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第16話

Auteur: 匿名
翌朝早く、凛がいつものようにネットニュースを見ていると、百合が複数の男といかがわしいことをしている写真が、ネットで大々的に拡散されていた。

吐き気がこみ上げてきた凛は、コーヒーカップを握る手に力を込めた。

哲也は凛のタブレットを取り上げる。「見るな。どうせ松本先生がやったことだろう。君を取り戻すために、わざとこんなことをして誠意を見せようとしてるんだ。あんなクズがやるくだらないことに、いちいち君が影響されることはない」

凛は落ち着いた表情で言った。「菖蒲さんの裁判をやり遂げたことで、こういうことにも向き合えるようになった気がする」

哲也は、林檎をむいていた手を止めた。

「5年前の事件の後、翔平が私のためにいろんなことをしてくれたから、無理やり『回復したフリ』をしていたの。だって、汚された自分なんて、翔平以外に誰も受け入れてくれないと思ってたから。

だから翔平を愛そうと努力したし、普通の人みたいに生活しようとした。でも、本当はずっとあの影から抜け出せていなかったの」

凛は哲也の向こう側を見つめ、過去を思い返すように言う。「よく悪夢にうなされたし、事務所に来る性犯罪の案件は、
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    それから1年後、法曹界についに朗報が舞い込んだ。哲也は5度目のプロポーズの末、ようやく凛の愛を手に入れたのだ。結婚式では、豪華なウェディングドレスを身にまとった凛が、真っ白なクチナシのブーケを手に、新郎である哲也のもとへゆっくりと歩みを進めていた。凛の後ろに控えるブライズメイドたちは、みな凛が担当した事件の依頼人だった。彼女たちはかつて、未来への美しい希望を抱いていたが、次々と現れる悪魔のような男たちに地獄へと引きずり込まれてしまったのだ。目の前にいるこの勇敢な女性がいなければ、彼女たちはいまだにどん底から抜け出せずにいたかもしれない。菖蒲は微笑みながら凛のドレスの裾を整え、からかうように口を開いた。「昔は『仕事だけの関係で、恋愛はしない』なんて言ってたのは、どこの誰でしたっけ?すっかり考えが変わっちゃったみたいですね!」哲也は照れくさそうに頭をかきながら笑った。「あれは作戦のひとつだよ。いわゆる『時間稼ぎ』ってやつ!まあいいさ。口で言っても分からないだろうからな。この俺がちゃんとパワポで説明してやるよ!」照明が落ち、スクリーンが明るくなる。凛は驚きに目を大きく見開き、スクリーンに映し出されたものを見つめた。それは、自分が弁護士になってから初めて担当した事件から、昨日勝訴したばかりの事件までの全ての記録だった。薬を盛られて暴行された女性インターンのために、警察に駆け込んだ時のこと。バーの監視カメラの映像と、被害者の体から24時間以内に採取された体液の検査結果を証拠として、加害者に懲役10年の実刑判決を言い渡させたこと。長年にわたってモラハラに苦しんでいた専業主婦のために、親権を勝ち取ったこと。夫が婚姻期間中に隠した財産も、一円残らず取り戻してみせたこと。3年間も給料を支払われなかった作業員たちを連れて、現場監督の高級車を取り囲んだこと。ドライブレコーダーに残っていた音声から、現場監督が別荘を買ったと自慢する部分を抜き出し、それを使って汗水たらして稼いだお金を取り戻した。そしてそのお金で、依頼人の病気の子供を救ったこと。……パワーポイントの上映は10分にも及んだ。上映が終わると、会場は割れんばかりの拍手に包まれた。しかし、腕を大きく上げ誰よりも大きな拍手を送っていたのは、会場の隅にいたやつ

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    あの記者会見の後、翔平はまるでこの世から突然姿を消したかのようだった。法律事務所は倒産し、翔平も弁護士資格を剥奪され、その後の行方を知る者はいなかった。一方、凛はすぐに記者会見のショックから立ち直っていた。次々と舞い込む案件で、スケジュールは真っ黒。翔平のことを思い出す時間なんて、ほとんどなかった。もともと、凛が突然翔平と離婚し、松本家の宿敵である佐藤家に身を寄せたことで、マスコミは彼女に批判的だった。しかし、菖蒲の件とあの衝撃的な記者会見を経て、凛を見る世間の目は一変した。凛は家庭裁判所から表彰され、ますます多くの社会的支援を得るようになった。その3ヶ月後のある深夜、凛は弱い立場に置かれた女性の権利を守るための事件を終えたばかりだった。法律事務所を出たところで、突然、聞き覚えのある声に呼び止められた。「凛さん?」凛は呆気に取られながらも、ゆっくりと振り返る。「百合?どうして……そんな姿に?」凛は息を呑んだ。目の前の百合の姿に、思わず鳥肌が立ってしまったからだ。まだ18歳なのに、髪はパサパサに傷んで黄色く、目は落ち窪んでいる。そしてその瞳は、異常な光を放っていた。凛の心の中で、警鐘が鳴り響く。これは明らかに……凛はとっさにバッグを胸の前で抱え、数歩後ずさると、厳しい口調で言った。「来ないで!何か話があるなら、そこから話して!」百合がにやりと笑う。「凛さん、私のこと汚いって思ってるの?でも、私……凛さんのことがすごく羨ましいの。あんな汚されたのに、二人の男から宝物みたいに大事にされてる。それに比べて、私は?」百合は笑っていたが、その瞳には涙が浮かんでいた。「写真、見たでしょ?凛さんみたいな正義の味方なら、私のために裁判を起こして一肌脱いでくれるよね?だって、同じ目に遭ったんだもん。あの時の私の苦しみ、理解してくれるでしょ?」凛は氷のように冷たい声で言い返す。「あなたは被害者だし、法的支援を求めるのは当然の権利。でも、あなたの案件を私は引き受けない。うちの事務所には他の弁護士もいるから、そっちに頼んで」そう言うと、凛は背を向けてその場を去ろうとした。すると甲高い奇声を上げた百合が、凛の腕を掴み噛みつこうとしてきた。百合の歯が凛の腕に触れる寸前、黒い影が猛然と飛び出

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