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5話

Penulis: 籘裏美馬
last update Tanggal publikasi: 2025-10-11 19:32:50

それからの私は、虎おじさまのパーティーに参加する準備にバタバタとしていた。

いつもだったら毎日のように御影さんの会社にお弁当を届けていたけれど、先日御影さんの会社には涼子がいた。

またあの時のような会話を聞く事も辛いし、と御影さんの会社に行く事はせず、ドレスの新調やアクセサリーの手配に追われていた。

「あ…でも、一応…念の為に御影さんにお伝えだけはしておこう。もしかしたら、御影さんもパーティーに用があるかもしれないし」

でも、きっと断られてしまうだろう。

半ば諦め半分ではあるけれど、私は御影さんに連絡をする。

今まで、電話をしても御影さんは殆ど出てくれた事はない。

だから、必要な事だけを簡潔に記載して、メールを送る。

そうすれば、御影さんも手が空いた時に確認はしてくれるだろう。

だから私はパパっとメールを打ち、御影さんに送信した。

〜♪

直寛のスマホが、メールの着信を知らせる。

専務室のソファに座っていた涼子は、ソファから立ち上がるとトトト、と軽い足取りで直寛へ近づいた。

「直寛。仕事の連絡?」

「…どうだろうな」

涼子にちら、と視線を向けた直寛はスマホに届いたメールを開く。

私用スマホの連絡先を教えている人物はそこまで多くない。

(涼子は、ここにいる…。なら、茉莉花お嬢さんか?そう言えば、今日は会社に来ていないな)

頼んでもいないのに、茉莉花は毎日弁当を作り直寛のために届けていた。

(俺自身は絶対に口にしないのに…よく届けるものだと思っていたが、ようやく弁当が捨てられていると気づいてやめたのか?もしかして、それで祖父に泣きつきでもしたのか?)

昔は、そんな女じゃなかったのに、と直寛は茉莉花の事を思い出し、不快そうに眉を寄せる。

そして、メールの差出人に「藤堂 茉莉花」という文字を見つけて直寛はふん、と鼻を鳴らす。

(やはり、祖父に泣きついたのか?文句でも言いたくて連絡を寄越したのか)

見る価値などないか、と直寛は一瞬スマホを閉じてしまおうとしたが、他の連絡だったら、と思い直し茉莉花からのメールを開く。

茉莉花からのメールの内容は、酷く簡潔。

必要事項だけが書かれた内容に、直寛は僅かに片眉を上げた。

「直寛?どうしたの?」

涼子が甘い声を上げ、直寛の首に手を回して体を擦り寄せる。

膝に乗ってきた涼子を慣れた様子で支えた直寛は、そのまま顔を寄せてきた涼子をそっと抱え、膝から下ろした。

「え、直寛……?」

信じられない、とでも言うように涼子は目を丸くしてぽかんと見つめる。

涼子のそんな様子には目もくれず、直寛は無言で椅子から立ち上がると、スーツの上着を手に取り、涼子に告げる。

「今日はもう戻らない。涼子を送っていってくれ」

「かしこまりました、専務」

「えっ、ちょっと、直寛ぉ!」

直寛は自分の秘書にそれだけを言い終えると、そのまま振り返りもせずに部屋を出て行く。

専務室に取り残された涼子は、直寛が出て行った扉を睨みつけ、小さく舌打ちを零した。

「……藤堂茉莉花。まだ邪魔をするのね」

人でも呪い殺してしまいそうな程低く、恨みの籠った声を零しつつ、涼子は秘書に促されて部屋を出た。

私がマンションの部屋でパーティーの準備をしていると、インターフォンが鳴った。

「何も頼んでいないけど…」

何だろうか、と思いつつ、出てみると、そこには信じられない人物がモニターに映っていた。

「え…、御影さん……!?」

今まで、1度も御影さんは私の部屋を訪ねて来た事はない。

私の部屋を知っていたんだ、と変な所に感動すらしてしまう。

私は御影さんを待たせてしまわないよう、慌てて玄関に向かうと、鍵を開けて扉を開けた。

「御影さん、どうされたのですか…?」

「茉莉花お嬢さん、さっきもらった連絡だが…田村琥虎が開くパーティーに参加すると言うのは本当か?」

「え?え、ええ…。虎おじさんから直接招待を受けましたから、参加しようと思っています…」

「パートナーは俺が務めよう。それでいいな?」

「えっ」

まさか、御影さんが一緒に行ってくれるとは思わなかった。

私が驚いていると、御影さんは不服そうに私を見やり、言葉を続ける。

「不本意ではあるが、俺とあなたは一応付き合っている。パートナー同伴だろう?ならば、俺も参加するのが道理だ」

「わ、分かりました…」

「招待状は?」

御影さんから手を差し出されたが、今は手元にない。

部屋に戻って取りに行かねばならない。

御影さんを部屋に招いたら、嫌がるだろうか、と私が困っていると、招待状は室内だと察したのだろう。

御影さんは玄関から中に足を踏み入れ、靴を脱いだ。

「邪魔をする。パーティーに参加するなら、打ち合わせは必要だ」

「そう、ですね…こちらです」

打ち合わせ、なんてまるで仕事みたいだ。

でも、御影さんからしたら、仕事のようなものだろう。

仕方なく付き合う事になった私の事なんて、仕事で対応する人物、としか思っていないかもしれない。

私の後に続き、部屋に入ってきた御影さんを横目で見つつ、私は何とも言えない気持ちを抱きつつ足を進めた。

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