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第187話

Author: ルーシー
拓海は抑え、必死に自制していた。

だが、玲奈の言葉はその火に油を注ぐだけだった。

胸の奥の炎はますます勢いを増し、彼はもう抑えることをやめた。

顔を傾け、強引にその唇を塞ぐ。

口の中に流れ込んでくるのは、タバコの苦味とミントの清涼感が入り混じった強い味。

圧倒的で荒々しいそのキスは、突風のように彼女の喉奥まで吹き込んでくる。

逃れる暇も、声を上げる隙すらなかった。

玲奈は顔を仰け反らせ、ただその暴力的な口づけを受けるしかない。

必死に腰をつねり、爪が食い込むほどに力を込める。

だが彼は眉ひとつ動かさない。

むしろ、耐えきれぬ痛みに低い声を洩らした。

その声に、玲奈の全身が痺れ、思わず手を離してしまう。

代わりに彼の胸を拳で叩いた。

拓海の手は容赦なく、片腕で彼女の両手を縛り上げる。

そしてその手を自らの胸に押し当て、鍛え上げられた筋肉の起伏を触れさせた。

酸素が薄れていく。

玲奈が窒息しそうになり、ようやく拓海は唇を離す。

見下ろす視線はどこか愉しげだった。

「どうだ、気持ちよかったか?」

玲奈の顔は一瞬で真っ赤になる。

「......須賀君、恥を知りなさい」

握られた手を引き戻そうとしたが、彼は逃がさない。

赤く濡れた唇を見下ろし、唇の端を吊り上げた。

「俺のキス、満足できたか?」

玲奈は憤りに震え、睨み返す。

「放して」

涙が滲んでいるのを見て、拓海は自分がやりすぎたと気づく。

手を離した瞬間、玲奈の平手打ちが頬を打った。

「須賀君!

私は金で弄ばれる女じゃないの!

夫も、娘もいるの!」

拓海の顔は横を向いたが、怒りの色はなかった。

舌先で打たれた頬を押し、薄く笑む。

「ここまで空気の読めない女、初めてだ」

玲奈は皮肉に口角を上げる。

「それで?

失望したの?」

泪を堪えながらも、目だけは強く彼を射抜いた。

拓海はポケットから紙を取り出し、玲奈の目尻の雫を拭った。

「いや、失望したのは俺じゃない。

お前自身にだ」

玲奈は顔を背けた。

「助けてもらったことには感謝してる。

けど、私はあなたに借りも貸しもない」

その言葉を無視するように、拓海は彼女を抱き寄せた。

顎を頭に乗せ、がっちりと閉じ込める。

耳元で低く囁く。

「違う。

お前は俺に借りがある」

玲奈にはその意味が
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Comments (1)
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まかろん
もうこのヒロインにはイライラする なんでさっさと離婚すすめないのか
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