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34.社長と初めての朝⑦

作者: Aica
last update 公開日: 2025-08-26 21:19:34

「依那。おはよ」

「あっ、桜子おはよ~」

会社に入るとすぐ桜子が声をかけてきた。

「えっ、なんで依那こんな早いの? 今日朝からなんかあったっけ?」

「いや~別にそういう訳ではないんだけど~」

そう。普段のあたしは会社から自宅が少し遠いせいで、タイミング合う電車がなくてもっといつも出勤時間が遅くて。

桜子のが大体早く着いていることが多い。

だけどたまに仕事で朝早くから何かしなければいけない時とか外回りする時とかは早かったりする。

でも今日は社長の家からの出勤でこんなに早く着いたとは……、さすがにまだ桜子にも言えない……。

というのも、社長の家からどれくらい会社まで時間かかるかがわからないから、ちょっと余裕持って出てきたこともあって、思った以上に早く着いてしまった。

だけど仕事で何もない時、さすがにこの早さは桜子も不思議に思うか。

そんな時、前から社長が本村さんと歩いてくるのが見える。

なんか一度社長と会うようになってから、ホント偶然でも会社で会うようになったな。

ていうかこの時間にあたしがまだ出勤してないからそもそもこういうのもなかったってことか。

にしても、やっぱ会社で見る
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