたまま、

親指を動かす。

入力欄を開く。

――ここからは、私の番。

「大丈夫だよ」

一文字ずつ、丁寧に打ち込む。

「さっきも言っただろ?」

少しだけ、拓也らしい言い回しを選ぶ。

「ちゃんと進めてるから。」

送信。

一拍。

すぐに、既読。

そして――

「本当に?」

食いついてきた。

私は、ふっと笑う。

「俺が嘘つくと思う?」

送信。

「……思わない」

ああ、そう。

思わないんだ。

仲が良いこと...

「だから、変なこと考えるな」

「堕ろすとか、言うなよ」

少しだけ、強めに。

逃げ道を塞ぐように。

送信。

既読。

間。

「……でも」

まだ、揺れてる。

私は、ほんの少しだけ考える。

どうすれば、完全に縛れるか。

どうすれば、逃げられなくなるか。

そして。

「責任は取るって言っただろ」

「沙織も子供も、どっちも守るから」

送信。

数秒。

「……うん」

「わかった」

決まり。

私は、そっと息を吐く。

胸の奥が、じんわりと熱い。

――これでいい。

もう、戻れない。

誰も。

平穏になんて帰さないよ。

私は、ゆっくりと画面を閉じる。

指先が、わずかに震えている。

興奮。

それとも...

「……ふふ」

込み上げてくる笑いを、抑えきれない。

うまくいった。

全部。

全部、思い通り。

その時。

風呂場の水音が、止まった。

現実が、戻ってくる。

私はすぐに携帯を元の位置に戻す。

角度まで、丁寧に。

何もなかったみたいに。

ソファへ戻り、静かに座る。

呼吸を整える。

表情を整える。

ガチャ。

浴室の扉が開く音。

「はぁ……さっぱりした」

タオルで髪を拭きながら、拓也が戻ってくる。

その顔は――

まだ、何も知らない。

「おかえり」

私は、にっこりと微笑む。

「……ああ」

一瞬だけ、視線が泳ぐ。

テーブルの上の携帯へ。

気づいてる?

それとも、気づいてないふり?

どっちでもいい。

もう、遅いから。

私は、心の中でそっと呟く。

――責任、とってね。

その夜。

布団の中で。

隣で眠る拓也の寝息を聞きながら、

私は、もう一度だけスマホを開いた。

自分の端末。

沙織とのトーク画面。

既読は、ついていない。

当たり前。

さっきまで、沙織は拓也と話してたんだから。

私は、ゆっくりと文字を打つ。

「逃げるの、やめたんだね」

「えらいよ」

送信。

数秒後。

既読。

「……うん」

「美咲の言う通りに...」

「ちゃんとする」

その返信を見た瞬間。

私は、耐えきれずに――

くく、と笑った。

声を殺して。

震える肩を、必死に抑えながら。

「……ほんと、いい子」

画面の光が、暗闇の中でぼんやりと浮かぶ。

その中に映る、自分の顔。

歪んだ笑み。

「大丈夫...」

誰に向けた言葉かなんて、

もう分からない。

「ひとつずつ...ひとつずつ...」

指先で、画面をなぞる。

まるで。

運命を、なぞるみたいに。

私は、ゆっくりと目を閉じた。

明日が、楽しみで仕方なかった。

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    沙織との約束の三ヶ月が過ぎた後も、俺は沙織との関係を終わらせることができなかった。いや、俺が終わらせなかったんだ。終わるはずだった。終わらせるべきだった。それでも、俺は沙織のそばの居心地が...そう思ってしまったんだ。美咲とは...悪いことをしている自覚からか、それとも、バレることへの恐怖からか。明確な理由を説明することができない、が気づけば俺は、彼女と過ごす時間を避けるようになっていた。目を合わせないように。会話を減らすように。“いつも通り”を装いながら、少しずつ距離を置いていく。そうして...半年。一年。時間が過ぎていく中で、本来の噛み合わせだった歯車が狂い始める。美咲と沙織が昔のように交流を持つようになった。バレた訳じゃない。......よな?沙織に聞いても、「気にしないで大丈夫。私がちゃんと対応しておくから、拓也さんはいつも通りにしてて」と笑顔で返された。......気にしなくていいんだよな。と沙織との時間を過ごして自宅に戻る。「おかえりなさい。夕飯できてるよ」美咲はいつものように、俺を待ってくれている。昔はその寂しそうな顔から嬉しそうにおかえり、と言ってくれる事が嬉しかったのに...今はそのおかえりを聞くと苦しい。「今日は疲れたから、お風呂入ったら……すぐ寝るわ」バレてないよな...俺は疑いを持つとすぐに顔に出してしまう...なのでその日はすぐにシャワーに向かい就寝した。大丈夫...美咲はいつもと変わらない...バレてない...バレてない.........次の日の朝、いつもと変わらない美咲の表情に俺はほっとしていた。仕事の支度を済まして、靴を履き、ドアに手をかける。「じゃあいってきます」「.......いってらっしゃい」その声に、一瞬の間があった気がした。振り返るかどうか迷ったが...俺はそのまま家を出た。........そしてまたある日の夜だった。その時は、仕事が立て続けに大きな案件が入り残業が続いていた。...沙織に会いたいな。なんて、思ってしまう自分を押さえ込み美咲を安心させる事もしなきゃと沙織との時間が取れない日々が続いた。そんな時だった。沙織からメッセージが入る。「もう、美咲にうちらのこと喋ってもいい?」

  • 「夫の子を妊娠したのは親友でした。」   第27話「終わるはずだった関係」

    沙織との約束内容はこうだった。 三ヶ月間生理週間を除いた日に、 沙織の自宅に行き性交渉を行う。 それで懐妊した場合は、認知もせず 何もしてこなくて良い... もし出来ない場合には、三ヶ月後... この関係をなかった事にしてほしい...と 仕事に関しては沙織が話をしてくれて 成約がすんなり決まった。 他店舗への紹介などもすんなりと話が 進んでいった。 俺は、会社の評価も上がり... 今までの劣等感を拭い去らせてくれた。 ただ... そこに罪悪感が上塗りされていった。 沙織が休みの日などに必ず通知が入る。 「今日、何時に終わります?」 初めは苦し紛れに... 「20時ごろに向かいます。」 退社後に、沙織宅に向かう。 玄関を開けた瞬間、 理性は簡単に途切れた。 いつものように、 流されるままに時間が過ぎていく。 不埒な下着姿で出迎える沙織を 玄関口でそのまま抱きしめて... 1時間ほどで約束をこなす。 事後のシャワーは一緒に...と言う 後付で出来た内容も済まして 俺は美咲の元に向かう...。 自宅のドアを開け、出迎えてくれる美咲に 俺は嘘をつく... 「ただいま、今日も仕事遅くなってさ」 「ううん。大丈夫だよ。いつもお疲れ様」 そう言って、何も疑わない目で笑った。 その素直な笑顔をくれる いつもの優しさに 胸が苦しくなった。 その苦しさも回数を重ねるごとに 痛みが鈍くなっていく... 責任を感じずにする沙織との行為が 癒しになっていく自分がいた。 「拓也さんは何も悪くないのよ。 だから私を抱く時だけは楽しんで...」 腕の中にいる沙織が呟くその言葉に 甘え...堕ちていく... 俺は悪くない... 悪いことなんてしていないんだ...と ....... そうして、約束の三ヶ月が経とうとしていた ある日... ベッドの中、俺の腕の中にいる沙織が言う 「結局出来なかったね... 拓也さん、今までありがとうね。」 「それってどう言う...」 俺は突然のありがとうの言葉に戸惑ってしまう 「これ以上は、二人に迷惑かけきれない。 だから約束は約束で... 拓也さんとの時間も終わりにしなきゃ...」 約束... 当初の約束で、俺と沙織は契約していたんだ。 そして

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