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第499話

Autor: ラクオン
智子の人生は、決して順風満帆とは言えない。

同じ女性として、梨花に自分と同じ轍を踏ませたくない。

たとえその相手が、自分の孫であったとしても。

竜也も当然、祖母の言葉の裏にある意味を理解していた。

梨花がすでに妊娠していることが悪いと言っているのではない。

それが原因で将来、夫婦仲に亀裂が入ることを案じているのだ。

だが、そんな懸念は彼には無縁のものだ。

手塩にかけて育てた女の子がシングルマザーとして苦労する姿や、あるいは赤の他人に嫁ぐ姿を指をくわえて見ている苦痛に比べれば、そんな問題は取るに足らないことだ。

彼が求めているのは、最初から最後まで、梨花という人間そのものなのだから。

竜也は薄い唇を引き結び、珍しく改まった口調で言った。

「ばあちゃん、俺は確信してるんだ。彼女以外の誰かを妻にする気はさらさらない。

だから俺にとって、彼女が彼女でありさえすれば、他のことはどうでもいいんだ」

先日、彼は梨花にも同じことを告げていた。

ただ、彼女が彼女であればいい、と。

智子はそれを聞いて、安堵したように頷いた。

「どうやら、悪しき遺伝子は必ずしも受け継がれるわけじゃないようね。少なくともあなたとあなたの父は、あの人に似なかったわ」

最後の「あの人」とはもちろん、生前浮気ばかりしていた黒川家の大旦那様のことだ。

竜也は片眉を上げ、本音を交えつつ祖母の機嫌をとった。

「そりゃあ、ばあちゃんの優秀な遺伝子が強すぎて、爺さんの悪しき遺伝子を根絶やしにしたからだろうな」

「調子のいいことばかり言って」

智子は鼻で笑ったが、孫の表情を見てすべてを悟ったように尋ねた。

「で、何か頼み事があるんでしょ? 言ってごらんなさい」

「実はな」

竜也は遠慮する素振りも見せず、堂々と、そして図々しく切り出した。

話を聞いた智子は眉をひそめ、彼を指差して呆れた声を上げた。

「あんたって子は、本当に……そんなことしていいと思ってるの?ちょっと考えさせて頂戴!」

また何か甘い言葉で丸め込まれるのを恐れたのか、智子は食器を食洗機に放り込むと、愛用のキャンバスバッグを手に、逃げるように足早に立ち去ってしまった。

あのバカ!

口が上手いときは、ろくなことがないんだから。

一台の白いアウディがアクセルを踏み込んで信号を駆け抜け、ハンドルを切って桜ノ丘の駐
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