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魔族国③

last update Huling Na-update: 2025-05-23 17:00:54

気配を消しているとはいえ近付きすぎれば勘の鋭い魔族なら察知してしまう。

僕とアカリがそっと窓から部屋の中を覗き込むと夜ということもあり、真っ暗で何も見えなかった。

「何も見えない」

「別の窓から見てみよう」

今度は別の場所から中を覗く。

ベッドが一つ置かれてあり、その上には人一人分くらいの脹らみがあった。

魔族が寝ているのだろう、配偶者の姿も見えないところをみるに恐らく一人暮らしの魔族のようだ。

全部で三箇所の窓から中を覗いたが姉さんの姿はなかった。

気を取り直して今度は別の建屋を探す。

数軒見て回ったが特に怪しい所はなかった。

人間を匿っているなら相応の食材や家財が置かれていてもおかしくはないが、どこにもそんなものは見当たらなかった。

「監視していた仲間の情報ならこの町のはずなんだけれど」

「もう少し探してみましょう。まだ見てない建物は沢山ありますから」

そこからは手分けして探す事になった。

四人いれば何かしら手掛かりくらいは見つかる。

そう思っていたが……。

「そっちはどうだった?」

「……全然」

「アタシの方も何も無し」

「私も」

四人ともにそれらしい手掛かりを見つける事ができなかった。

ここまで何の手掛かりも見つけられないとなるとこの町で姉さんを見つけたという情報も信憑性が薄まってくる。

「おい」

僕らが路地裏でコソコソと話し合いをしていると、不意に背後から声が聞こえた。

咄嗟に振り向いたがよく考えれば僕らは気配を断っているはずだ。

 

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