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第7話

Author: 霜晨月
last update publish date: 2025-11-22 16:56:06

蕭晗は寝台からゆっくりと身を起こした。頭を垂れ、両膝を抱え込むようにして、哀れっぽく隅へ縮こまっている。

具合が悪いだと、この野郎! さっきまで俺とあれだけ滅茶苦茶やってたくせに、よくもまあ白々しい顔ができるな、この小悪党め。

周歓は皇后の背後に隠れながら、心の中で毒気たっぷりに呟いた。

陳皇后はゆるりと歩み寄り、寝台の縁に腰を下ろすと、そっと蕭晗の手の甲に触れた。

「それでしたら、妾が御典医を呼んで脈を診させましょうか」

蕭晗は雷にでも打たれたように過剰な反応を示し、慌てふためいて手を引っ込めると、激しく首を振った。

「い、いや、結構だ。それほど深刻なものではない。少し寝れば良くなる」

奇妙な光景だ。

蕭晗は一国の君主であり、陳皇后はその正室である。それなのに、彼が皇后に抱いているのは、親しみではなく露骨な畏怖──どう見ても夫婦の距離感とは思えない。

陳皇后は気にした様子もなく手を引き、口元に冷ややかな笑みを浮かべた。

「陛下は天子たるお方。お体の健やかさは国家の根本に関わります。もし過度に情欲に耽り、お体をお損ないになれば、軽くは政が滞り、重くは民が塗炭の苦しみを味わい社稷が揺らぎます。どうか自愛なさいますように」

蕭晗は小さく頷き、気弱な声で言った。

「皇后の教え、もっともだ。朕は……分かっている……」

「周歓」

陳皇后は立ち上がり、周歓を振り返った。

「食盒を持ってきて、陛下に夜食をお上げしなさい」

その名が呼ばれた瞬間、蕭晗の身体がびくりと震え、はっと顔を上げた。周歓が食盒を捧げて歩み寄るのを見るや、彼の顔はみるみる蒼白になり、瞳孔が大きく揺らいだ。

「お前……」

蕭晗は無意識に後ずさり、布団をぎゅっと握りしめる。指の関節は白く浮き上がっていた。

周歓の胸中にも動揺はあったが、恐怖に染まり切った蕭晗と比べれば、まだ平静を保てているほうだった。

彼は静かに食盒を開け、椀を取り出す。

陳皇后は鋭い視線でその異変を捉え、細めた目で問う。

「どうしました? 何か不都合でも?」

蕭晗は慌てて首を振り、小さく押し出すように答えた。

「い……いえ……」

おかしい。

なぜだ?

蕭晗はなぜ──自分を告発しなかった?

何はともあれ、周歓はひとまず気持ちを落ち着け、匙で桂円と白きくらげの羹をすくい、そっと蕭晗の口元へ運んだ。

「陛下、さあ……お口をお開けください」

蕭晗の表情も、身のこなしも、嫌悪を隠しきれていなかった。しかし陳皇后の命に背くことはできず、唇をわずかに震わせながら、しぶしぶ口を開いた。

堂々たる大楚の皇帝が、皇后の前では威厳の片鱗すら見せず、怯えた小鳥のようになっているというのは、何とも奇妙な光景である。

けれど、蕭晗が苦悶する様子を目にした瞬間、周歓の胸には、仇討ちでも果たしたかのようなひそやかな痛快さが込み上げた。

思わず悪戯心が芽生え、周歓は匙にほんの少し力を込めて押し込み、カツンと蕭晗の前歯にわざとぶつけた。

「ひっ……!」

蕭晗は情けない声を漏らし、両手で口元を押さえて後ずさった。大きく見開かれた目の縁は真っ赤に染まり、涙が瞳の奥でぐるぐると揺れていた。

陳皇后は周歓の企みに気づくことなく、寝台前の卓へ優雅に腰を下ろし、蕭晗が戦々恐々と羹を食べ終えるのを静かに待ち受けた。そして懐から一通の御詔を取り出し、周歓へと差し出した。

「さあ、陛下に読み聞かせて差し上げなさい」

周歓は恭しく受け取り、黄色の地に黒々と記された数行の大書を確かめると、朗々と読み上げた。

「中宮は専横にして、太保・蘇泌すうひらと結託し、反逆を企てり。これを廃すべし――」

蕭晗は椀を手にしたまま呆然と聞き入っていたが、途中から篩のように震え出し、最後の一文に至る頃には驚愕が頂点に達し、ガチャンと音を立てて椀を落とした。

そして、どさりと音を立てて陳皇后の前に跪き、必死に首を横に振った。

「こ、これは偽の詔書だ! 廃后など虚言もいいところ、朕は……朕はまったく知らぬ!」

蕭晗の狼狽を目の当たりにして、陳皇后はくすりと微笑み、団扇をゆるりとあおぎながら言った。

「まあ陛下、何をそんなにお驚きに? 妾が陛下を信じているからこそ、この詔書を自らお持ちしたのではありませんか」

そう言うや、皇后はしなやかに立ち上がり、地にひれ伏す蕭晗に歩み寄ってその体を支え起こした。

「妾には分かっております。陛下はただ、誰かの讒言を真に受け、ご乱心なさっただけのこと。どなたが妾を陥れるため裏で讒言を吹き込んだのか――それさえお教えいただければ、妾は過去を咎めず、すべて水に流しましょう」

蕭晗は視線を泳がせ、すぐには言葉を発せなかった。陳皇后はそんな彼の手首をぎゅっと掴み、鋭い声で詰め寄った。

「陛下、一夜を共にすれば百日の恩と申します。妾が陛下に捧げる忠義は、天地神明に誓って偽りはございません。

外臣どもがどれほど口先で媚びへつらおうと、所詮は他人。他人である以上、その心は必ず異なります。どちらが真に陛下を思う者か――お分かりでしょう?」

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