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117.恋人の始まり③

Auteur: Aica
last update Date de publication: 2025-11-11 22:02:15

そんなことを考えながら、家に帰って食事の準備を始める。

そして準備をし終えた頃、ちょうどいいタイミングで社長が家に帰ってきた。

「あっ、おかえりなさい」

「ただいま」

「ちょうどご飯の準備出来るとこです。もう、すぐに食べられますけど、もう用意しちゃっても大丈夫ですか?」

「あぁ。大丈夫。ありがとう。先に着替えてくるわ」

「はい!」

社長と一緒にご飯食べられるってわかって、ちょっといっぱい作りすぎちゃった。

でも忙しい人だから、案外こういう時間も当たり前じゃないんだよな。

だからこそ、一緒に食べれる時はたくさん食べてほしい。

そして部屋着に着替え、社長がリビングに戻ってくる。

社長は家帰ってきたらすぐに着替えてラフな姿に戻る。

きっと社長はそれがいつものスタイルで当たり前のことなんだろうけど、あたしにしたら、そういう姿を見れるのが、見せてくれるのがなんだか嬉しくて。

会社では絶対こういう姿を見せることはないから、余計にこの家でこういう姿を見れることもまた一人占めしてるような気がして、またより一層嬉しかったり。

だから、この家では、社長が落ち着ける空間を出来るだけ作りたい。

あたしの作る
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    「あたしは何も気にしてないです。だけど、慧さんがこれまで頑張ってやってきたことや優しさが、そんなくだらない根も葉もない噂で否定されてしまうことが、あたしは何より悔しいです」「依那……。そんな風に思ってくれてたのか……?」「もちろんですよ。あたしは誰が何を言おうと、慧さんの味方です。あたしが慧さんを支えます。だから、慧さんは安心してあたしに気持ち預けてください」「依那……。ありがとう……」そう言って、慧さんがギュッとまた抱き締めてくれる。「ホントはずっと思ってたんです」「何を……?」「あたしはいつも慧さんがいてくれることで支えられて力をもらえて守ってもらってるけど、慧さんがホントに辛い時に、あたしはそういう存在になれるのかなって……」「もちろんなってるよ。そばにいてくれるだけで、依那という存在がいるだけで、十分オレは救われてる」「はい。でも、そういうのだけじゃなく、慧さんが抱えてるものとかそういうのがあるなら、あたしも一緒に抱えたいっていうか……」「え……?」「今の慧さんのそういう存在になれてること、それもホントすごく嬉しいです。だけど、あたしの知らない過去で、もし慧さんが何か抱えていたとしたとして。あたしはそんな過去の慧さんも今の慧さんも、あたしがしてもらってるように、すべて支えたい、守りたいって思ってます」あたしが伝えるその言葉に、慧さんがちゃんと目を見て耳を傾けてくれる。こういうことを今まで言える機会がなくて、ずっと伝えられなかったけど、ホントはずっと伝えたかった。あたしにとって、慧さんがどれほどの存在か、どれだけ大切に想っているかを知っておいてほしかった。「正直、依那がそこまで考えてくれてるなんて思ってなかった……」そして、その言葉を受け止めて、そう言う慧さんは、少し驚いた表情を見せてるような気がするけど、だけどどこか安心したようなそんな表情にも見える。「あたしの慧さんへの想いは、それほど大きいんですよ?」あたしはいつものように、いつものその大きな想いを笑顔で伝える。「ん……」慧さんは、そう呟きながら柔らかく頷いて、穏やかに微笑む。その一言とその微笑みだけで、慧さんがわかってくれてるのだと、なんとなくそんな風に感じる。「依那……。依那に話しておきたいことがある」すると、あたしの目をしっかり見つめて静かにそう伝えて

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    「あぁ……。でも、ちょっと本音、言ってい……?」すると、少し間を開けて、慧さんが何か引っかかったのか、そんな言葉を伝えてくる。「本音、ですか……?」「あぁ……。悪い。ホントはさっきの少しだけカッコつけた」「え?」カッコつけた? え? どれ??「ホントは、この家に帰ってきて、依那がいなくて寂しかった……」そう小さく切なく呟く。慧さんがそう呟いた瞬間、胸がギュッとなる。「ごめんなさい……!」「いや、謝ってほしいんじゃなくて。オレが勝手にちょっと不安になっただけ」「え? 不安って?」「依那がこのまま戻ってこなかったらって……」「え!? そんなことあるわけないじゃないですか!」あたしは身体をグイっと後ろに向けて、慧さんと斜め越しに向き合う。「あぁ、うん……」そう返事はしたものの、なぜか慧さんは少し寂しそうな顔をしているように見えて……。「慧さん。何かあったんですか? 何かあるならちゃんと話してください」あたしはそのまま座ってる身体を少しずつ動かし、横向きに座り直し、身体は慧さんの方へ向け、ちゃんと慧さんの顔を見つめながら伝える。あたしにそんなストレートに寂しかったとか不安だとか伝えてくれるなんて、初めてだよね……?雰囲気も表情もなぜかその言葉通りのように感じて、いつもの慧さんと違う人に思える。「いや……、こうやってちゃんと会って話せたら、大丈夫だって感じられた」「それでも。こうする前は不安だったってことですか? どうしてですか? なんか慧さんを不安にさせる何かがあったってことですか?」「正直さ。早く依那に会いたいって気持ちと、依那がオレから気持ち離れてたらどうしようって気持ちもあって……」「なんでそんなこと……」「オレの過去を知って、こんな状況になって、依那が愛想尽かすんじゃないかって……」「え……? それって、あの報道のことですよね……?」「あぁ……。オレがいない間にこんなことになって、依那すごく傷つけたんじゃないかって心配で……」あぁ……。やっぱそういうことか。慧さんはあたし以上に、あたしを想って苦しんでたんだ。あたしなら大丈夫なのに……。「慧さん。……酷いです……」「え……?」あたしのその言葉に慧さんは顔をあおざめる。「あたしの慧さんの想い。そんな軽く見てたんですか?」「えっ!?」あたしのそ

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    それから数日後の週末の金曜日。慧さんの出張の帰りを待つ中、前から予定が決まっていた琉偉が所属しているEveRのライブに参戦。慧さんに会えない寂しさの中、このタイミングでの琉偉たちのライブで楽しめる時間は正直すごく有難くて。何もなく一人で家で過ごしていると、やっぱり慧さんがそこにいないことを常に実感してしまう。その度、慧さんが恋しくなるけど、仕事の邪魔もしたくなくて、やっぱり少し我慢してる自分もいた。元々しょっちゅう連絡し合う関係じゃないだけに、こういう時遠慮してしまう寂しさに少しだけ後悔。だから、今はライブや終わってからみんなでご飯食べながら盛り上がれる時間とか、久々に時間を気にせず楽しんだ。気付けば時間は終電ギリギリまで盛り上がって。さすがに慧さんと付き合い始めてからは、ここまで遅くなったことはなかったかも。どれだけ打ち上げで盛り上がっても、どこかで慧さんが気になって切り上げるようになってたもんな。そういえば、前にも出張の時、確かこんな日あったっけ。あの時は、気まずいまま慧さんが出張に行っちゃって、帰ってくるのが少し怖かったんだよな。まだ付き合う前で慧さんの気持ちがわからなくて、だけどあたしはもう慧さんのこと好きになってて、そのまま同居解消されたらどうしようって不安で……。まさかそこから慧さんにこんなに好きになってもらえて、今こんな風にいれるなんてあの頃のあたしから思えば夢みたいだな。あの頃のあたしはなんか必死で全力だった感があるけど、今はなんか不思議と心に余裕を持ててる自分がいる。この出張で、一人で慧さんを待っていたからこそ生まれた感情だったり強さだったり。不安で寂しかったのも確かだけど、でもその分、慧さんの大切さや慧さんへの想いをまた強く感じることが出来た。だから、あたしにとっては少し自分自身、成長出来た意味ある時間だったように思える。あ~慧さんまだ出張から帰ってこないのに、こんな風に考えてたらまたもっと会いたくなってきちゃったよ~。会いたすぎて、家帰ったらまた前みたいに慧さんいたりしないかな、なんて都合のいいことを考えてしまうほどに。でも今は前と違って付き合ってるから、帰ってくる時ちゃんと連絡くれるだろうし、さすがに今回もなんて都合良すぎか。と、都合のいい期待をしているだけでも、なんだか今はそれだけでも幸せな気持ち

  • おいしい契約恋愛   297.彼のために出来ること⑧

    「でも、本村さんや藤代さんのことは、きっと慧さんは信頼されてますよね?」「あぁ。そこは唯一ね。オレらは付き合い長いし、あいつの全部わかってるから」「ですよね」「だけど、オレら以外は、基本心開こうとしなかったやつだから。でも、君は出会った時から、他の人とは全然違ったから」「最初にってことですか?」「そう。君は自然と慧の中にスッと入ってきてくれたからね。そういうことも感じる暇なく、気になる存在だったんじゃないかな」「だったら嬉しいです……」だとすれば、あたしもあたしのままでよかったんだと思える。出会い方は、ちょっと変わった出会い方や始まり方だったけど、でもだからこそ慧さんと今あたしはこうやって一緒にいれるのかもしれない。「だから。いつか。きっとあいつからそういう自分の弱いところも君に見せる日が来ると思うから、その時まで待っててやってくれないかな?」「はい」「で。その時が来たら、君のペースでいいから、ちゃんと慧と向き合って、あいつと向き合ってやってほしい」「わかりました」多分、その時が来たら、あたしは今のままで慧さんと向き合うだけだ。取り繕った言葉や表情とか行動とか、そういうのはきっと必要ないから。自然な今の自分で、その時の慧さんを受け止めたいって、そう思う。「まぁ、オレ的にはその記事で、今更慧が瑞希とのこと言われるのはちょっと癪なんだけどね」「あっ、そうですよね」「っていうかオレも瑞希を傷つけるやつは誰であっても絶対許さないから」本村さんは、隣に瑞希さんがいるにも関わらず、堂々と男らしくそう宣言する。「柾弥……」そして隣でそんな本村さんの言葉に感動して嬉しそうにしている藤代さん。「まぁ、その辺りも含めて、このまにしておくつもりはないから。瑞希も安心してたらいいよ。ちゃんとオレが守ってやるから」隣の藤代さんに優しく微笑みながら、男らしいそんな胸ときめく言葉をかける本村さん。本村さんホントに藤代さんが好きなんだなぁ~。思わず今の告白聞いて、胸がキュンとしちゃったよ。「ありがとう。柾弥……」そして安心したかのような微笑みで本村さんに返す藤代さんを見て、やっぱり藤代さんも少なからず不安はあったんだろうなと感じる。きっと今の藤代さんを見れば、本村さんを好きなのはどう見たって間違いないし、そんな人がいるのに違う人と熱愛してい

  • おいしい契約恋愛   79.意外な協力者②

    「ん? どした?」「い、いえ!!」きっとあたしの言動がいつもと違うこと、少なからず社長気付いてるんではなかろうか……。いや、でも普通にすることはやっぱ無理なんですよ……。っていうか、昨日のこと社長が知らなければ、あたしが挙動不審の理由もわからないはず。フフ。さぞかし、あたしの気味悪い挙動不審っぷりに疑問がるといい!あたしだけこんな悶々としてんのやっぱ不公平だ!それから社長に出来るだけ目をやらないようにして食べ進める。「あっ、今日。早いから」「え?」「仕事。普通に早めに終わりそうだから、夜ごはんも頼むな」「えっ!? うちで食べるんですか!?」「えっ、なんで? なんか都合

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  • おいしい契約恋愛   69.恋に気づいた日②

    「だから今日は晩飯いらないから」「了解です」「ちょっと時間も何時に帰ってくるかわかんないから、オレ待ってなくていいからな」「わかりました。あっ、じゃあ一つお願いがあるんですけど」「ん? 何?」「リビングのテレビに、持ってきたブルーレイのデッキ繋いでもいいですか!?」「え? あっ、うん。全然好きにしてくれていいよ。そっか、うちそういうのないもんな」「今日ルイルイのライブのブルーレイが発売されるんですけど、それ、このリビングの大画面で観たくて……!」「あぁ、そういうことね(笑)  全然構わないよ」「ありがとうございますー!! もうこんな大きいテレビで観れたら絶対臨場感ヤバくて絶

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